IN/OUT (2014.9.28) |
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暑さ寒さも彼岸まで、ということで、そろそろ、気温的にも一番心地よく、かつ、春と違ってスギ花粉が飛んでいない、ベストの季節です。 最近のIN原田知世@ブルーノート東京 (14.9.23)原田知世の公演を観に、ブルーノート東京へ行ってきた。 角川三人娘の一人として、1982年にデビュー。女優だけでなく、歌手としてもコンスタントに活動を続け、今や大ベテランの域に達している彼女だが、私がライヴを観るのはこれが初めてだ。 バックは、今年の5月に発売されたアルバム「noon moon」のプロデューサーでもある伊藤ゴロー(ギター)を中心に、ピアノ、サックス、ベース、ドラムスの5人。胸元に白い花をあしらった黒のドレスで登場した知世嬢。「noon moon」の収録曲を中心にしながらも、松任谷由実が提供した「ダンデライオン」や、Tore Johanssonがプロデュースした曲など、懐かしい曲も披露。新旧、どの曲も、クオリティの高いポップスであることに、改めて驚く。そこに、伊藤ゴローによるアレンジと知世嬢の透明感のある歌声が加わり、実に良い感じだ。 さらに特筆すべきは、大ベテランなのに、つい知世嬢と呼びたくなってしまう原田知世の変わらぬ可憐さだ。MCの途中、自分が発した言葉に自分で笑ってしまう箇所が何度もあったが(「ブルーノートのお話をいただいて、是非、出演したいと思っています。あ、今、出てるんですけどね。ァハハ」)、その時の笑い声が、何ともキュート。下世話な話だが、芸能界を長く生き抜き、私生活では離婚も経験している彼女。それなりに現実の荒波に揉まれているはずなのに、大したものだ。 本編ラスト「名前が知りたい」とアンコール一曲目「Double Rainbow」は、新アルバムからの曲。ここで、バンド・メンバーは退場し、最後の最後は、伊藤ゴローが弾くボサノヴァ調のギターを伴奏に「時をかける少女」という、憎い演出。こちらも、すっかり時をかける想いでしたよ。 Penguin Cafe @ めぐろパーシモンホール & よこすか芸術劇場 with 大貫妙子 (14.9.27-28)Penguin Cafeの公演を観に、めぐろパーシモンホールに行ってきた。 前身のPenguin Cafe Orchestraは、1976年のデビュー。ミニマル音楽・現代音楽・民族音楽などを融合した、ジャンル分け不能なインストゥルメンタルで、80年代のお洒落サブカル系の人達に大人気だった。1997年にリーダーのSimon Jeffesが病死したため活動中止となっていたが、2009年、Simonのご子息 Arthur Jeffesが、ユニット名からOrchestraを抜いた"Penguin Cafe"として復活させ、今日に至っている。今年の3月に行われた新アルバム発売記念イベントが、とても素晴らしかったので、その会場で購入したチケットでの参戦。おかげで、前から三列目の非常に良い席だ。 ステージ上には、沢山の観葉植物の鉢植え。後方には、パラソルとデッキチェアという、リラックスムードの溢れるセット。登場したメンバーは、Arthur Jeffs(ピアノ、ウクレレ、他)の他に、弦楽四重奏、ベース、ウクレレ、パーカッション二名、の総勢9名。一曲目は、"Orchestra"時代の代表曲、"Telephone And Rubber Band"だが、その後は、新アルバム"The Red Book"からの曲が中心になる。"Orchestra"時代に比べ、エスニック的な雰囲気が後退し、代わりに、ケイジャン、ケルト、イングランドのトラッドなどの雰囲気が強まっている感じだが、あの独特の心地よさは健在。出来れば、コンサートホールではなく、それこそオープン・カフェで、ゆったりと聴きたいサウンドだ。 また、初演の曲として、CORNELIUSの"Bird watching at Inner Forest"のカバーを披露。今日は、会場に、CORNELIUS=小山田圭吾が観に来ているらしい。そう言えば、小山田圭吾は、二年前の六本木ヒルズでのイベントでは、Penguin Cafeの前座を務めたsalyu x salyuのバックでギターを弾いていた。ずっと交流が続いているみたいだ。 また、ペンギン・ダンサーということで、二名のペンギンのかぶり物を被ったダンサーが登場。振り付けは、山田せつ子、演ずるのは、木野彩子と小田直哉。インストだけの公演なので、何か変化を付けたかったのかもしれないが、個人的には、有っても無くても、どっちでも良かったかなぁ… アンコールは、一曲目に、Arthurがピアノ・ソロで父に捧げた曲。そして二曲目が、やはり、"Orchestra"時代の代表曲"Music For A Found Harmonium"。予想以上に、素敵な公演だった。 会場で配られたチラシによると、翌日のよこすか芸術劇場が、今回の来日の最終公演。そして、ゲストに大貫妙子が出るという。むむむ、と思い、日曜日、当日券を電話予約し、横須賀へ。 当日券ながら、意外にも前から9列目の、それなりに良い席だ、この日のステージは、昨日より少し小さいせいか、観葉植物は無し。 第一部の演奏曲は、ほぼ同じ。やはり来て良かったと思わせる、心地よいサウンド。そして、第二部の冒頭で、ゲストの大貫妙子登場。「彼と彼女のソネット」と「四季」の二曲を歌唱。合間に「70年代後半から80年代、周りのミュージシャンは、全員、Penguin Cafe Orchestraのアルバムを持っていました。…ん、今日来ている人は、もっと若い方達かな」と、さばさばした口調で語りながら、歌の方は、例によってしっとりと。Penguin Cafeのアコースティック・サウンドと相性が良いのは当然なので、出来れば、もっと意表を突くようなアレンジに挑戦してもらいたかったかな、という贅沢な思いもしたが、久々に生で聴く大貫さん、とても良かった。 大貫妙子退場後、第二部の演奏が続く。このバンド、メンバー全員が善人なんだろうなあという気がするピースフルな雰囲気だ。 アンコールは、昨日と同じ二曲の間に、再登場した大貫妙子の「ピーターラビットとわたし」。ちょっと、ベタな選曲という気もしたが、Penguin Cafeのメンバーも楽しそうに演奏していて、良い雰囲気。このツアー最後の曲となる"Music For A Found Harmonium"の演奏も盛り上がり、かなり沢山のお客さんがスタンディング・オベーションとなった。急遽、二日連続で鑑賞したPenguin Cafeだったが、大満足である。 久しぶりの横須賀。このホールは、今年で20周年だそうです。本格派オペラハウス仕様ということで、非常に立派なのですが、当時、日本中の地方都市に溢れた無駄に豪華な文化施設の典型という気もします。ただ、当日券の電話受付の印象は、非常に素晴らしかった。「前から8列目までは、段差がないので、前に大きい人が座ると見づらくなりますよ」、とか詳細に説明してくれて、座席を選ばせてくれる。私の中で、頑張ってもらいたいホール上位になりました。 |