IN/OUT (2018.4.15) |
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最近、気になる言葉遣いに「~させていただく」というのがあります。使っている本人は、謙譲語のつもりなんだろうとは分かるのですが、普通に「~する」で良いと思える場面でも多用されているのを耳にすることが、急増しているように感じます。回りくどい感じにイラッとくるんですけどねぇ。 最近のINGIZMODROM @ オーチャードホール (18.4.9)Gizmodromeのライヴを観に、オーチャードホールに行ってきた。 元 The Policeのドラマー Stewart Copeland、元 King Crimsonのギタリスト Adrian Belew、元 Level 42のベーシスト Mark King、そして、元 PFMのキーボーディスト Vittorio Cosmaが結成した、まさにドリーム・バンドである。今回の来日ツアーでは、サポートドラマーに、やはりLevel 42のPete Ray Bigginも参戦。もう、メンツを聞くだけで腰が抜けそうなメンバーだ。ただし、失礼なことに、私は、彼らの一枚しか出ていないオリジナル・アルバムすら予習していない状態での参戦だ。 が、ライヴ一発でこのバンドの大ファンになってしまった。とにかく、メンバー全員が馬鹿テク。圧倒的な音数と音圧で攻めてくるサウンドは、1980年代のKing Crimsonがストリートに飛び出した、という雰囲気で、超絶カッコ良し。 舞台に向かって左にVittorio Cosma、奥にサポートのPete Ray Biggin、そして舞台中央に、Adrian Belew、Mark King、Stewart Copelandが並ぶ布陣。そう、一曲目は、Copelandはギターを弾きながら歌い、ドラムは叩かないのだ。これが、なかなかどうしてカッコ良い。というかCopeland、悪ガキのようにはしゃぎまくった演奏だ。彼のハイテンションのアクションが、終始、このライヴを引っ張っていく。初めてちゃんと聴いた、Gizmodromeのオリジナル曲も凄いじゃないか! 2曲目で、Stewart Copelandもドラムを叩くのだが、聴いた瞬間に彼だと分かる特徴的なドラム・サウンドが嬉しい。 Gizmodoromeのオリジナル曲以外に、メンバーそれぞれの過去の曲も演奏されるのだが、The Policeのナンバーは、"Miss Gradenko"や"Darkness"などのCopleland作品。個人的に"Miss Gradenko"は大好きな曲だし、こういうナンバーを聴くと、The Policeが決してStingのワンマン・バンドでは無かったなと再認識する。さらに、Adrian Belewの参加で期待していた80年代Crimsonからは、"Elephant Talk"に"Thela Hun Gingeet"。ちょっと、Adrian Belewのヴォーカルの調子は悪かったようだが、演奏は5人とも超絶技巧で文句なしに凄い。さらに、Adrian Belewのソロ作 "Young Lions"も演奏された。Adrianの作品の中でも最も好きな曲の一つで、もう、悶絶なのである。まさか、2018年になって、この名曲を、Stewart Copelandのドラム付きで聴けるとは!! 彼らの凄いところは、こうした過去の名曲を、昔懐かしのアレンジではなく、Gizmodoromeとしてのアレンジと超絶テクでカッコ良く演奏してみせるところだ。そして、最新のオリジナル曲もハードに攻めるナンバーが多く、余裕を感じさせながらも本気で疾走し続けるベテラン・ミュージシャンの凄みを十二分に堪能できるライブだった。 「角川映画 シネマ・コンサート」@東京国際フォーラム (18.4.14)日本の映画界で独自の存在感を放つ角川映画、その初期の代表作「犬神家の一族」、「人間の証明」、「野生の証明」の3作品をダイジェスト上映しながら、バンドとオーケストラの生演奏を被せるという公演を観に、東京国際フォーラム ホールAに行ってきた。 3作品の音楽を手掛けた大野雄二自身もピアノとフェンダーローズを演奏。"SUKE-KIYO"オーケストラと名付けられたバンド/オーケストラは、クラシック系のストリングスや管楽器、さらにエリック・ミヤシロらジャズ系のミュージシャンが集結した総勢50名近い実力者揃い。 第一部では、1976年の角川映画第一作「犬神家の一族」を上映しながらの演奏。この日のために大野雄二がアレンジし直したという音楽と画面のシンクロは完璧だ。この映画のテーマ曲「愛のバラード」を特徴付ける楽器、ハンマーダルシマーもステージ上で演奏され、あの音色がオリジナルのままに再現されているのが嬉しい。そして改めて感じたのは、大野雄二の音楽って、あちこちに「ルパン三世」のサウンドが顔を出すなぁということだ。 ダイジェスト版ながら、ちゃんと最後の謎解きまで上映された後、テーマ曲を今度はジャズ・アレンジで演奏。その後、この映画の金田一耕助役 石坂浩二が登場し、大野雄二とトーク。この二人は慶應義塾高等学校の同級生だったという縁がある。そして、二人とも学生時代からプロ活動を始め、今も現役で活躍中と言うことで、興味深い話が盛り上がる(市川崑監督の演出をバッサリ批評する石坂浩二…)。 15分の休憩後は、「人間の証明」と「野生の証明」を続けて上映&演奏。どちらも、主題歌が印象的な作品だが、「人間の証明のテーマ(オリジナルの歌唱はジョー山中)」はダイアモンド☆ユカイが、「戦士の休息(野生の証明の主題歌。オリジナルの歌唱は町田義人)」は松崎しげるが歌うという豪華仕様。一通り演奏が終わると、ダイアモンド☆ユカイと松崎しげるが再登場し、劇中歌としてワン・コーラスだけだった両曲を、今度はフル・コーラスで歌いきる。そして、アンコールは大野雄二がピアノ・ソロを披露し、全編終了。 「映画」と「原作本」と「音楽」を一体でプロモーションする「メディアミックス」の代表とも言える角川映画。その「音楽」に焦点を当てた好企画だった。 相手に多用されると、ついつい自分でも使ってしまうことがあるのが、さらにイラッとする… |