IN/OUT (2013.12.8)

2014年の初め、大物ベテラン海外ミュージシャンの来日公演が立て続けに発表。70歳になってもロックは出来るものですね。


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"WILL LEE'S FAMILY" @コットンクラブ13.12.6

ベーシスト、Will Lee率いるバンドの公演を観てきた。彼らのプレイを観るのは、昨年に続き二度目である。メンバーも昨年と同じ。今年、20年ぶりのソロ・アルバム(傑作!)を発表したWillを支えるのは、ドラムのSteve Gadd、ギターのChuck Loebという超大物に加え、マルチ・プレイヤー(キーボード、トランペット、サックス、ギター)のGiulio CarmassiとキーボードのOli Rockberger。若手二人も、大御所に負けず劣らずの凄腕である。

黒の長袖Tシャツという、夏の矢野顕子祭でのジャケット姿と打って変わって、リラックスした服装のWill。登場するや「さて、今日はビートルズでも演るか」と独り言。で、"A Hard Day's Night"の冒頭の一音をジャーンと鳴らして、本編の演奏スタート。

WillとChuckのおじさん二人が、悪ガキのようにふざけ合いながら演奏を楽しんでいる様子に、観ているこちらも楽しくなる。それでいながら、演奏テクニックは物凄い。後ろで、にこやかな表情でサウンドを支えるSteve Gaddの存在感も素敵。ただただ、楽しい時間が過ぎていく。

アンコールでは、お約束のWillとChuckの客席乱入。演奏終了後は、当然のスタンディング・オベーション。そして、メンバーがステージを去った後、客席全体に漂う多幸感。「音楽性の高さと楽しさの両立」という点で、きわめて満足度の高い公演だった。



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"47 Ronin"13.12.7

Keanu Reevesの最新主演作を観てきた。れっきとしたハリウッド映画だが、テーマとなっているのは「忠臣蔵」。脇を固めるのは、真田広之、柴咲コウ、菊地凛子、浅野忠信など。

企画自体は、どう考えても「キワモノ」だが、もしかしたら一周回って楽しめるB級傑作になっているかも?という期待もあった。しかし、実際には、今年最大の珍作と言えるようなトンチキ映画だった。

舞台は江戸時代の日本。赤穂藩。だが、そこは、まるで「指輪物語」の舞台のような異世界として描写されている。日本人の服装は、男女ともに、和風と言うより中華風のテイストが強い。もちろん、ストーリー自体、忠臣蔵と言いながら「吉良に仇討ちする赤穂浪人」という基本線以外は大胆に改変したものなので、リアルさを求めるつもりは無い。ただ、この荒唐無稽な物語を、敢えて正確な時代考証の中で展開していれば、新しい味わいが出たと思うのだが。結局、中途半端なファンタジー活劇で終わっている。

広告業界出身で、これが長編映画初監督というCarl Rinschの演出も、盛り上がって欲しいところを妙にあっさり描いたりして、残念な箇所が多い。CGの使い方などは巧いと思うのだが…

そんな中、演技に関しては、日本人スタッフは健闘していたと思う。「吉良」を演じる「浅野」忠信、パブリック・イメージを活かした菊地凛子の妖女っぷり、それぞれ頑張っていたと思う。そして、その凜とした姿勢だけで画面が引き締まる真田広之。彼のチャンバラ・シーンだけは、見事な「時代劇」として成立している。ただ、映画というのは、一部の出演者の頑張りでどうにかなるものではなく、脚本・演出・映像・音楽など全ての要素が組み合わさって、初めて成り立つものだと、反面教師的に実感。



完全に中高年の財布狙い撃ちのイベントの数々。酔っ払って、UDOのサイトなんかにアクセスするのは危険だと自重する今日この頃です。