IN/OUT (2015.10.11)

先週組み立てた小型PCによるオーディオ環境。ASIOドライバでは、Windowsを操作した時にノイズが乗ってしまうため、WASAPIを使うことにしました。デジタルなので音質自体は変わらないとは言え、小型のロースペックのPCだと、ノイズが乗りやすいようです。あとは、Foobar2000の画面レイアウトを試行錯誤して、ほぼ安定運用にこぎつけました。こういうのを弄り回すのは、やはり楽しいな。


in最近のIN

"What We Did on Our Holiday"15.10.10

Rosamund Pike出演の英国映画を観てきた。邦題は「海賊じいちゃんの贈りもの」。まあ、分からなくも無いが、酷い邦題だ。

ロンドンに暮らす三人の子供を持つ夫婦が、父親の誕生日パーティーに出席するため、父と兄家族が住むスコットランドに向かう。主人公夫婦は離婚寸前だし、兄一家も問題を抱えている。そんな大人達にうんざりしているおじいちゃんと子供達は、スコットランドの美しい海岸で親密な時を過ごす。しかし、そこで事件発生。おじいちゃんのためを思って起こした子供達の行動が、大騒動を巻き起こすというお話。

ロンドン暮らしの夫婦の妻役が、Rosamund Pike。"Gone Girl"での強烈な演技を観てからは、彼女の出演作は無条件に私的要チェックリストの上位に挙がるのだが、この作品は、その他の出演者やスタッフは、どちらかと言えばBBCで活躍するテレビ畑の人が多いようで、派手な要素の無い作品ではある。無邪気な子供達の行動が、バラバラだった家族の絆を再生させるというのも、ベタな設定だ。

ということで、映画の枠組み自体は、ありがちな「ハートフル・コメディ」という奴だが、子供達が巻き起こす大騒動というのが、中々のもの。日本のワイド・ショーだってレポーターを派遣する(劇中、日本人レポーターが映るのだ)ほどの事件なのだ。さらに、製作がBBC Films。いかにも英国らしい捻くれた笑いがスパイスになっている。「石」を愛でる末娘の設定など、秀逸。もちろん、Rosamund Pikeの存在感も光っている。

スコットランドの風景も美しく、良心的な小品という感じ。


"A Little Chaos"15.10.10

Kate Winslet主演の映画を観てきた。監督は、Alan Rickman。Harry Potterシリーズ(Professor Severus Snape役)でも有名な俳優で、本作では、ルイ14世役で出演もしている。彼曰く、自分自身も出演することにしたのは、経費節約のためとのこと。邦題は「ヴェルサイユの宮廷庭師」

ルイ14世の治世下のフランス。ヴェルサイユに新たに作る宮殿の庭園建築のために採用された女性庭師を描く。華麗な宮廷の人間模様、師匠にあたる先輩宮廷庭師との恋愛、主人公の過去に秘められた悲しい出来事など、メロドラマ要素たっぷり。

まあ、これだけなら、あまり私好みの映画では無いのだが、職場ドラマとして観ると、中々に興味深い。主人公は、当時では珍しい、手に職を持った自立した女性。変に男性に媚びることも、逆に、ムキになって張り合うこともせず、自然体に振る舞いながら、巧みに自分の存在と仕事を認めさせていく。一方、彼女の才能を正当に評価し、後ろ盾となる上司も、人間が出来ている。この二人の信頼と協力が、見事な仕事の成果を産み出し、トップであるルイ14世の心も動かすのだ。できれば、こういう視点でのみ物語を進めて、色恋は抜きにした方が、最近の「ダイバーシティ」押しのご時世にマッチする、普遍的な力を持つ作品になったような気はする。まあ、それじゃ、観客は入らないかな…

Kate Winsletは、さすがの安定感。グラマーというのとはちょっと違う(もちろん、デブっている訳でも無い)堂々たる体躯で、泥にまみれて作業する逞しさと、綺麗な衣装で国王に謁見する姿を両立させるのは、彼女だからこその説得力だ。

なお、この映画もBBC製作。フランスを舞台にした史劇にもかからず、台詞は全編英語という図々しさ。こればかりは、如何なものかと思う。フランス語だった方が、雰囲気も上がっただろうに。



まあ、世の中は、AppleだのLineだのGoogleだのが提供する楽曲配信サービスで、もっとライトに音楽を楽しむのが主流なんでしょうが、あまり食指は動かず。一方では、USBケーブルに数万円もかける人達がいるのがオーディオ沼の怖さですが、そちらにも墜ちないよう、ほどほどに楽しんでいきたいところです。