IN/OUT (2019.6.2)

一時の急激な気温の上昇で、一気に、衣服から寝具まで夏仕様に変更したのを、ちょっと早まったかと後悔していましたが、ようやく良い具合になってきた今日この頃です。


in最近のIN

"Godzilla: King of the Monsters"19.5.31

"Godzilla"の続編、"MonsterVerse"としては、"Kong: Skull Island"に続く第3作となる映画を観てきた。先週まで、立川シネマシティの好企画「ゴゴゴゴ ゴジラ極爆2」に通い、予習も万全である。

Gareth Edwards監督による"Godzilla"は、怪獣映画を、リアルとのバランスを見直して再構築したような秀作だった。一方、それから5年後を舞台にしたMichael Dougherty監督による今作は、徹底した大怪獣バトル映画に振り切っている。妙にもったいぶる事なく、ゴジラもモスラも渡辺謙も、飛ばしまくりの活躍で、とにかく熱い!。昭和の東宝チャンピオン祭への原点回帰を、ハリウッドの圧倒的物量感で成し遂げた、予想以上の快作だ。

「家族愛」的な物が前面に出る物語で、子供が重要な場所に平気で出入りして活躍するという甘い設定など、私にはイライラする点も多い(こういうのが怪獣映画のお約束というのは分かるが、そういったノイズを排して、ある種のリアリティを極めた「シン・ゴジラ」は、やっぱり凄い作品だ)。しかし、、ゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラの四大怪獣が、我々が子供の頃から知っている通りのキャラクターを尊重した上で、ハリウッド・クオリティで描かれている事実、それだけで熱くなる。

この熱さに、さらに、燃料を投下してくれるのが、音楽だ。前作では、オリジナルの音楽の引用が無かったことが大いに不満だったのだが、今作は、ハリウッド・アレンジされているが、あのメロディー、このメロディーが、ここ一番で鳴り響き、燃えまくるのだ(矢野顕子トリオ・ファン必見とも言える)。

さらに、エンド・クレジットの最後には、あの日本人への献辞。画面の隅々に、本当にゴジラが好きな人達が製作したのだというのが伝わってくる「思い」が詰まっている。これが嬉しい。徹頭徹尾、怪獣映画好きには堪えられない熱血作だ。


「仲野麻紀のライヴ&トーク&ごはん『旅するごはんとおいしいサックス』」 @ CAY19.6.2

CAYフランスを拠点にして活動するサックス奏者、仲野麻紀のイベントを観に、青山のCAYに行ってきた。彼女の事は、これまで知らなかったのだが、イベントの紹介に出ていたキーワード、「ジャズ」・「サティ」・「旅」・「ごはん」などに興味を惹かれたのだ。

開場は16時。開演までの1時間、食事を楽しむ。メニューは、このイベントのために、仲野氏自らスーツケースに詰めて本場から持ってきた調味料などを駆使した、主に中近東風の料理が多い。私は、タブレ(レバノンのパセリのサラダ。95%がパセリで、ごく少量のトマト、オニオン、挽き割り小麦がアクセント。味付けは、たっぷりのレモン汁とオリーブオイル)と、チーズとツナ、ポテトのブリック(チュニジアの、サモサのような食べ物。チーズとツナとポテトをコロッケの種にように混ぜて皮で包んで揚げてある)をオーダー。どちらも美味しい。飲み物は、フランス ブルゴーニュ産の EDDU Grey Rock。蕎麦から醸造されたウイスキーだ。初めて飲んだが、スコッチに少しも引けを取らない香りと味わいで好印象。

17時に開演。演奏は、仲野麻紀(サックス)とヤン・ピタール(ギター / ウード:アラブ音楽で使われる弦楽器)。二人は「Ky」というユニットを組んで活動しているが、今回は仲野麻紀名義の公演。その辺の境界は曖昧っぽい。まずは、エリック・サティの「ジムノペディ」。彼女は、相当、サティに入れ込んでいるようで、他にも「エンパイア劇場のプリマドンナ」や「グノシエンヌ」など、今回の演奏曲の1/3はサティの作品だったように思う。それ以外では、エジプトやレバノンの楽曲や、ヤン・ピタールのオリジナル曲、珍しいところでは渚ゆう子の「京都慕情」などを演奏。フランス在住で、サティが好きで、中近東音楽の造詣も深いというところで想像が付く通りの雰囲気だ。悪くは無いが、私には、ヤン・ピタールのギター演奏の方が印象的だった。

演奏は二部構成で、その間に、音楽ジャーナリスト:林田直樹とのトークショーが入る。が、これが意外な展開だった。イベントのタイトルから、ゆるふわ系のトークを想像していたのだが、大違い。いきなり、武満徹の話題で盛り上がり、かなり硬派な対談が続く。彼女のウェブ上の連載を見ても分かるが、中々の理論派にして論客という感じだ。話しが盛り上がり、肝心の料理の紹介はトークショーの終盤に超早口で消化することになってしまっていた。

ということで、珍しい料理は美味しく、音楽も中々。そして、普段聴く機会があまり無いタイプの興味深いトークと、面白いイベントだった。



映画館では、間もなく公開となる"Spider-Man: Far From Home"の予告編が流れていましたが、これまで使われていた予告編と変わっています。"Avengers: Endgame"の公開を受けて、「あの人が不在になる」ことが予告編の中で語られるようになったのです。こういうのを観ると、Marvel Cinematic Universeの設定の作り込みの巧みさに改めて感心してしまいます。一方、MonsterVerseの方は、怪獣映画らしい緩さが憎めない、というところでしょうか。