IN/OUT (2015.10.18)

飲んで帰る途中、つい、コンビニエンスストアに立ち寄って小腹を満たす物を購入してしまうのが習慣になってしまったようで、健康にも体型維持にもよろしくないなと思う今日この頃。理性ではわかっていても、酔って、その理性が麻痺しているのが問題ですな。


in最近のIN

"The Intern"15.10.11

Robert De NiroとAnne Hathawayの共演作を観てきた。監督は、Nancy Meyers。まさに、この三人の個性がきっちり足し算された、非常に良く出来たハリウッド・ハートフル・コメディだ。

Robert De Niroが演じるのは、ブルックリンで生まれ育ち、40年間、電話帳印刷会社を勤め上げた70歳男やもめ。リタイア後の今も、太極拳で心身を鍛え、身だしなみもパリッとしたままだ。そんな彼が、この二年間で急成長しているネット通販ファッション企業の「シニア・インターン・プログラム」に応募し、社会復帰。経験豊かな彼が、40歳年下のネット企業創業者の心に触れていくというお話。その創業者役が、Anne Hathaway。

Robert De Niroが演じる、お洒落で人情味に溢れ、実務能力にも長け、公私ともに圧倒的な経験値を誇る老紳士は、恐らく、観た人全員が憧れる、素敵な男性だ。"LEON"だの"GOETHE"だのを愛読しているような薄っぺらなおじさんでは足下にも及ばないような、本物のダンディ。そして、彼に暖かく見守られるAnne Hathawayの、やり手のネット企業の創業者とは思えないほどピュアで、豊かな表情。もう、非現実的なまでにチャーミングな主人公二人を観ていると、なんとも幸せな気持ちになれる。

さらに、この映画がすごいのは、主役の二人だけで無く、他の登場人物も飛び切りチャーミングな人ばかりなのだ(Rene Russoが、すっかり年を取った容貌になっていたのは驚いたが)。描かれるエピソードも、心温まるものばかり。ここまで能天気なハッピー映画を臆面も無く送り出すのが、さすがNancy Meyers監督。この映画に関しては、起伏が乏しいとか文句を言うのは筋違いで、ただただ溢れ出すハッピー感に浸るべきだろう。彼女の監督デビュー作"Parnet Trap"を、うっかり観てしまったのは、今となっては我が先見の明を誇るばかりだ。

自分の能力を最大限活かそうとする女性と、それをサポートする男性という点では、先週観た"A Little Chaos"に通じるものがあるとも言える。ただし、"The Intern"は、そこに恋愛を持ち込まなかったことで、さらに、現代的で、主人公二人の機微が浮き彫りになっているところが素晴らしい。

能天気も突き詰めれば、素敵な映画になるお手本のような作品だった。


「春画展」@永青文庫15.10.12

永青文庫2013年に大英博物館で開催され、大評判だった美術展「Shunga: Sex and Pleasure in Japanese Art」。しかしながら、題材が題材だけに、日本では開催の目処が中々立たない中、永青文庫が名乗りを上げ、そればかりか、そのために館内のリニューアルまで行って実現にこぎ着けたという「春画展」を観てきた。

永青文庫は、。旧熊本藩主細川家伝来の美術品などを収蔵する美術館。現在の理事長は、元内閣総理大臣の細川護熙。目白台の閑静な住宅地(かつての細川家の屋敷跡)には、晴天に恵まれた三連休の最終日を春画を見て過ごそうという好事家が大挙して押しかけている(決して、見かけが怪しい人達という訳では無い。普通の美術愛好家っぽい人とか若者カップルとか)。私が行ったときは、入場制限こそ行われていなかったものの、館内満員である。なお、この展覧会は「18歳未満入場禁止」。

