IN/OUT (2015.6.14) |
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梅雨に入り、一旦、暑さは小休止という感じの今日この頃です。 最近のIN"Before I Go to Sleep" (15.6.13)Nicole Kidman主演のサスペンス映画を観てきた。邦題は「リピーテッド」。 Nicoleが演じるのは、記憶障害を抱える女性。一日の記憶しか止めることが出来ず、朝目覚めると、20代前半まで記憶がリセットされてしまう。そのため、毎朝、横で寝ている「夫」に驚き、彼から事情を説明されることを繰り返す(邦題は、ここから付けられたのだと思うが、「繰り返し」が重要なんじゃ無いんだよなぁ)。 彼女の記憶障害の原因は、14年前に遭遇した「事故」にあるというのだが、その真相は彼女の記憶と共に封印されたままだ。そこに、彼女を治療しようという医師が現れ、徐々に状況が明らかになってくる。「夫」を演じるColin Firthと「医師」を演じるMark Strong。果たして、二人は、その通りの人物なのか? あるいは14年前の事故に関係する怪しい奴なのか? ヒロインも観客も疑心暗鬼の中、物語は進む。 上映時間 92分。変に拡散することなく、コンパクトにまとめられた脚本が巧い。記憶障害が絡み、一見、複雑に見えるが、真相はすっきりと明らかになる。 名優、Nicole Kidmanの演技が、さすがの安定感。上品なようで、どこかビッチ感も漂わせる彼女の個性が際立っている。 ただし、一見、ハッピーエンディングの終わり方については、どうなんだろう?そもそもの原因を考えると、ちょっと、綺麗にまとめすぎているような気もする。あるいは、そこまで考え抜いた皮肉な結末と読み取るべきなのだろうか? 最近のOUT"Hector and the Search for Happiness" (15.6.13)フランスの精神科医が書いたベストセラーの映画化作品を観てきた。邦題は「しあわせはどこにある」 主演のSimon Peggと、ヒロイン役のRosamund Pike。あの"The World's End"(ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!)に出演していた二人が主要人物を演じているということで観に行ったのだが、タイトルを見て、ちょっと嫌な予感もしていた。そして、その予感は悪い方向に大当たり…。 Simon Pegg演じる精神科医が、代わり映えしない毎日に疑問を感じ、旅に出るという話。中国、アフリカ、ロサンゼルスを巡り、「幸せ」を探すのだ。旅先での様々な出会いを通じ、果たして、彼は本当の幸せを見つけ出せるのか… 「幸せ探し」や「自分探し」というキーワードが好きだったり、自己啓発本を読むのが趣味のような人は好きなのだろうが、そんなキーワードには嫌悪感しか覚えない私には、全く不向き。見ていてイライラするだけの映画だった。 そもそも、Simon Peggの浮き世離れした善人ぶりがダメだ。上海のクラブで、自称「学生」という美人のお姉さんに話しかけられたら、そりゃ、商売女だと疑うのが世界の常識。ところが、それが主人公には無い。そんな世間知らずが、精神科医として患者の悩みを聴いたところで、患者を幸せにするような助言が出来るわけ無いじゃないか。 同じように、アフリカで危険な目に遭うのも、どう見ても自業自得だ。さらに、チベットの山奥の寺院をいきなり訪れて、英語でまくし立てる傍若無人さに至っては、酷すぎるだろう。まあ、それに対して、寺院の老僧も流暢な英語が話せて、深い話が出来るってところが、所詮、頭でっかちの西洋人がでっちあげたお伽噺で、しらけてしまう。リアリティの追求では無く、ある種の寓話のつもりで製作された作品だとは思うが、それにしても、細部の詰めがお粗末すぎる。 私が観たかったのは、無邪気な表情で幸せ探しをするSimon Peggではなく、(出来れば、Nick Frostとコンビを組んで)エキセントリックに暴走するSimon Peggなのだ。 |