IN/OUT (2018.3.18)

年度末が近づき、色々と落ち着かない日々が続きます。


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"The Killing of a Sacred Deer"18.3.17

ギリシャ出身の映画監督、Yorgos Lanthimosの新作を観てきた。邦題は「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」。

監督の前作、"The Lobster"が、「45日以内にパートナーを見つけられない独身者は動物に変えられる」というシュールな設定だが妙に印象に残る作品だったので、この作品もどれだけ捻くれた映画だろうかと思っていたのだが、意外にも、「呪い」を主軸においた、ある意味分かりやすいサイコ・ホラーだった。

Colin Farrellが演じる主人公は、心臓外科医。美しい妻(Nicole Kidman)と二人の子供と共に、幸せな家庭を築いている。しかし、彼が以前担当した患者の息子が、この家庭に不気味な影を投げかける。そして、主人公は究極の選択を迫られることになる…

恐らく、このストーリーを普通に撮れば、Stephen King風のスリラー映画になる題材だと思う。実際、徐々に増してくる不安感、そして、効果的な音楽が恐怖感を盛り上げ、とても怖い雰囲気だ。しかし、そこはLanthimos監督。不条理で、残酷で、そして皮肉な笑いが仕込まれた、一筋縄でいかない映画になっている。特に、「呪い」を前にした家族達の反応は、ブラック・ユーモアであると同時に、自分ならどうするのか、深い疑問も投げかけられる。

究極の選択を前にして主人公が下す決断。そして、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、微妙な空気を残すラスト。矛盾した表現だが「心地よい不快感」が癖になる作品だ。



正確に言うと、期初の変化に向けた対応が色々とある時期で、これもまた「春」という雰囲気ですな。