IN/OUT (2015.7.12)

梅雨の合間、一気に暑くなった中、仙台へ行ってきました。


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仙台うみの杜水族館15.7.11

元々、仙台行きは後述するイベント参加が目的だったのだが、せっかくなので、7月1日にオープンしたばかりの水族館に立ち寄ることにした。宮城県の水族館と言えば、私も2013年に訪れたことがあるマリンピア松島水族館があったのだが、そこが閉館し、飼育員や生物が、新しく出来た水族館に移動したということだ。

仙台うみの杜水族館仙台駅から仙石線で20分ほど。中野栄駅から歩いて15分。まだオープンしたばかりで、しかも梅雨の晴れ間ということで、入り口には長蛇の列。汗をかきつつ1時間待ちで、ようやく入館。まず、出迎えてくれるのが、頭上に拡がるホヤの水槽。さすが、宮城の水族館。

その他にも、三陸の魚類や養殖牡蠣など地元密着の展示が多いのだが、見せ方が巧く、地味な感じはしない。もちろん、地元だけで無く世界中から集められた珍しい魚や、海獣、ペンギン、流行のクラゲと、押さえるべき所をしっかり押さえた展示だ。次の予定があるので、駆け足での鑑賞となり、マリンピア松島水族館からやって来た芸達者のアシカ・ショーの観覧は断念したが、いつかまた、時間をゆっくり取って訪れたい水族館だ。


SENSEKI TRAIN FES15.7.11

仙石線仙台行きの目的は、このフェスを観に行くことだった。東日本大震災から4年、2015年5月30日に、ついに全線で運行が再開されたJR仙石線の復興を祝う音楽フェスである。会場は、仙石線沿線の、本塩釜駅、高城町駅、陸前小野駅の、それぞれの最寄りの三箇所。観客は、一枚のチケットで、仙石線を使いながら全ての会場に入場可能という「電車移動型音楽フェス」である。水族館を後にした私は、中野栄駅から高城町駅を目指す。なお、仙石線には宮城県出身の漫画家、石ノ森章太郎によるキャラクターが描かれたラッピング電車「マンガッタンライナー」が走っているのだ。

宮城県松島高校13時30分頃、高城町駅に到着。他の会場から移動してきた、既にリストバンドを装着した人達も多い。駅前では、緑のTシャツを着た高校生達がにこやかに挨拶してくれて、会場の宮城県松島高校体育館までの道案内もしてくれる。後で知ったのだが、松島高校には観光科があり、今回のイベントにはその生徒さん達がボランティアで参加してくれているとのこと。高校の校門を入ると、いかにも手作り感が漂う飾り付けがしてあって、和む。

今回のイベント、「電車移動型」と銘打つのは面白いのだが、いかんせん、仙石線自体、本数が多いわけではないし、どの会場も、最寄り駅から徒歩15分ぐらいで、はっきり言って移動の便は悪い。しかも、会場の一つは、ごく普通の高校の体育館ということで、どうなんだろう? という気がしていたのだが、実際、足を運んでみると、手作り感と、ボランティアも含めた主催者側の熱気が伝わってきて、中々、良い感じだ。

到着時点では、ズクナシ、というバンドが演奏をしていた。全く知らなかったバンドだが、女性だけのシンプルなスリー・ピース・バンド。スパンコールきらきらの衣装で、パワフルなソウル・ナンバーを歌っていた。かなりの実力のようだ。自分が知らないだけで、素晴らしいミュージシャンって沢山居るのだと、こういうイベントに来ると思い知る。

宮城県松島高校体育館演奏終了後、狙っていた位置、舞台に向かって左側前方に移動。

次の出し物は、音楽フェスでありながら、トークショー。出演は、
徳永ゆうき(「日本の孫」をキャッチコピーにした演歌歌手。撮り鉄で、車掌の物真似が特技。おじさんに見えるけど、まだ二十歳)、
金田諦應(被災地を不定期に回るカフェを主催し、被災者の心をほぐす活動を続ける住職。お坊さんが主催するカフェなので、名前は Cafe de Monk。ここで被災者の「文句」を聞き、BGMはセロニアス・モンク、スピーカーはボーズと、冒頭から駄洒落攻勢)、
角張渉(宮城県出身のミュージシャンであり、DJ)、
中村明珍(パンクバンド「銀杏BOYZ」の、元ギタリスト。東日本大震災を契機にバンド活動と都会暮らしを止め、現在は山口県の周防大島で農業を営む)、
そして、ご存じ、宮藤官九郎。
トーク自体は、ゆるゆるだったが、ここぞという時に住職が含蓄のある言葉を発するし、話が弾まなくなれば、とりあえずクドカンが落としてくれるということで、無事、終了。

