IN/OUT (2014.12.21)

12月中から、こんなに寒くなるんだっけ?と思うような冷え込みが続いています。夏だけで無く、冬の天候も、すっかり荒っぽくなってきたような気がする今日この頃です。


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"Dhoom: 3"14.12.20

あの、"3 Idiots(きっと、うまくいく"の主演男優 Aamir Khanの2013年の作品を観てきた。インドでは歴代最高のヒットとなった作品が、一年遅れで公開されるというのは残念なことだ。邦題は「チェイス!」。しかし、原題を見ると、シリーズ作品のようだ。調べてみたところ、Abhishek Bachchanが演じるムンバイの敏腕刑事 ACP Jai Dixitと、彼の相棒 Uday Chopraが演じるAliを中心にしたシリーズだった。特徴は、中心の二人が脇に回り、毎回ゲスト出演する犯人役が実質的な主役になるということと、バイクを使ったアクションがメインになること(原題のDhoomは、バイクの爆音のこと)。今回は、Aamir Khanが、シリーズ最強の敵役として登場なのだ。

ヒンディ語によるインド映画だが、舞台は米国 シカゴ。もちろん、過剰なまでのストップ・モーションや、カッコ付けすぎのカメラ・アングルなど、ボリウッドのお約束はあるのだが、全編、シカゴでロケされているので、ボリウッド作品にしては垢抜けている印象だ。歌と踊りのシーンも、サーカスのショーと絡めて登場するので、唐突感は少ない。

Aamir Khanが扮するのは、サーカス団の団長。少年時代、父親が主催していたサーカス団が、銀行融資を打ち切られたため、立ち行かなくなり、父親は自殺。彼は、そのサーカスを復活させたのだが、あくまでも、それは表の顔。裏では、父を破滅に追い込んだ銀行に復讐するため、銀行強盗を繰り返している。犯行現場にヒンディ語のメッセージを残したため、ムンバイから、シリーズ・メインの刑事が乗り込んでくるという設定だ。

"3 Idiots"では、華奢なイメージだったAamir Khanが、この映画では、見事な筋肉ボディになっているところが、大きな見所だ。かなりのトレーニングを積んだそうで、アクション・シーンも、サーカスのシーンも、とても様になっている。復讐に燃えるハード・ボイルドな印象のAamir Khan。さすが、一流俳優さんは作品毎にイメージを変えるものだと感心していたが、映画の中盤で大胆なヒネりがあって、さらに見事な演技を見せつけてくれる。

シリーズ・メインの二人、クールなJai Dixitと、三枚目役のAliのコンビも楽しいし、ヒロイン Katrina Kaif嬢の艶っぽいダンスも、音楽も良い感じ。非現実的なまでにカッコ良いバイクのチェイス・シーンも許せちゃう。インドで大ヒットしたのも納得の娯楽作だが、シカゴの金髪美女刑事の扱いと、銀行強盗のシーンの描き方は、どちらも、あっさりし過ぎていて、物足りないかな。まあ、172分もある映画なので、これ以上、サイド・ストーリーを描き込むのは難しいか。

いずれにせよ、「カメレオン俳優」と呼びたくなるようなAamir Khanの演技を観るだけでも、映画料金の元を取れる3時間だ。



気候が変わったことと関係が有るのか、近くの運河には、例年のユリカモメだけでなく、鴨の姿も目立ちます。白と茶色のコントラストが良い感じです。