IN/OUT (2019.2.10)

雪の予報の週末でしたが、実際には、ちょっとしか降らず、都心では大した混乱もありませんでした。有り難いことではありますが、やや肩透かし感も覚える今日この頃です。


in最近のIN

「挾間美帆 m_unit "DANCER IN NOWHERE" リリース記念ライヴ」@ブルーノート東京19.2.6

ニューヨークを拠点に活動するジャズ作曲家 挾間美帆の、昨年11月発売の新アルバム"Dancer in Nowhere"のリリース記念ライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。実のところ、彼女の事は名前しか知らず、レコードで言うところのジャケ買いのような感覚で取ったチケットだったが、大正解だった。

演奏するのは、彼女が率いる室内楽団"m_unit"。弦楽四重奏+サックス3人にトランペットとフレンチホルンというホーン・セクション、さらに、ヴィブラフォン、ピアノ、ベース、ドラムスという13人編成。第一ヴァイオリンの金子飛鳥を筆頭に、実力者揃いのメンバーだ。そして、指揮するのが挾間美帆。演奏される曲は、ほとんどが新アルバムの収録曲。一般的なジャズのビッグバンドだと金管楽器主体だが、そこに弦楽四重奏が加わることで、ドラマチックな響きが増していて、とても新鮮に聞こえる。弦楽と金管の掛け合いと融合。予想以上に楽しいジャズ楽団だ。特に、金子飛鳥の(大貫妙子のライヴとは全く異なる雰囲気の)ダイナミックなソロが楽しい。

MCによれば、挾間美帆は、小学生時代を青森で過ごしたそうだ(この後、"Blue Forest"という曲を演奏)。東京生まれ、青森育ち、現在ニューヨーク在住というのは、矢野顕子と同じだ!挾間美帆のライヴ・チケットをジャケ買い的にゲットしたことにシンクロニシティを感じてしまった。

彼女のオリジナル曲をたっぷり堪能した後、アンコールは、新アルバムに収録されている唯一のカバー曲、John Williamsの"Olympic Fanfare and Theme"(1984年 ロスアンゼルス・オリンピックのテーマ曲)。アンコールらしく、メンバー全員の聴かせどころを用意しながら、あの超有名なフレーズをお洒落にアレンジした彼女の才気に、改めて驚いた。狭間美帆、今後も要チェックのミュージシャンだ。


"Aquaman"19.2.9

DC Comicsが仕掛けるプロジェクト、DC Extended Universeの新作を観てきた。

まず、ヒーロー単独の作品をいくつか公開し、次に彼らが集合する映画を製作するMarvelとは逆に、"Justice League"のようなヒーロー集結作品を公開してからヒーロー単独作品を展開するのがDC流。それはそれで有りだと思う。しかし、Marvelとの決定的な差は、根暗なイメージが強いこと。元々、ダークなBatmanはともかくとして、能天気根明イメージのSupermanすらシリアスな悩めるキャラクターにしてしまうのが DC Extended Universe。これが、人気の面でMarvel Cinematic Universeに大きく差を付けられている理由だと思う。今回の作品は、そうした反省を踏まえたのか、あるいは、どちらかと言えばマイナーなスーパーヒーロー Aquamanをアピールするためなのか、従来のDCのイメージを覆す、徹底的に娯楽作に徹した映画になっている。

という訳で、頭を空っぽにして観る分には楽しい。細かいことを全く気にしないAquamanの豪快な性格も痛快だ。しかし、設定があまりにも漫画っぽい(アメコミだから当たり前か…)というか、子供っぽい。中学生男子マインドの作品なら大歓迎な私でも、この作品を真面目に鑑賞するのはさすがにキツい。演出も、アクションシーンの派手さは凄いが、通常のシーンになると、なんとも心許ない。Black Mantaの頭でっかちの造形にもちゃんと理由付けするなど、伏線は丁寧に仕掛けているのに、それが効果的に機能していないのは辛い。

そんなこんなで、やや白けつつ観ていたのだが、刮目すべきは豪華な脇役陣。Willem DafoeやDolph Lundgrenの出演にも驚いたが、中でも存在感を際立たせているのがNicole Kidmanだ。Marvelではなく、あえてDCを選び、大女優とは思えない、あんな扮装やこんなコスチュームを披露し、体を張る役者魂。見事である。



温暖化が叫ばれる一方で、強烈な寒波も襲い、とにかく気候の変動が荒っぽくなっている印象ですが、変わらずやってくるのがスギ花粉。そろそろ来始めましたね…