Peter Jacksonがプロデューサーを務めたSF映画を観てきた。邦題は「第9地区」。
エイリアンが難民として暮らす特別居住区。醜悪な見た目(Prawn=エビと呼ばれている)のエイリアンは、地球人から差別され、特別居住区はスラム化している。舞台は南アフリカ。黒人をエイリアンに置き換え、かつてのアパルトヘイトを皮肉った設定が秀逸だ。さらに、ヨハネスブルグ上空に浮かぶ巨大なUFOのビジュアルも強烈なインパクトである。
フェイク・ドキュメンタリーの手法でスピーディーに走る物語は、先の展開が全く予想できない。意外に社会派メッセージは強くないが、James Cameronばりの二足歩行ロボによる戦闘シーン有り、エイリアン親子の情愛有り、差別する側からされる側への立場の逆転有り、様々なアイディアが次々と繰り出され、中だるみ無しに観客を惹きつける。
突飛な発想と、強烈なビジュアル。笑いと涙とアクションと社会風刺を詰め込んだストーリー。今まで見たことのない、新しいタイプのSF映画だ。欲を言えばラストにもう一捻り欲しかったところだが、アカデミー作品賞ノミネートも納得。南ア出身の若手Neill Blomkamp、次回作が楽しみな監督だ。