IN/OUT (2018.3.25)

先週は、まさに彼岸の日に寒さがぶり返しましたが、彼岸を過ぎれば、やはり寒さは終了。異常気象の話題が多くても、季節の進行は暦からは逸脱しないものですな。


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「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」@森美術館18.3.24

森美術館アルゼンチン出身の現代アーティスト Leandro Erlichの作品展を観に、森美術館に行ってきた。金沢21世紀美術館に恒久設置されている「レアンドロのプール」で、日本でもお馴染みの作家だ。

大掛かりなインスタレーションが多数設置された館内は、とにかく面白い。迷宮と化した試着室、裏表が逆転したエレベーター、鏡の向こう側に拡がる学校の教室(と、そこに映り込む観客)などなど、観ている者が日常生活の中で当たり前だと思っている視点を根っこから揺さぶられる体験の数々。

森美術館
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ/「建物」
右の写真はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。

自分自身が作品の中に入り込んで写真撮影OKということで、インスタ映えを狙った若いお客さん達も大喜びだ。さらに、彼が、過去に行った大規模なインスタレーションの数々も、実際の写真と、その模型で再現するというサービスぶり。大規模な現代美術館、森美術館で無ければ出来なかった展覧会だろう。一歩間違えれば、ものすごく気の利いたトリックアートに堕す可能性があるという気もするが、やはり現代アートだと納得させる力量を感じさせるところが凄い。


「現代美術に魅せられて 原俊夫による原美術館コレクション展18.3.25

原美術館1979年の開館以来、約40年にわたって収集されてきた原美術館の収蔵品から、原俊夫館長自らがキュレーションを行った展覧会。2月に観た「前期」に続いて、企画展の開催などをきっかけに収蔵された作品を主とする後期の展示を観てきた。

美術館の入り口に置かれているのは、Jean-Pierre Raynaudの「アタッシェケース」。常設展示されている彼の「ゼロの空間」は原美術館を代表する作品だが、同じテイストを持った小品がエントランスでお出迎えというのが、気が利いている。

企画展をきっかけに収蔵された作品と言うことで、見覚えのある作品も多い。特に、Pipilotti Ristの「ラップランプ」、やなぎみわの「案内嬢の部屋 1F」、米田知子の「藤田嗣治の眼鏡」など印象深かった作品との再会が嬉しい。荒木経惟の「花淫」や奈良美智の「Eve of Destruction」など有名作の展示もある。奈良美智と言えば、普段は閉じた扉の向こう側にあって気がつかない人もいる「My Drawing Room」。今回は扉が開かれているのもコレクション展ならではの良い事だと思う。「秘密の部屋」という感覚がなくなるのは、ちょっと残念ではあるが。

様々な作家の様々な作品が並ぶコレクション展なので、「見応え」と言うより「見所」の多い展覧会だと思うが、原美術館の魅力が凝縮されている。同じ現代美術館でも、森美術館とは違う方向性で、それがまた、好ましいのだ。



原美術館内の中庭に面したカフェで昼食。窓を開け放し、とても気持ちの良い一時、と言いたいところ、邪魔をするのは例によってスギ花粉。これさえなければ、素敵な時期なんですがねぇ。