IN/OUT (2018.4.22)

最近、気になる言葉遣いがもう一つ。「世界観」。映画の解説などで使われることが、ここ数年、すごく増えている思うのですが、そのほとんどは、単なる「設定」の意味…。この言葉を多用している人を見かけると、イライラすると言うか、頭が悪いなぁと思ってしまうというか…


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「渡辺宙明特集 ヒーローオーケストラ/昭和の子どもたちへ」 @ 文京シビックホール18.4.21

作曲家、渡辺宙明の作品に焦点を当てたコンサートを観に、文京シビックホールに行ってきた。

渡辺宙明は、1950年代から作曲家として活動し、1964年の「忍者部隊月光」、1972年の「人造人間キカイダー」、1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から始まる「スーパー戦隊シリーズ」など、数々の特撮TVドラマ、さらに1972年の「マジンガーZ」、1977年の「野球狂の詩」など多くのTVアニメの音楽を担当してきた、特撮・アニメ音楽界の大巨匠。御年 92歳。現役で活動中である(因みに、音楽家、渡辺俊幸の父親でもある)。この日は、齊藤一郎指揮のオーケストラ・トリプティークの演奏で、宙明先生の作品を堪能するという趣向。ゲストに、堀江美都子、水木一郎、串田アキラの大御所アニソン歌手。

まずは、堀江美都子が登場。「野球狂の詩」など3曲。高校在学中からプロ活動を開始していた超ベテランだが、あの透明感のある可愛い声は全く変わらず。続いて、水木一郎。「鋼鉄ジーグ」、「ムテキング」、「スピルバン」そして、当然「グレートマジンガー」と「マジンガーZ」。70歳にして、「ぜぇぇぇっと!」のシャウト。流石である。この後は、「マジンガーZ」と「グレートマジンガー」のBGMをオーケストラ・アレンジした組曲の演奏。

20分の休憩後、「太陽戦隊サンバルカン」のBGM組曲。そして、戦隊モノの主題歌と言えば、この人、串田アキラが登場し、「太陽戦隊サンバルカン」、「宇宙刑事シャリバン」・「シャイダー」・「ギャバン」を熱唱。そして、オーケストラ・アレンジした「宇宙刑事ギャバン組曲」。

最後は、宙明先生が舞台に登場。客席に向かって指揮棒を振り、「宇宙刑事ギャパン」、「太陽戦隊サンパルカン」、「マジンガーZ」を、会場に詰めかけた昭和の子供たちが大合唱という趣向。

渡辺宙明作品とオーケストラの組み合わせは、正直、サプライズ感は無かったが、オーケストラも、ゲスト歌手も、観客も、宙明先生をリスペクトしている雰囲気に溢れているのが心地よいイベントだった。

因みに、オーケストラ・トリプティークという楽団は、今回、初めて知ったのだが、日本の作曲家の作品を専門に演奏する、若手主体のオーケストラだそうだ。演奏力は確かだし、黛敏郎や芥川也寸志の作品もレコーディングしているようだが、映像音楽の演奏にも熱心で、今回と同様の企画で、渡辺岳夫(「アルプスの少女ハイジ」、「魔女っ子メグちゃん」、「機動戦士ガンダム」等々)や、菊池俊輔(「ゲッターロボ」、「バビル2世」、「暴れん坊将軍」等々)も取り上げてきたそうだ。さらに、会場で配られたチラシによると、「オーケストラ・トリプティーク映像音楽コンサートシリーズ」として、今年の10月には、あの伝説の超低予算TVアニメ「チャージマン研!」のライブシネマコンサート(しかも、Vol.2)を開催するという。なかなか、侮れないオーケストラだ。


"Pacific Rim: Uprising"18.4.21

"Pacific Rim"の続編を観てきた。今回は、Guillermo del Toroは製作に回り、監督はTV畑出身のSteven S. DeKnight。

怪獣と巨大ロボが戦うという、男子中学生マインド刺激しまくりの傑作だった前作。その10年後を描く続編としては、まぁまぁ、前の設定を活かしていると思う。前作のヒロイン、菊地凛子の扱いなどは、前作ファンにも納得いくものになっている。さらに、前作で異彩を放っていた科学者コンビが、今回も目立ちまくりなのが楽しい。

前作からの変化は、2016年に、製作のLegendary Picturesが中国の大連万達グループに買収されたこと。結果、その後のLegendaryのお約束、中華美女が大活躍ということで、この作品でもJing Tian = 景甜嬢("Kong: Skull Island"にも出演してましたな)が、全く説得力の無い役柄で頑張っているのが、なんとも、白けるというか…。

東京や富士山が重要な舞台になっているのだが、その描写が、いかにも西洋人や中国人が妄想するニッポンという感じなのも、ガッカリ感が強い。

ということで、この映画の製作時、del Toroは、"The Shape of Water"の方に夢中で、こっちはほったらかしだったのではないかと思える薄っぺらい映画ではあった。とはいえ、男子中学生マインドの刺激ポイントはそれなりに押さえていて、燃えるところは燃えるのだが…



恐らく、単発で鑑賞したら、"Pacific Rim: Uprising"の評価はもっともっと低かったはずですが、その直前に、水木兄貴の「ぜぇぇぇっと!」で盛り上がっていた訳で、その勢いで観る巨大ロボと怪獣の戦いには、やはり熱くなったのでした。