IN/OUT (2012.5.6)

ゴールデンウィークで、一週間の休みでした。前半は自宅近辺で。後半は帰省。


in最近のIN

「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」@ MO+12.5.2

1931年生まれの芸術家、靉嘔の回顧展を観に、東京都現代美術館に行ってきた。因みに靉嘔は、1931年生まれの日本人。「あい・おう」という名前は、「あ・い・う・え・お」から選んだ四文字に漢字を充てたものだそうだ。私は、エッフェル塔に300mの虹色のリボンをかけたプロジェクト(1987年)は、なんとなく覚えていたが、それ以上のことはあまり知らないアーティストだった。

展覧会の入り口近くは、初期の作品が並んでいる。個人的には、地味であまり興味を惹かない絵だ。しかし、彼が「虹」に開眼してからの展示が、とんでもないことになっている。とにかく、極彩色。その場にいるだけでトリップしてしまいそうな極彩色。「靉嘔」をキーワードにGoogleで画像検索すると、スクリーン上が派手派手になるが、それが、実物大で展示室の壁面を埋めているのである。

さらに、吹き抜けになった展示スペースには、エッフェル塔に掛けられた300mのリボンが再現されている。また、この展覧会の為に作成した30mの壁面を埋め尽くす192色の虹色で描かれた新作もあり、見応えは十分。作品の好き嫌いを飛び越え、そのインパクトだけでも見る価値のある展覧会だった。


「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館 Love & Peace 2012年5月2日」12.5.2

お土産の手ぬぐい忌野清志郎の命日に行われたイベントを観に、日本武道館に行ってきた。今年で二回目の開催だが、私は初参戦である。

出演者が凄い。奥田民生、木村充揮&内田勘太郎、斉藤和義、JUN SKY WALKER(S)、Steve Cropper、Chara、トータス松本、仲井戸“CHABO” 麗市、浜崎貴司+ 小泉今日子、三宅伸治、矢野顕子、吉井和哉、ラキタ、LOVE PSYCHEDELICO。さらに、演奏を受け持つバンドは、仲井戸麗市(Guitar)、新井田耕造(Drums)、藤井裕(Bass)、Dr.kyOn(Keyboards)、梅津和時(A.Sax)、片山広明(T.Sax)、Leyona(Chorus)。もう、メンツを書き写すだけでもお腹一杯の顔ぶれだ(この中で、ラキタという若者だけは知らなかったのだが、あの、どんとの息子さんだそうだ。元ボ・ガンボスDr.kyOn自らが紹介したのだが、感慨深いっす)。

基本的には、各出演者が2曲ずつ、清志郎のナンバーを演奏していく。お目当ての矢野顕子は、「雑踏(アルバム「KING」収録。矢野によるカバーは世界初演)」と「ひとつだけ」を弾き語りで披露。清志郎への想いのこもった良い演奏だった。それにしても、武道館での弾き語り。なかなか見られる物ではない。

他の出演者もぞれぞれ気合いの入った演奏だったと思うのだが、それぞれの温度差のようなものも感じてしまった。もちろん、私は部外者なので本当のところは分からないが、清志郎への愛情に突き動かされて出演している人も入れば、ビジネスライクに参加している人もいるような気がしないでも無い。そんな中で、矢野顕子、三宅伸治、Steve Cropperらの演奏には、本当にリスペクトする気持ちがこもっていたように感じた。あと、LOVE PSYCHEDELICOは、生で初めて観たのだが、一度、ちゃんとライヴを観てみたいと感じた。

出演者の誰よりも深い清志郎への愛情を感じたのは、バンドの演奏だ。全員一丸となって、見事なまでに「忌野清志郎バンド」としての演奏を、最後まで熱演。特に仲井戸麗市のカッコ良さが突出。男も惚れますな。

客層は、やはり高めの年齢層。途中、インターミッションで、インタビュー映像が流れたのだが、秋元康、三池崇史、爆笑問題というメジャーどころの映像にはあまりリアクションが無かった会場が、山口冨士夫の登場に盛り上がったところなど、さすが、分かっている人が多い。

4時間半に及んだ公演、最後は出演者全員がステージに上がり、盛り上がらない訳が無い鉄板曲「雨上がりの夜空に」。ということで、素晴らしいライブだったのだが、どうしても、中心にいるべき清志郎の不在を感じてしまう。結局、どの出演者の演奏よりも、スクリーンに流された清志郎のライヴ映像が一番カッコ良い(特に、ブルーノート東京でのライヴ映像は凄かった)のが、ちょっと困ったところである。


「コレクションの誘惑展」@ NMAO12.5.4

国立国際美術館関西に帰省したついでに、大阪・中之島にある国立国際美術館に行って来た。今年が開館35周年ということで、収蔵作品の中から350点を、絵画や彫刻を中心にした第1部、現代写真を第2部とした2部構成で展示する展覧会を開催中。今回が初訪問である。

さすが「国立」。コレクションの質・量は大したものだ。奈良美智、マルセル・デュシャン、ヨーゼフ・ボイス、ジャン=ピエール・レイノー等々々、万遍なく、良い作品を集めていると感じた。特に、杉本博司、やなぎみわ、米田知子などの写真作品が並ぶ第二部が興味深い。中でも、初めて観た田口和奈の、モノクロで描いた絵を写真に写すというプロセスで作られた作品が印象的だった。

ただ、明確なテーマの無い「コレクション展」なので、展示を貫く柱が無く、散漫な印象になってしまうのは残念。オーディオ・ガイドによる解説も、物足りなさを覚えるものだった。

もう一つ、不満だったところは、JRで最寄りの新福島駅からの道のり。自分自身に中之島の土地勘が無いせいもあるのだが、道標が少なく、なんとも味気ない道中だ。深川の風情有る商店街を抜けていく東京都現代美術館と大きく違うところだ。ただ、館内のオープンなスペースに高松次郎の「影」が、周囲に溶け込む形で展示されているところが、高ポイント。良い企画が行われれば再訪したい美術館だった。



飛行機は、初めて乗る B787でした。座席のリクライニングが、背中が倒れるのでは無く座面が前へずれるというのが、イマイチ。機内エンターテインメント設備のハードは国際線並に充実していますが、ソフトの方が従来通りなので、あまり有り難みは無し。まあ、羽田 - 伊丹の50分ほどのフライトだと別にどうでも良いのですが(と思っていたら、雷雲のため20分ほど余計に飛ぶことになってしまった)。