続いて、スウェーデンと日本のハーフの女性歌手、マイア・ヒラサワ。生活や活動の拠点はスウェーデンだが、ちょうど、東日本大震災の時には日本に滞在していたそうだ。ピアノとギターの弾き語りによる、明朗なポップス。スウェーデンでゴールドディスクを獲得しているし、日本でもCM曲やドラマ主題歌などで活躍する、実力者なのだ。最後の曲では、松島高校ダンス部&ゆるキャラのおのくんが舞台に上がり、マイア・ヒラサワの歌に合わせてダンス。彼女の曲は、ダンス・ナンバーというよりは、ポップスなので、高校生達が目指しているダンスとは違うかもしれないが、全体に漂う文化祭ノリが微笑ましい。

そして、いよいよ大トリ、上原ひろみ! 現在、The Trio Projectでヨーロッパ・ツアー中の彼女が、このためだけに、スペインから緊急帰国。彼女自身、高校卒業後、初めてだという「高校の体育館」での演奏。この奇跡を観るために、宮城まで行ってきたのだ。

ステージ上のYAMAHAのピアノは、学校備え付けではなく、このためにYAMAHAが運び込んだ特別仕様らしい。上原ひろみも、出演は17時からなのに、開場前の9時には現地入りし、音響チェック(初めての体育館での演奏なので、気になったらしい)。その後は音楽室を借りて練習という、本気モード。彼女曰く、高校時代とやっていることは変わらない。これぞ「初志貫徹」。

演奏曲は、
1. The Tom and Jerry Show
2. Seeker
3. 古城、川のほとり、深い森の中
4. Haze
5. Rhapsody in Blue
ec. What a Wonderful World

一曲目から、全開。脚を振り回し、うなり声を上げ、立ち上がりの、大熱演。私は、前から4列目ぐらいだったが、彼女の斜め後方の、狙い通りの角度の場所を確保できたので、超絶な指の動きが良く見える。体育館ということで、高校生のはしゃぎ声や、子供の泣き声、さらにはウグイスの鳴き声まで、外からの雑音がガンガン入ってくるのだが、それすら効果音のようだ。観ている方も、暑いし、長時間床に座っているとお尻が痛くなるのだが、それも、このサウンドに身を委ねていると吹き飛ぶ。この空間で繰り広げられる上原ひろみのライヴに居合わせることができたことで、テンション上がりまくりである。

本編が終了し、観客全員立ち上がってのコールに応えてのアンコール What a Wonderfule Worldが、ぐっと刺さり、ああ良いフェスだったと皆が実感していたところで、松島高校の代表から閉会の挨拶があるとのこと。舞台上に、ダンス部の部長や観光科の学生代表が並び、観光科のクラスの委員長が挨拶を話し始めたところで、感極まった女子委員長、号泣。言葉にならず。会場からの励ましを受け、どうにか閉会宣言。上原ひろみにハグされ、さらに泣きじゃくる委員長。上原ひろみ目当てで集まったおじさん達も、一気に胸の中に甘酸っぱい感覚が…。さらに、体育館の外に出たところで、ちょうど、体育館通用口からも、委員長と上原ひろみ嬢が外に出てきたのだが、まだ泣いている委員長が階段でこけてしまい、またもやお客さんから励ましを受ける一幕。もう、最後は委員長が美味しいところをかっさらっていったような感じ。そういうのも引っくるめて、実に楽しいイベントだった。行って良かった。



考えたら、学校の体育館での公演は今年二回目。まあ、矢野顕子の場合は、出前コンサートの流れで違和感は無いのですが。