展示されているのは鎌倉時代から江戸時代にかけての春画 133点(内、67点が大英博物館での展覧会と共通の作品)。これまで、春画とは浮世絵=版画のことかと思っていたが、肉筆による作品も多い。初期は、物語仕立てのものが多く、その後、即物的な絵だけのものが増えたり、享保の改革で好色本が禁止されてからは、むしろ、アングラ出版だからこそ自由奔放に様々なアイディアを凝らした作品が増えたり。その歴史的変遷は、中々に興味深い。

というか、その変遷が、現代のエロ産業ともダブるところが面白い。そして、ピンク映画界から、後に日本映画を背負って立つ名監督が育ったり、ビニ本業界界隈から、サブカル系文化人が輩出されたりという構図も同じようなものかもしれない。時が経って、すっかり芸術扱いされるようになった「春画」だが、結局は、当時のアダルト業界。ということは、今のアダルト業界も、後世には、別の評価がされる可能性もあるということか。

因みに、グッズ売り場で土産物(春画がプリントされたTシャツ=局部が、ちょうどポケットで隠れる)を物色したり、入り口の看板前で記念撮影しているのは、圧倒的に若い女性が多かったです。


「高橋幸宏 & LOVE PSYCHEDELICO "Special Session"」15.10.17

高橋幸宏とLOVE PSYCHEDELICOのジョイント・ライヴを観に、新宿文化センターに行ってきた。

今年、LOVE PSYCHEDELICOのデビュー15周年記念ツアーに、高橋幸宏がドラマーとして参加していたのをきっかけに、両者のジョイント・ライヴが開催されることになったとのこと。私は、LOVE PSYCHEDELICOを聞き込んだことは無かったが、7月にブルーノート東京でユキヒロの歌声を聴いて、やっぱりこの人の声が好きだと再認識し、その時、告知されたこの公演のチケットを押さえたのだ。

会場は、新宿文化センター。初めて訪れるホールだ。最寄り駅が大江戸線 / 副都心線の東新宿駅という、やや町外れの立地だが、キャパ1,800席の、中々立派な区立施設だ。

ジョイント・ライヴと言っても、それぞれのミュージシャンが別々に演奏するような対バン形式では無い。ユキヒロの曲には、NAOKIがギタリスト、KUMIがヴォーカリストとして参加し、LOVE PSYCHEDELICOの曲にはユキヒロがドラマーとして参加するという、両者が融合した、まさにジョイント・ライヴ。バックミュージシャンは、高桑圭(ベース)、堀江博久(キーボード)、ゴンドウトモヒコ(ホーン)、白根賢一(ドラムス)、高野寛(ギター)。なお、LOVE PSYCHEDELICOの曲ではドラマーがユキヒロになるが、一部の曲では白根賢一とのツインドラムになる。

LOVE PSYCHEDELICOの曲をちゃんと聴くのは初めてだったが、なるほど、通のファンが多いというのもうなずける、もろ洋楽指向のレベルの高い楽曲揃いだ。もう少し、予習していけば良かった。一方、ユキヒロの独特の節回しは、やはり心地良いし、久しぶりに見た、ドラムをガッツリ叩く姿もカッコ良し。これだけ、がっぷり四つに組んだジョイント・ライヴを行えるということは、それだけプレイヤーとしての力量が高いということで、NAOKIのギターも、シンセとドラム・セットを曲毎に行き来するユキヒロも、さすがである。

ただ、1曲目で、いきなりの機材トラブルがあり、仕切り直し。その後も、私の席が二階だったからかもしれないが、この日のPAは、ヴォーカルのバランスも悪く、ノイズも乗っていて、あまり感心しない。ユキヒロの歌声を楽しみに参戦していただけに、ちょっと消化不良感も残ってしまった。



理性の麻痺の度合いも酷くなっているようで、土曜の朝、目が覚めて食卓の上を見てみると、前夜、購入してしまったとおぼしき菓子パンの他に、亀の子タワシが…。一体、どういう頭の働きで亀の子タワシを買ったのだろうか?