IN/OUT (2018.9.9)

20年ぶりに献血に行ってきました。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の問題で、1泊でも英国滞在歴があれば一切の献血ができなくなったり、自分が海外赴任したりして、すっかり足が遠のいていたのです。英国滞在歴に関する規制が緩和されたのは8年前ですが、なんとなく、そのままになっていました。今回、ちょうど外出先で時間が空いてしまったので、久しぶりに献血ルームを訪れてみましたが、昔に比べ、注意事項の説明がやたらと多くなっていたり、事前・事後の水分補給を徹底されたり、とにかく安全性の担保にとても神経を使うようになっており、ご時世だなと感じました。


in最近のIN

"Please Stand By"18.9.8

Dakota Fanningの主演作を観てきた。邦題は「500ページの夢の束」。

主人公は自閉症の21歳の女性。シングル・マザーだった母親の死後、姉に育てられたが、姉の結婚と妊娠を機に施設で暮らしている(原題は、主人公が感情の抑制が効かなくなったときにソーシャル・ワーカーがかける言葉)。彼女の楽しみは「宇宙大作戦(Star Trek)」を観ること。その脚本コンテストの開催を知った彼女は、膨大なStar Trekに関する知識と作品愛から、500ページの大作シナリオを書きあげる。しかし、締め切り日直前にトラブルがあり、郵送では締め切りに間に合わない事に。彼女は、数百キロ離れたロサンゼルスのパラマウント・ピクチャーズを目指して施設を抜け出す。

自閉症の主人公というと、俳優の演技自慢に堕してしまう場合もあるが、そこは天才子役から着実にステップアップしてきたDakota Fanning。とても説得力のある芝居で、初めての困難(彼女にとって、日頃、渡ることを禁じられている横断歩道を渡るだけでも大変な決意が必要なのだ)に向き合う主人公を演じている。

物語は、割に淡々と進み、大袈裟な感動ではなく、何とも温かい余韻を残してくれる。そして、この映画の肝は、主人公がStar Trekファンだということだ(古くからのファンとしては、彼女がTVドラマを観るシーンで「宇宙大作戦」と字幕が出たのが嬉しい)。SFオタク映画の金字塔 "Galaxy Quest"でもモデルになっていたが、Star Trekファンは、他の作品のファンに比べて、その結束力と人柄の良さが、際立っていると思う。さらに、この映画の警察官の描き方が、"Brigsby Bear"と共通するところがあって、しみじみと良いのも高得点。主人公と警察官が「あれ」で会話するシーンに感涙したのである。



20年ぶりでも、過去の献血履歴データが見つかり、通算記録の更新もできました。名前と生年月日で見つかったデータを、それだけで本人のものと確認するのは不完全ということで、20年前の電話番号や詳細な住所を聞かれましたが、さすがに答えられず。でも、勤務先を回答することで。無事、確認OK。これはこれで良かったとは思うのですが、個人情報って、本人が気づかないけど、世界中の至る所に、消去されることなく保存されているのだと実感し、ちょっと怖くもなります。