IN/OUT (2017.10.22)

Microsoftが、Windows 10 Mobileの実質的終息を公表し、ほぼ分かっていたとはいえ、落胆する今日この頃です。確かに、登場時は酷かったけど、その後のアップデートで、今では(アプリの少なさは別にして)、かなり使いやすいスマートフォンになっているのですけどねぇ。


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「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち」舞台挨拶17.10.21

NHK BSプレミアムの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」の劇場版を観てきた。このような、TV番組の安直な映画化というのは、好きでは無いのだが、舞台挨拶に岩合氏が登壇されるというので、公開初日、初回上映を観に、角川シネマ新宿に行ってきたのだ。岩合氏は、世界一猫に愛されている人というだけでなく、プロ・カメラマンとしてのメイン機材にオリンパス製マイクロ・フォーサーズ機を使用されており、最近、フルサイズ陣営の攻勢にあってたじろぐ我々オリンパス製ミラーレス機使用者の心の支えともなっている偉人なのである。

朝一番、10時開演の舞台挨拶ということで、マスコミ取材は無し(取材は、その後行われた、ユナイテッド・シネマ豊洲での挨拶に入ったみたいだ)。岩合光昭氏と、映画版のナレーションを務めた吉岡里帆嬢が登壇。岩合氏の観客に向けての第一声は、「みんな、いいコだねぇ」。お馴染みのセリフに和む会場。インタビュー自体は、あまり深い突っ込みが無い感じで物足りなさもあったが、TVと同じ印象の語り口と、自分では無くスタッフ全体での仕事ということを強調する姿勢に、岩合氏の人柄が滲み出ていると思う。

20分の舞台挨拶後、本編上映。映画は、津軽のリンゴ農園で暮らすコトラとその子猫たち(このリンゴ農家の方々が可愛がっているが、基本、野良猫)を1年4ヶ月間にわたって撮影してきた映像を中心に、合間合間に、世界各国で撮影されたネコの映像も挿入されるという構成。TV用に収録された映像の他に、この映画のために新たに撮影した、成長した子猫たちの最新の様子も、最後に映される。

スタッフは、番組製作の最初から、映画を意識した映像を心掛けてきたそうだ。その一例が、TV的なズームに頼らないことだと、岩合氏は舞台挨拶で語っていたが、改めて映像を見てみると、確かに納得。大スクリーンで観ても、何ら見劣りすることの無い、堂々たる映像だ。

まあ、舞台挨拶が無ければ、わざわぜ映画館で観ることは無かっただろうな、とは思うが、休日の午前中から、すっかり和んだのである。


"Happy Bhag Jayegi"17.10.21

今週も、ヒューマントラストシネマ渋谷にて絶賛開催中、インディアン・フィルム・フェスティバルの上映作品の一つを観てきた。邦題は「ハッピー ただいま逃走中」。

親が無理強いした地元政治家との結婚式から抜け出し、恋人と示し合わせたトラックで逃亡を図った花嫁。彼女の名前がハッピー。しかし、間違ったトラックに飛び乗ってしまったばかりに、翌朝、到着したのは、隣国にしてインドの仇敵 パキスタンのラホール。果たして彼女の運命は、というコメディ映画。

最初は、このハッピー嬢がキュートな娘さんで、周囲を文字通りハッピーにしながらパキスタンからインドに帰り着く筋立てかと思っていた。しかし、どうも雲行きが怪しい。ヒロインであるはずのハッピー嬢が、こちらが期待していたような可愛らしさとは真逆のキャラ。とにかく、強気のマシンガン・トークと独善的で悪びれない態度で周囲を圧倒する強烈なキャラクターなのだ。私には感情移入出来ないヒロインで、これはハズレの映画だったかと危惧したのだが、この作品の魅力は、ハッピー嬢ではなかった。

