IN/OUT (2017.11.5) |
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今年も、学生さんよりも近所の家族連れで賑わう異色の大学祭、東京海洋大学の「海鷹祭」に出かけてきました。 校舎内で、国内外来種(例えば、琵琶湖産アユを日本中に放流したため、オイカワなど他の琵琶湖産の魚も日本中に拡散している)の問題を学んだ後は、恒例、マグロの漬け丼と鯨汁。今年も、ごちそうさまでした。 最近のIN"Colossal" (17.11.3)Anne Hathaway主演の映画を観てきた。邦題は「シンクロナイズドモンスター」。 自らエグゼクティヴ・プロデューサーも務めているAnne Hathawayが演じるのは、失業後、酒浸りになり、日々、友人達と羽目を外す自堕落な生活を送る負け組女子。ついには同棲中の彼氏からニューヨークの高級アパートを追い出され、故郷に戻る。地元の、幼なじみが経営するバーでウェイトレスを始めるが、やはり、酒浸り。お洒落女子の憧れ、Anne Hathawayが、この映画では、ほとんどのシーンで酔っ払い、醜態をさらしている。 一方、韓国のソウルでは、突如とし巨大モンスターが現れ、ビル街を破壊する。TVやネット配信の動画を見るうち、彼女は、そのモンスターの動きが自分とシンクロしていることに気づく。地元の公園で、彼女がダンスを踊れば、ソウルでは巨大モンスターが同じダンスを踊っているのだ(もちろん、巨大モンスターなので、その動きで町を破壊し、人が死ぬのだが…)。まさに、奇想の物語。酒浸りの上に、モンスターにシンクロするというキャラクターを、自らのプロデュース作で演じるAnne Hathaway。 ただし、彼女が、自虐に走っているかというと、そうでもない。元々が、ヘンテコな設定の物語だけに、その展開も予想外なのだが、一貫しているのは、ダメ彼女の周囲にも、常に、彼女を憧れの目で見る男性がいること。しかも、揃って、彼女以上に嫌な奴か駄目な奴。意識高い系の嫌み男だったり、自らのコンプレックスの裏返しで暴走したり、見た目はイケメンでも優柔不断で頼りなかったり。相対的に、Anne Hathawayが良い人に見えてくるのだ。ただし、冷静に考えると、異常な体験を通じて、彼女が人間的に成長したいうこともなく、常識的な振る舞いが出来るようになっただけじゃないか、という気もする。私は、Anne Hathawayに対しては、キュートと言うよりエキセントリックという印象を持っており、この映画の姿こそ「素」なのではないかと思えてしまった。 劇場一般公開の前に、今年の「したまちコメディ映画祭 in 台東」で上映されていた作品と聞いていたのだが、思いのほか、笑いの要素は少なめ。いつもと違うAnne Hathawayを観るための映画だと思う。そして、深酒は良くないなと身に染みる映画でもある。 「国民の叔母 清水ミチコのひとりジャンボリー」@相模女子大グリーンホール (17.11.3)清水ミチコ、2017年のホール・ツアー「ひとりジャンボリー」の初日を観に、相模大野に行ってきた。以前、ここのホールを訪れたときは「グリーンホール相模大野」という名称だったと記憶しているので、チケットを取った時は疑問だったのだが、2013年からネーミング・ライツ・スポンサーになった「相模女子大」の名前を冠しているそうだ。昭和女子大学人見記念講堂が女子大の学内に在るのに対し、グリーンホールは相模女子大学の中に在るわけでは無い。残念ながら(?) 冒頭から、時事ネタを取り入れた爆笑ビデオ。TVでは流せない、歯に衣着せぬ系のネタが続く。これまで、彼女の公演は、かなりの回数、観ているが、古い昭和のネタ(いまだに「きんさんぎんさん」の物真似とか)を相変わらず引っ張っる一方で、色々と新陳代謝も図られていて、その向上心に感心する。 今回の特徴は、瀬戸内寂聴ネタに込められた毒気がさらにキツくなっていること。幕間のビデオで海外ロケを敢行したこと(例によって「ホーミー」絡み)。実弟イチロー君が、いよいよミュージシャンとしての実力を出してきたところ(遠藤賢司と高田渡の楽曲を披露)。そして、何よりも楽しかったのが、「作曲法」の充実だ。 このネタは、物真似では無く、そのミュージシャンの楽曲作りの特徴を、毒気たっぷりに、いかにもそのミュージシャンが作ったかのような旋律とアレンジで歌うという、高度な音楽分析力と笑いのセンス、そして演奏力を兼ね備えた清水ミチコの独壇場。これまでも、中島みゆきや山下達郎ら大物ミュージシャンの楽曲作りのコアな部分を笑いに仕立ててきたのだが、今回は、新ネタ多数。柑橘系デュオ、ハンド・メガホンを持って歌うのが似合うエキセントリック系女性歌手(彼女も果物系だ)、さらには、彼女が取り上げるとは思ってもみなかった超大物国内ロック・デュオまで、色々と。 