IN/OUT (2016.5.22)

高浜運河運河の主役が、ユリカモメからカルガモ親子に代わり、もう初夏ですね。。


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「渡辺香津美 ギター生活45周年祭 ~Guitar Is Beautiful Special~」16.5.20

渡辺香津美のギター生活45周年を記念したライヴを観に、オーチャードホールに行ってきた。

まずは、高校生時代の渡辺香津美が(既に素晴らしいテクニックで)ギターを弾く映像、そして、生まれ故郷である渋谷の町を彼が案内するという趣向の「ブラカズミ」の映像が流れる。ナレーションを務めるのは、クラシック・ギタリスト 村治佳織(彼女は、この日の裏主役とでも言うべき立ち位置だった)。

そして、香津美本人が登場し、笹路正徳(キーボード)、井上陽介(ウッドベース)、高水健司(ベース)、HORACIO "EL NEGRO" HERNANDEZ(ドラムス)、ヤヒロトモヒロ(パーカッション)、本田雅人(サックス)という、凄腕バックバンドと共に、一曲目、MOBO倶楽部の「Σ」から演奏開始。途中、ゲスト・サックス・プレイヤーの菊地成孔も加えながら、フュージョン / クロスオーバー時代の曲を熱演。特に、アルバム「KYLYN LIVE」から「Milestones」と「Innerwind」を演ってくれたのが嬉しい。

休憩を挟んで第二部は、次々とゲスト・ギタリストを招いて、それぞれ二人で共演していくという趣向。そのメンバーが凄い。まずは、アコースティック / クラシックギター系で、三浦拓也(DEPAPEPE)、伊藤ゴロー、村治佳織。続いて、ヴォーカル入りの高田漣、ここで、唯一のギタリスト以外のサプライズ・ゲスト May J.(渡辺香津美とはNHKの番組で一緒にMCを務めたりしている仲。"Someday My Prince Will Come"を熱唱)、そこから、エレキ系となって、井上銘、生形真一(Nothing's Carved In Stone)、SUGIZO、フラメンコの沖仁、最後に押尾コータロー。押尾コータローとは、クラシックの「ボレロ」を演奏したのだが、あのフレーズが何度も繰り返される中、徐々に、ゲスト・ギタリスト達がステージに戻ってきて演奏に参加。最終的には10人のギタリスト、さらに、2人のサックス・プレイヤーとバックバンドで圧倒的な音圧に! いやぁ、盛り上がった。皆、個性的なギター・プレイだ。テクニックを見せつける三浦拓也や沖仁も凄かったし、SUGIZOの独特の存在感は、ちょっと次元が違うという感じ。そして、その個性派達全員と、見事に音を重ねていく渡辺香津美の引き出しの多さには驚くばかりだ。これだけのゲスト・プレイヤーを捌くのだから、PAさんも大変だったと思う。実際、村治佳織との共演では、冒頭、彼女のクラシックギターの音がスピーカーから出ないトラブルもあったのだが、それも仕方ないだろう。というか、アンプを通さない生音で聴けた彼女のクラシックギターの音色の美しさが印象的で、むしろ、有り難いトラブルだった。

アンコールは、渡辺香津美の代表曲「Unicorn」。元々が、キャッチーな名曲だが、今回は本田雅人のサックスが加わり、もうカッコ良いという言葉しか思いつかない演奏だ。

そして、再び、ゲスト・ギタリスト達が舞台に戻り、最後の曲「Island Hop」。何故か、村治佳織の姿だけ舞台上に無いのだが、とにかく、一人一人、ソロを回していく。それぞれ、短いフレーズの中で個性を主張するプレイが楽しい。一通り、各ギタリストのソロが終わったと思ったところで、村治佳織がなんとエレキギターを携え登場! 華麗な指さばきでエレキ・ソロを決める。彼女がエレキ・ギターを弾く姿をライヴで観られるとは!! もちろん、最後は渡辺香津美のソロもバッチリ。

3時間を超えるライヴはこれで終了。改めて、渡辺香津美というギタリストの物凄さを実感するライヴであり、かつ、本当にハッピーな雰囲気に満ちた楽しいイベントだった。


「すれ違いのダイアリーズ」16.5.21

タイ映画を観てきた。本国で大ヒットを記録したという作品。原題のアルファベット表記は"Khid thueng withaya"

電気も通じず、携帯の電波も入らない山奥のダム湖にある水上小学校に赴任した、筋肉馬鹿タイプの新人教師。指導方針に悩む彼は、前任の女性教師が残した日記を見つける。彼は、その日記から学び、励まされ、教育者として成長していくと同時に、まだ見ぬ女性教師に恋心を抱くようになる。映画は、1年前の前任女性教師の物語と、現在の新人教師の物語を交互に語りながら進む。そこには、一年間という時差があるのだが、やがて一つの結末に収れんしていく。

この脚本が巧みだ。冷静に考えれば、そんなに上手くいくはずが無いような展開も、映画を観ている間は気にならない。むしろ、時間も空間も飛び越えたファンタジーを見事に成立させている。日本では考えられない超田舎の暮らし、微笑ましい子役達の自然な演技、写真や柱の傷など小道具の効果的な使い方。滅多に見ることの無いタイ映画だが、レベル、高し。

素朴な味わいの中、遠くにいる人のことを想うという事に対して覚える甘酸っぱい感傷。そして見終わった後には爽快感。これは、掘り出し物の名作だった。



雛が小さい頃は、大家族で移動しているのに、徐々に雛が大きくなるにつれ、(恐らく、天敵に襲われたり事故に遭ったりするのだろう)その数が減っていくのが、自然の厳しさを見せつけているようで、ほのぼのとばかりもしていられない、カルガモ・ウォッチでもあります。