IN/OUT (2015.6.7)

先月の旅行で散財した後は、税金の納付書が届く時期になってしまいました。そろそろ節約モードにしなければと思う今日この頃です。


in最近のIN

"CHAPPiE"15.5.29

Neill Blomkamp監督の新作を、先週のシンガポール航空、帰国便の機内で鑑賞。Blomkampのこれまでの監督作、"District 9"、"Elysium"に続いて、Sharlto Copleyが出演しているが、今回の彼の役は、ロボット警官。彼自身の姿形は画面には映らず、声とモーション・キャプチャーによる動きのみでの演技である。

舞台は2016年の南アフリカ。治安強化のためにロボット警官が導入される。その開発者が、新たに完全な人工知能プログラムを完成させ、密かに一体のロボットにインストールするところから物語は始まる。

無垢な心を持ったロボットが、周囲の身勝手な人間達に振り回されるというのは、いささか手垢のついたアイディアだが、舞台をBlomkamp監督のホームタウン、世界最悪の治安と言われるヨハネスブルグに据えたことで、過剰な暴力に溢れながらも不思議な魅力を持った作品になっている。

南ア出身のBlomkamp監督の作品は、いつも、差別の問題が根底にある。この作品では、差別を生み出す大きな要因である「外観の違い」に切り込み、肉体と意識は、完全に別物だとする主張が、かなり極端な(ちょっと、安直な)形で込められている。とは言っても、社会派のメッセージ色は薄く、あくまでも娯楽作品に徹するのが、監督の良いところだと思う。

Hugh Jackmanに徹底した悪役を演じさせ、ロボット製造会社のトップにジャンルSF映画のアイコン Sigourney Weaverを起用するという、ニヤリとさせてくれる配役もBlomkamp監督ならでは。ギャングスター役に抜擢された南アの超個性派ヒップホップ・グループ Die Antwoordの二人、NinjaとYo-Landi Visserも、ハマり役。テンション上がる映画だ。


「虎屋文庫のお菓子な展示 77」15.6.6

虎屋和菓子の老舗、虎屋の赤坂本店に併設されている虎屋文庫で開催中の展示会に行ってきた。本社ビル建て替えのため三年間の休館となる前に、過去 77回開催された展示会を振り返るという企画である。

入り口は、店舗とは別。本社ビルの裏、従業員通用口のようところから二階に上がると、そこに虎屋文庫はある。ビルの一室。決して広い場所ではない。常設展もなく、元々は、お得意様に、虎屋が所蔵する史料を見ていただく趣旨の展示会を開催していたそうだが、今では、年1~2回、和菓子文化を広く紹介するための企画展示を行っているということだ。そして、今回が、第78回の展示会。1973年から2014年までに開催された77回の企画を振り返り、次回開催は本社ビル建て替え後の2018年になるという。

室町時代後期に創業し、徳川光圀や尾形光琳からの発注記録も残っているという超老舗だけに、歴史を感じさせる貴重な展示物も多いが、何よりも楽しいのは、その時々の企画に合わせて製作された和菓子だ。さすが、和菓子屋の展示会だけに、毎回、展示内容に合わせ、工夫を凝らした和菓子を製作し、実物を展示してきたのだ。スタッフのアイディアと、それに応える虎屋職人。今回も、多くの実物(美味しそうに見せるためには実物、という拘りがある)が新たに製作され展示されていた。中には、お菓子では無く、「羊羹」の由来である「羊肉のとろみ煮込み」の再現も置かれていたが、日持ちしないので、毎朝、作っているということだ(料理として美味しそうだ。冷めると煮こごり状になり、それに見立てて作られたのが蒸し羊羹。それがさらに練り羊羹に発展していったとのこと)。

展示品に添えられたコメントは、意外にも堅苦しく無く、ユーモアと、和菓子への情熱、そして虎屋への愛情が溢れている。皆が誇りを持って働いている会社なんだなぁというのが伝わってくるのも高ポイント。

今回、休館前の最後になって、初めてその存在を知った虎屋文庫だが、再開後は、是非、チェックしていきたいものだ。



節約のためには、虎屋文庫のような、無料で楽しめる場所の開拓が必要だな。