主演:Johnny Depp、監督:Tim Burtonのコンビ、最新作を観てきた。
二人とも、ハリウッド大作でヒットを飛ばしながらも、独自の世界観の作家性も守り続ける存在で有り、これまで何度も一緒に作品を作ってきた名コンビだ。魔女の呪いでバンパイアにされ、地中に埋められた棺の中に閉じ込められていたDeppが、200年後の1972年に甦る。という設定も、いかにも二人のコンビ作らしい。オリジナルは、1960年代の米国テレビドラマということだが、ちゃんとしたホラーだったらしいオリジナルに対し、Depp & Burtonによるリメイクは、コメディ風の味付けがされている。
1972年という時代設定の活かし方が楽しい。ヒッピー文化をおちょくり、Alice Cooperが本人役で熱演し、The CarpentersからIggy & The Stooges、Donovan、Curtis Mayfieldなどなどの音楽が良い感じ。
ただ、曲者揃いの登場人物たちの掘り下げ方が物足りない。Chloë Grace Moretz嬢の使い方なんか、もったいなさ過ぎるだろう。魔女やバンパイアの設定(どういう特殊能力を持っているのか? 弱点は何か? など)も、中途半端さを感じてしまう。
沢山の人が殺されるダークな物語ということだと、"Sweeney Todd"を思い出すが、アート性を覚えたあの作品に比べると、今回は、どうも印象が弱い。気楽に見る映画としては、悪くない作品だと思うし、要所要所で、ちょっとした笑いを挟み込んでくるDeppの演技には余裕すら感じる。しかし、二人のコンビ作というだけで、こちらの期待度は大幅に高まっているのである。その基準からすると、残念ながら、ガッカリ感の方が上回ってしまう。
どうも、Tim Burton作品、私にとっては8年前の涙の感動作"Big Fish"を頂点に、その後はどうも、消化不良感が残る作品が続くようだ。