IN/OUT (2019.2.24) |
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毎年、この時期は忙しい時ではあるのですが、今年は忙しさの質が違うようで、どうにもバタバタする今日この頃です。結局、2月20日に行く予定にしていたTOTOの武道館公演は断念せざるを得ず。悔しい。 最近のIN"YES - CELEBRATING 50 YEARS OF YES, Tokyo 3 days"@東京ドームシティホール (19.2.22-24)YESの50周年記念コンサートを観に、三日間、東京ドームシティホールに通った。TOTOは諦めても、YESならば意地でも出かけるのである。 今回の来日メンバーは、2016年の来日公演と同じく、ギター:Steve Howe、ヴォーカル:Jon Davison、ベース:Billy Sherwood。キーボード:Geoffrey Downes、ドラムス:Alan White(ただし、殆どの曲は、背中に持病を抱える彼に代わり、Jay Schellenが叩くのだが)という布陣。さらに、ゲストに、YESの初代キーボーディスト Tony Kayeが参戦するという。メンバーの入れ替わりが激しいこのバンドで、正直、私にとってのベスト・ラインナップは、超絶傑作アルバム"Close to the Edge"のレコーディング・メンバーなのだが、そこからの参加は、Steve Howeのみ。Chris Squireは2015年に他界してしまったし、Bill Brufordは音楽界から引退。Jon AndersonとRick Wakemanは、"YES FEATURING JON ANDERSON, TREVOR RABIN, RICK WAKEMAN"という別ユニットで活動という状況だ。それでも、メンバーがどのような組み合わせになっていようが、YESと銘打たれていればコンサート会場に駆けつけるのだ。しかも、今回の東京公演は、三日間、全て、違うコンセプト・セットリストで行われるという。これは、三日間とも行かざるを得ない。 まずは、<DAY1> 2月22日(金)。この日は「アンコールに応えて傑作『危機』完全再現」という趣向。奇跡的にも、最前列のかなり真ん中という座席も嬉しい。19時丁度に、場内暗転(ロックのライヴで、時間通りに始まるのは、YESとKing Crimsonぐらいか?)。例によって、仰々しいオープニング。そして、メンバー登場。"Parallels"、"Sweet Dreams"、"Fly From Here, Part I: We Can Fly"、"Nine Voices"、"Clap"、"Madrigal"と、古くは1970年のセカンド・アルバムから、2011年のアルバムまで、新旧の曲を網羅した構成だ。最初の音から、安定のYESサウンドだと感じて嬉しくなるのだが、冷徹に聞くと、あの超絶技巧で鳴らしたYESとしては、やや不満もある。演奏技量が衰えたとは言わないが、特に71歳のSteve Howeなど、微妙なニュアンスが出ていないような気がする(バンドの平均年齢は63歳だ!)。と同時に、これだけメンバーが替わってもYESサウンドが成立してしまうことにも複雑な気持ちになってしまう。YESの屋台骨だったChris Squireの特徴有る「ベロンベロン・ベース」は、Billy Sherwoodが完璧に再現しているし(彼の演奏は極めて高レベルだ)、Jon Andersonに代わるヴォーカリスト Jon Davisonは、カリスマ性はともかく、歌唱力では本家を凌駕するほどだ。結局、バンドって、殆どのメンバーが取り替え可能なのか。Steve Howeのギターだけは、他では代替できない独自の音色だと信じているが… そんなことを思いながら聴いていたのだが、第一部のラスト、ゲストのTony Kayeが加わって演奏した"Yours Is No Disgrace"が熱かった。Tony Kayeは73歳だが、彼が加わった時こそ、他のメンバーも気合いが入るようだ。そして、休憩を挟んで第二部。私が最も偏愛するアルバム「危機(Close to the Edge)」の完全再現である。場内に、あのSEが流れ、まさにアルバム通りに演奏される"Close to the Edge"、"And You and I"、そして、"Siberian Khatru"。多少の粗があっても、脳内で完璧に補完されるので、ひたすら懐かしく、嬉しく、そして熱狂する。やっぱり凄いアルバムだ。 アンコールは、セカンド・アルバムの1曲目に収録の"Opportunity Necessary, No Experience Needed"で始まり、鉄板曲 "Roundabout"と"Starship Trooper"の連打で終了。一日目で既にお腹一杯、大満足だ。 <DAY2> 2月23日(土)は、「ベスト・セレクション」というお題。果たしてどうなるかと思いきや、一曲目が"Close to the Edge"。そこから、昨日の演奏曲を、曲順を変えただけで演奏が進む。ちょっとガッカリしつつも、まあ仕方ないかと思っていたら、第一部のラストは、昨日演らなかった、代表曲の一つ"Heart of the Sunrise"。おぉ、と思っていたら、第二部では、さらに"Perpetual Change"、"Does It Really Happen?"、"Soon"を演奏。特に、"Soon"は、ライヴで滅多に演奏されることに無いアルバム"Relayer"の収録曲(というか、一曲目"Gates of Delirium"の一部をシングル・カットしたもの)で、このアルバムを高く評価している私としては感涙ものだ。 アンコールの3曲は昨日と同じ。前半はどうなることかと思っていたが、結局、今日もお腹一杯。大々満足である。 そして、<DAY3> 2月24日(日)は、「 名作『サード・アルバム』全曲再現」という趣向。第一部は、"Close to the Edge"から始まり、第二部で演奏されるはずの"Clap"を外した以外は、昨日と同じ曲順。ただ、今日の演奏は、これまでの二日間よりも確実にレベルが上がっていると感じる。特に、Steve Howeのギターが気合い入りまくりという感じだ。これが、三日間通ったことで耳が慣れただけ、ということではないと信じている(昨日は、オープニングのMCで、"Tokyo"と言うべき所を"Toronto"と言い間違えたことで、凹んでいたのかも?)。 第二部は「サード・アルバム(The Yes Album)」の完全再現。1971年のアルバムで、YESがプログレッシブ・ロック・バンドとしての名声を確立する直前の作品だ。この後、(皮肉にも)Tony Kayeが解雇され、Rick Wakemanが加入。さらに、ジャケットのアートワークにRoger Deanを採用するようになる。ということで、アルバムとしてはややインパクトに欠けるものの、収録曲は名曲揃い。"Yours Is No Disgrace"、"The Clap"、"Starship Trooper"、"I've Seen All Good People"、"A Venture"、"Perpetual Change"。どれも、素晴らしいし、今日の演奏はとても充実していると思う。 ということで、三日間、たっぷりとYESサウンドを堪能。疲れも吹き飛ぶというものである。なお、この公演は、スマートフォンでの写真撮影は自由。日頃は、コンサート中に写真撮影なんて、と思っている私も、アンコールでは何枚か撮ってしまった。 しかしまあ、三日間、別のセットリスト(演奏曲自体は、殆どが共通しているのだが)という事で客の興味を煽るプロモーター&バンドと、それにホイホイ引っかかる多くのオールド・ファン。まぁ、Win-Winということなのか? それにしても、会場では「水曜日のTOTOにも行ってきて…」というような会話が複数人から聞こえてきたりもして…。私も含め、皆、嬉々としてカモられていますな。 |