ハッピー嬢は、狂言回しというか、触媒というか。その、底抜けにポジティブなパワーで周囲を文字通り「ハッピー」にしていくのだ。物語の実質的な主人公は、彼女の面倒を見る羽目になった、ラホールの有力政治家の二世。元々はクリケット選手を夢見ていたが、父親の意向に流され、政治家修行をしている頼りない青年だ。ハッピー嬢に感化された彼の成長が、この映画の本筋なのだ。さらに、彼に仕える召使い夫婦、彼の婚約者、そして、ラホールの警察幹部。これらの人を巻き込んで、いかにハッピー嬢を無事にインドに帰すか、大騒動が繰り広げられる。そして、これら登場人物が、みな、実は良い人、というのもハッピーなポイントだ。中でも、青年の婚約者は、多くの観客が感情移入出来る、実質的ヒロインと言えると思う。

ラストのキレも良く、楽しめるドタバタ・コメディだった。なお、先週観た"Dishoom"でも、パキスタンとの関係、そして、クリケットが背景に描かれており、この辺りを押さえておくことが、インド映画をより深く楽しむための肝だと思う。


"Atomic Blonde"17.10.21

Charlize Theron主演のスパイ・アクション映画を観てきた。

舞台は、ベルリンの壁崩壊直前、1989年のベルリン。世界中のスパイの名前が記されたリストが奪われ、英国 MI6の秘密諜報員の主人公は、その奪回と、裏で暗躍している二重スパイの正体を暴くため、ベルリンに乗り込む。

なんと言っても目を引くのは、Charlize Theronの肉体美だ。美人スパイと言っても、不二子ちゃん路線とは正反対の、ストイックに鍛え抜かれた肉体から放たれる殺気溢れるアクションは、見事の一言。監督のDavid Leitchは、元々、スタントマンとして数多くのアクション映画に携わり、"John Wick" の共同演出を務めた人だけに、その切れ味は凄まじい。このアクションと、Charlize姐さんの男前ぶりを観るだけで、充分に価値のある映画だ。

しかし、それ以上に私に響いたのは、音楽だ。これはもう、1980年台後半のMTV グレイテスト・ヒッツと呼んで構わないだろう。なんと言っても、映画の最初の方にカッコ良く流れるのが、David Bowieの"Cat People (Putting Out Fire) "。当時の超ヒット・メーカー Giorgio MoroderとBowieが組んだ大名曲にして、極私的にも、大好きな曲なのだ(本来は、同名の映画の主題歌だった訳だが)。他にも、New Orderの"Blue Monday"、Peter Schillingの"Major Tom"、'Til Tuesdayの"Voices Carry"、Siouxsie and the Bansheesの"Cities in Dust"、"A Flock of Seagullsの"I Ran (So Far Away) "、The Clashの"London Calling"等々、感涙の名曲ばかり。特に、この時代のベルリンを舞台にするなら外せないヒット曲 "99 Luftballons"は、NenaによるオリジナルとKaleidaによるカバー版が、違う場面で二度使われるのだが、アレンジの違いがそれぞれの場面に見事にフィットしていて、その選曲センスには脱帽だ。この作品を観るまで、今年、唯一無二の音楽映画だと思っていた"Baby Driver"が、音楽にシンクロさせたアクション・シーンを演出していたのとは逆のアプローチで、そのシーンに合った選曲の妙を見せつけてくれるのが今作だ。しかも、それが、1980年代後半のヒット曲ということで、私としては燃えざるを得ないのである。

そして、映画のラストにかかるのは、Queen and David Bowieの"Under Pressure"!このカッコ良さ。文句なし。

因みに、スパイ・アクションとしては、ラストに向けて、どんでん返しにつぐどんでん返しという構成になっているが、意外に分かりやすい感じもある。ただ、続編の作りづらい終わり方だと思うのだが、これだけの当たり役を手にしたCharlize姐さん、果たしてどうするのだろうか?



まだ、しばらくは手持ちのWindows Phoneを使うとして、次の買い換え時には、どうするか。どうも、勝ち馬に乗ることが苦手なんだよなぁ。