IN/OUT (2018.4.1)

オープンしたばかりの、東京ミッドタウン日比谷へ行ってきました。目当ては、TOHOシネマズ日比谷。物凄い人出で、映画館に辿り着くだけでも大変という感じでした。どの飲食店も大行列で、皆さん、新しもの好きだなぁ(まあ、他人のことは言えないが…


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「国民の叔母 清水ミチコのひとりジャンボリー RETURNS」@中野サンプラザ18.3.31

清水ミチコのライヴを観に、中野サンプラザに行ってきた。この「ひとりジャンボリー・ツアー」。相模女子大グリーンホールでツアーの初日を観たのだが、それから5ヶ月。今回はツアーの追加公演の千秋楽である。

全体の構成やネタは、グリーンホールで観た初日と同様だが、当然、ツアーの間にすっかり練られ、完成度が高まっているし、「証人喚問」や「各界騒動」など、旬の時事ネタが新規追加されている。実弟 イチロー君は、最近では細野晴臣のコンサートの前座を務めるなど、ますます玄人っぽくなっている。見応え多数だ。

そして、今回も「作曲法」ネタの充実ぶりが楽しい。改めて、音楽性と笑いの両立という点で唯一無二の芸人だと思う。最終日の東京での公演とあって、会場に集結した「ミッチル(清水ミチコ・チルドレンの事)」の反応も良く、清水ミチコが客席に向かって「座って、座って」と連呼する盛り上がりである。

ダブル・アンコールの最後を締めるのは、矢野顕子の「ひとつだけ」。実は、それほど似ていない物真似ネタも多いと思う清水ミチコだが、矢野顕子に関しては、その声は表面的にはイマイチ似ていなくても、そのスピリットの共鳴ぶりに、矢野ファンの私も満足なのである。


"The Post"18.3.31

Steven Spielbergの新作を観てきた。邦題は「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」

舞台は1971年。米国政府がベトナム戦争を密かに分析した結果、勝算が無いことを知りながら、それを隠蔽し戦線拡大に突き進んでいたことを示す文書の存在が、ニューヨーク・タイムズによってスクープされる。ライバル紙ワシントン・ポストも、その文書を追う。一方、政府は記事差し止めを指示。映画は、報道の自由のために立ち上がるワシントン・ポストの記者、そして社主の姿を描く、実話ベースのストーリーだ。

Spielbergが、Trump政権発足後、直ちに製作に取りかかり、短期間で撮り上げた事からも明らかなように、描かれている時代はNixon政権下だが、そのメッセージは現代に向けられている。"Fake News"を連呼し、自身に批判的なメディアへの攻撃を繰り返すTrump大統領への明確な反対意思の表明と捉えられるセリフも多い。そして、そのようなセリフを発するとき、主演のMeryl StreepとTom Hanksの演技が一段と迫力を増す。

とはいえ、そこは、エンターテインメントを熟知したSpielberg。説教臭くなることはなく、派手さの無いストーリーでもしっかり盛り上げる手堅い演出だ。実務能力の乏しいお嬢様社主と思われていたワシントン・ポストの社主(米国で最初の女性の新聞社社主だったそうだ)が、ハードな決断を下す姿に説得力を与えるMeryl Streepの演技も流石。

Nixon政権をさらに揺るがすことになる事件を予感させるラストシーンも、Trump大統領への警告と受け取れそうだ。気骨溢れる映画だ。


"Darkest Hour"18.4.1

1940年、ナチス・ドイツがヨーロッパ大陸で進撃を続けているときに英国首相になったWinston Churchillを描いた映画を観てきた。"Dunkirk"で描かれた撤退作戦の時期の英国側を描いた作品とも言える。邦題は「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」

ほぼ全編出ずっぱりのChurchillに扮したGary Oldmanの熱演が、とにかく凄い。観る前は、わざわざ辻一弘にメークをさせて、輪郭から違うGary OldmanにChurchillを演じさせる必然性があったのかと思っていたのだが、この演技を観れば納得。アカデミー賞の主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞を獲得したのも当然だと実感。

演技とメーク以外にも見応えはある。Churchillの毒気を和らげ、観客に感情移入させる役割で女性秘書(演じるのは、Lily James嬢!)を登場させたり、地下鉄の車内で市民と触れ合うエピソードを挿入したりと、作劇的な盛り上げ方が巧みで、ラストに向け映画的な高揚感が溢れる。

以前は、この時代の欧州のことには疎かったのだが、"Dunkirk"が良い予習になったとも言えるな。



そのTOHOシネマズ日比谷。印象としては、都内のシネコンではベストかも。大規模だけど、ワンフロアにまとまっているので、エスカレーターでの上下が無いし、入場口には(私がずっと設置を熱望していた)現在開場中の作品が一目で分かるディスプレイが設置されています。今後も通う機会が増えそうです。