IN/OUT (2022.5.1)

大型連休に入りました。


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「建物公開2022 アール・デコの貴重書」@東京都庭園美術館 ((22.4.29

東京都庭園美術館東京都庭園美術館に行ってきた。ここは、1933年竣工の旧朝香宮邸を、内部の改造は僅少にし、当時のアール・デコ様式を正確に留めたまま、美術館としている所だ。今回は、所蔵しているフランスの装飾美術に関する書籍や雑誌を中心にした展覧会。普段は作品保護のために閉じられている窓のカーテンが開け放たれ、写真撮影も自由の建物公開展でもある。大食堂のテーブルデコレーションなど、それぞれの部屋で、邸宅として使われていたときの再現展示が行われているのもお楽しみだ。

東京都庭園美術館1階、入ってすぐの次室(つぎのま)にある香水塔。上部の照明内部に香水を垂らし、照明の熱で香りを漂わせたという。朝香宮邸の内装設計を指揮したHenri Rapinの作品である。

東京都庭園美術館ガラス工芸のRené Laliqueなど、当時のアール・デコを代表するフランスのデザイナー陣と、建築を担当した宮内省内匠寮の日本人技師達が、総力を結集した建造物。どこも、こだわりに満ちた意匠に満ちている。

東京都庭園美術館階段の途中に曇りガラスの装飾なんて、実用性は全く無い。ただただ、お洒落なのである。

東京都庭園美術館2011年に建物公開に訪れたときは、照明の写真を沢山撮ったのだが、今回は、足下のラジエーターグリルに注目。食堂には、魚介のデザインがあしらわれている。

東京都庭園美術館機能的には、単なる格子でも構わないのに、部屋ごとにデザインを変えているのが楽しい。当時の職人達も、作業を楽しんでいたのではないだろうか(鏡の写真を正面から撮っても、自分を消せるのがPixel 6)。

東京都庭園美術館結局、資料的価値はともかく、展示品として地味な書籍類は、あまり印象に残らず。建物自体の魅力を堪能したのである。


「生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展」@東京都現代美術館 ((22.4.30

東京都現代美術館2022年に生誕100年を迎える特撮美術監督 井上泰幸の個展を観に、東京都現代美術館に行ってきた。

彼は、円谷英二のもと、1954年の「ゴジラ」で特撮美術スタッフとしてのキャリアをスタート。その後、デザイナー/特撮美術監督として、数多くの作品に関わってきた。個人的には、「ゴジラ対ヘドラ」のヘドラと「緯度0大作戦」のアルファ号をデザインしたという功績で、大尊敬に値する偉人である。

展示室には、彼が遺したスケッチ、デザイン画、絵コンテの他、映画台本や記録写真、完成映像、撮影で使用したミニチュアなどなど、膨大な資料類が並ぶ。「ゴジラ」、「ゴジラの逆襲」、「空の大怪獣ラドン」、「地球防衛軍」、「日本誕生」、「モスラ」、「妖星ゴラス」、「キングコング対ゴジラ」、「マタンゴ」、「海底軍艦」、「ウルトラQ」、「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」、「日本海大海戦」、「ゴジラ対ヘドラ」、「日本沈没」、「惑星大戦争」、「連合艦隊」、「竹取物語」などなど。昭和の特撮好きには堪らない作品群である。

ただし、ミニチュアセットを製作するための緻密な設計資料や、映画製作における予算管理にまで言及する展示は、美術展というよりも、井上泰幸という職人の仕事術大公開という趣である。そして、そこから浮かび上がる彼のプロフェッショナルとしての矜持が、実にカッコ良いのである。

東京都現代美術館展示の最後のお楽しみは、彼の代表作と言える「空の大怪獣ラドン」の福岡市岩田屋のミニチュア・セットを再現した大型展示。ここだけは写真撮影自由。CGには無いワクワク感が堪らない。

それにしてもこの美術館、「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技でも気合いの入った展示を見せてくれた。よほど特撮愛に溢れたキュレーターがいるのだろうな。



この時期に、なんやかんや仕事が落ち着かず、ガッツリ休めないというのも毎年恒例になっているという気もする今日この頃です。