実のところ、「物真似」としては、あまり似ていないネタも多数なのだが、その特徴の切り取り方のセンスと、高い音楽性(スタインウェイのグランド・ピアノを弾き語りながらネタを披露する芸人は、彼女ぐらいだろう)は、いつ見ても私のツボにドンピシャリ。ツアー初日ということで、ぎこちないところも見られたが、そこもまた楽しく、大いに満足した公演だった。 "Thor: Ragnarok" (17.11.4)Marvel Cinematic Universeの新作を観てきた。"Ragnarok"とは、北欧神話に出てくる終末の日の事。Thorが北欧神話の雷神をベースにしたスーパー・ヒーローなので、北欧神話由来の原題になっているが、邦題は「マイティ・ソー バトルロイヤル」。恐らく、英語ネイティブの人にとっても、Ragnarokは馴染みのある言葉じゃ無いと思うので、英語の内容と完全には合致しない邦題を無理に付ける必要は無かったと思うのだが… Marvel Comicの様々なスーパーヒーローの単独主演作を重ねながら、数年に一度、彼らが一堂に会する"Avengers"で盛り上げるというMarvel Cinematic Universeのフォーマットがすっかり定着し、この作品も安心して楽しめる一本になっている。このシリーズは、「単独主演作」にも、他のスーパーヒーローが登場するところがお楽しみの一つになっている訳だが、この映画の場合、Thorの主演作であり、当然、その弟にして敵役のLokiが重要な役割で登場する上に、準主役的な立場でHulk、さらに、Doctor Strangeも出演し、Black Widowもちょっとだけ顔を出すという豪華仕様。Chris Hemsworth、Tom Hiddleston、Mark Ruffalo、Benedict Cumberbatchら、主役級の俳優が目白押しだ。 悪役を演じるのは、Cate Blanchett。さすがの貫禄。そして、Jeff Goldblumが、辺境の惑星の支配者を楽しそうに怪演しているのも面白い。Anthony HopkinsやSam Neillも出演し、浅野忠信も、短い登場時間だが、しっかり目立っている。因みに、例によってStan Lee御大のカメオ出演もあるし、クレジット外の出演者にはMatt Damonもいるという、豪華仕様。 映画の内容は、フォーマットに従ってちゃんと製作され、入場料分はきっちり楽しめる、定番Marvel作品以上でも以下でも無いという物だが、出演者の顔ぶれの凄さに圧倒される作品だった。結局、Marvelのこのシリーズ、なんやかんや言いながら、見続けるのだろうな。 "MICHEL CAMILO featuring ELIEL LAZO"@ブルーノート東京 (17.11.4)ドミニカ出身のジャズ・ピアニスト、Michel Camiloの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。今回は、キューバ出身の(現在はデンマークを拠点にしている)パーカッション奏者 Eliel Lazoとの共演である。Michel Camiloのピアノは、その超高速プレイと、ラテン系の御陽気さが楽しく、来日公演があれば、極力、観に行くことにしているのだが、今回の共演も楽しく、また、新鮮なものだった。 ラテン系の二人で相性は抜群。Michel Camiloのピアノは、パーカッションを意識してか、いつも以上に打鍵の強さが強烈に響いてくる。一音・一音が、ドラムのような強靱さ。そして、当然、超速。対するEliel Lazoのパーカッションも負けておらず、二人のやり取りは実にスリリングだ。ひとしきり激しいプレイをした直後、「次はそっちだ」とばかりに、ピアノ越しにEliel Lazoを指さすCamiloのアクションが、カッコ良い。 予定調和では無く、アドリブの応酬で二人が全力でぶつかり合っているのだろう。激しい演奏が終わったあと、興奮した様子でCamiloがLazoにハイタッチを求めに行く姿もまた、ライヴならでは。ミュージシャンって、カッコ良いなぁと思う瞬間だ。 私の目の前のご婦人が、ボンバー・ヘッド的パーマの方で、ステージが見づらかったのが、いささか辛くはあったが、やっぱり、Michel Camiloはいいぞ、と実感するステージだった。 トランプ大統領の来日による警備強化で、駅のコインロッカーが使えなくなっていて、その旨の告知が駅構内に流れていました。あ、日本語だけで無く、英語でもアナウンスしているのだと気づいたのですが、気づいたときには前半は終わっていて、聞き取れたのは「....... Trump, President of the United States. We apologize for the inconvenience」。妙に納得した今日この頃です。 |