IN/OUT (2018.9.23) |
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2週続けて月曜休み(結果、余計忙しくなっている…)の後半戦。まずは分かりやすい映画でストレス発散。 最近のIN"The Meg" (18.9.22)常識はずれに巨大なサメと、禿頭のタフガイが戦う映画を観てきた。 サメは、2百万年前に絶滅したはずのメガロドン。全長23m。世界最深と思われていたマリアナ海溝よりもさらに深い海があり、そこで生き残っていたという、中学生が思いつきそうな設定。対する禿頭のタフガイはJason Statham。確かに、彼なら生きた化石とのタイマン勝負にも勝てそうである。 最近のこの手のハリウッド映画らしく、製作には中国資本が入っている。そのため、舞台は中国の沖合にある研究施設だ。そして、その施設のスタッフの中国美女(李冰冰 = Li Bingbing)と彼女の娘、小太りのラッパー風黒人、施設に投資している大富豪など、皆、笑ってしまうほどのステレオタイプの人物造形だ(なんと言っても、黒人スタッフの役名が"DJ"って、分かり易すぎ。そんな中、マシ・オカが、日本人としては誇らしい役柄で出演しているのは嬉しい)。この研究施設のメンバーと、助っ人として召集されたJason Statham(過去のミッションの失敗で心に傷を負っているという、これまたありがちな設定)が、マリアナ海溝よりも深い海から出現した超巨大サメと戦いを繰り広げるという、すがすがしいまでの男子中学生マインドに溢れた物語が展開する。 人物造形がステレオタイプなだけでなく、観ている方が気恥ずかしくなるようなベタな演出が続出。ついでに、犬の扱いもステレオタイプだ。さらに、主題曲扱いされているのが"Mickey"(それも、Toni basil版ではない。Pimというアーティストによるタイ語バージョン)という謎の音楽センス。 ここまで来ると、B級を突き抜ける勢いすら感じるが、Jason Stathamの頑張りもあり、ポップコーン片手に観る作品としては水準作だと思う。 "Skyscraper" (18.9.22)常識はずれに巨大な高層ビルで、禿頭のタフガイが戦う映画を観てきた。 高層ビルは、香港に建てられた(この映画にも中国資本が入っている)240階建てで高さは1,066mを超えるという、中学生が思いつきそうな設定。そこで戦う禿頭のタフガイはザ・ロック様=Dwayne Johnson。確かに、彼なら、身体一つでビルをよじ登っても違和感なさそうである。 ビルは、下層の商業フロアはオープン済み。上層の居住部はまだ入居が始まっていないが、唯一、セキュリティの専門家とした招かれたDwayne Johnsonと、彼の妻と二人の子供だけが泊まっている。そして、最上階にはこのビルのオーナーである中国人実業家が居を構える。そのビルに、悪者が火を放ち、オーナーが持つ「ある物」を奪おうとする。色々あって、Dwayne Johnsonは、警察に犯人と間違われながらも、高層階に取り残された家族を救うため、燃えさかるビルに飛び込んでいく。 粗筋を見ただけでピンと来るように、"Die Hard"と"The Towering Inferno"を掛け合わせ、両作品に漂う「A級感」を「B級感」に置き換えた上に、ザ・ロック様風味をまぶした映画で、それ以上でもそれ以下でも無いのだが、コーラ片手に観る作品としては水準作だ。 なお、「ハリウッド映画あるある」を敢えて押し出すというのは、最近の中国資本ハリウッド作に目立つと思う。それが、"The Meg"では「犬の扱い」だったのだが、この映画では「ダクトテープ万能説」。苦笑しつつ見ていたのだが、字幕では「粘着テープ」となっていたのが、ちょっと残念である。 "AI KUWABARA with STEVE GADD & WILL LEE"@ブルーノート東京 (18.9.23)ジャズ・ピアニスト 桑原あいの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。 このトリオでのステージは昨年も観ている。あの時は、3人の共演作「Somehow, Someday, Somewhere」リリース記念のツアーという位置づけだったが、堂々、1年3ヶ月ぶりにブルーノート東京再登場。 演奏は、1曲目の"Somehow It's Been A Rough Day"からノリノリだ。昨年の公演では、私は、彼女の印象を「(自分が偏愛する上原ひろみが、プログレッシブ・ロックのような奥行きある音楽なのに対し)桑原あいは、フュージョン・ド真ん中という印象だ。とても力強いタッチのピアノだが、緩急の緩の部分が、ちょっと私好みじゃ無いという気もした」と記している。しかし、2曲目の"How Do You Keep The Music Playing?"の落ち着いた演奏を聴いて、昨年より、確実にレベルアップしているように感じる。そして、恒例、Will Leeのヴォーカルは、ブラジル映画音楽のメドレー "Black Orpheus Medley"で披露。 また、昨年の公演の再現ではなく、新曲を多数用意してきたのも好印象だ。特に、Steve、Ai、Will、三人の頭文字を取った"SAW"は、まさに、超強力リズム隊と桑原あいが、圧倒的なグルーヴ感を紡ぎ出す、テンションの高い演奏だ。 本編ラストは、Dave Brubeck作のスタンダード"Blue Rondo à la Turk"。そして、アンコールは、桑原あいがQuincy Jonesに励まされた時、彼の背中にインスパイアを受けて作ったという"The Back"でしっとりと決めて、全編終了。Will Lee 66歳。Steve Gadd 73歳。そして、桑原あいは27歳。彼女が小学校4年生の時から憧れていたという二人と、演奏中は丁々発止の掛け合いを繰り広げながらも、演奏が終わると、二人を本当に嬉しそうに見つめていた表情が印象的だ。 桑原あいの溌剌としたプレイは、昨年以上に楽しかった。そして、Will LeeとSteve Gaddの強力リズム隊は、当たり前だが凄い。Willのプレイは、つい4週間前に矢野顕子との共演を見たばかりだが、今回は、より多彩な奏法を披露していて聴き応え十分だった。そして、今回が、ブルーノート東京の最終日だったこともあってか、アドリブをぶち込んできて桑原あいを笑わせるお茶目なWillの姿もたっぷり見ることができた。 会計年度の上期が終了して、さらにバタバタすると思っていたら、再来週もまた、月曜が休みになることに気がつきました。日本の祝日の多さは、一般的な勤め人にとって「働き方改革」の妨げになっていると思う今日この頃です。 |