IN/OUT (2011.8.21)

一週間前の夏フェスのことを書こうとしている訳ですが、一昨日あたりから酷暑が去って、暑かった先週のことが、もっと昔のことのように感じられてしまいます。


in最近のIN

"SUMMER SONIC 2011"11.8.14

MARINE STAGE夏フェスの老舗。サマソニに行ってきた。会場は、幕張メッセと、マリンスタジアム、及び、周辺のビーチ。今回も一番目当てはyanokamiだが、P.i.LやBOW WOW WOWも楽しみなのである。

まずは朝一番、メッセ内のSONIC STAGEで、「ねごと」。大学三年生の女子四人組。若手のガールズ・ロックバンドにしては、個性のある音作りに好感が持てる。ただ、MCがあまりにも素人っぽすぎるかな。メジャーデビューしたプロなんだから、たどたどしいなりに芸になる喋りにしてもらいたいものだ。

一応MARINE STAGEを偵察に。サマソニ東京会場で最大のステージだ。特に興味のあるミュージシャンは出演しないのだが、せっかく来たので、午前中のステージチェンジの間に、会場の様子だけ見学。

再びメッセに戻り、「YELLE」。フランスのエレクトロ・ポップ・グループ。ドラムとキーボードの男性二人にヴォーカルの女性一人というありがちな構成で、音の方も、ありがちなダンス・ナンバーだが、そこは、おフランス。歌詞もそうだが、ヴォーカリストのフランス美女が、"Thank you!"ではなく、"Merci Beaucoup!"と叫ぶと、それだけでお洒落に感じてしまう。

一番暑い時間帯に灼熱の砂浜、BEACH STAGEへ。「渋さ知らずオーケストラ」。多数のダンサーを交えたビッグバンド。賑やかで楽しくて、夏フェス向き。ジャズをベースにロックの要素も強いが、ダンサーの中に全身白塗りの暗黒舞踏っぽい人がいたりして、一筋縄じゃいかない人達だ。

そして、お目当てのyanokami。詳細はやのコレに記載したが、ロックインジャパン以上の、素晴らしいステージだった。ただ、あの音楽は炎天下じゃなくて、もう少し遅い時間帯、夕暮れの砂浜で聞きたかった。

SONIC STAGEに戻り、「BOW WOW WOW」。私としては、yanokamiと同じぐらい期待していたステージだ。1980年、SEX PISTOLSの仕掛け人、Malcolm McLarenが鳴り物入りでデビューさせたニューウェイヴ・バンドである。当時、ヴォーカルのAnnabella Lwinは、14歳。"Chihuahua"(邦題は「チワワは素敵な愛言葉」!)などが大ヒット。日本にも、「Madness」と一緒に来日。そのジョイント・コンサートには、私も行っているのだ。当時、Madnessは人気絶頂のスカ・バンド。世間的にはMadnessが遙かに格上で、BOW WOW WOWは添え物という感じだったが、実際にはBOW WOW WOWの演奏の方が良かったのを覚えている。まさか、活動を再開していて、30年ぶりにここで会えるとは! しかし、月日の流れは残酷。昔と同じ、思いっきり露出度の高い衣装で登場したかつての美少女、Annabella嬢は、背中のお肉が悲しい体型に…。MCでは、何とか会場を煽ろうとするが、スベりまくり。今や、日本での知名度は極めて低いのだ。多くの観客にとって、初めて見る半裸の小太りおばさんとコミュニケーションを取るのは厳しかったに違いない。しかし、演奏の方は意外にもしっかりしていて、むしろ、昔よりパワフルかも。少なくともサウンドに関しては、期待以上だ。フロアの後ろの方には隙間も目立ったが、そこで踊りまくっている若者の姿を見て、少し嬉しくなる。

最後に、MOUNTAIN STAGEで「P.i.L.」。そう、"Public Image Limited"である。元SEX PISTOLSのJohn Lydon率いるバンドだ。そのJohn Lydon。最近ではTVのバラエティ番組に出演したり、コマーシャルに登場したりと、英国のお茶の間で人気が復活しているらしい。かつてのパンクのカリスマが丸くなっているかもと危惧もしたが、それは杞憂だった。ベテラン・ロック・ミュージシャンのオーラをまき散らしながら、骨太なサウンドをぶつけてくる姿は圧倒的。想像以上のパフォーマンスだった。

ということで、メインのマリン・スタジアムでX JAPANやらRed Hot Chili Peppersが演奏している時間帯を、懐かし英国バンドと過ごし、満足して会場を後にした。

幕張メッセと野球場がメインの会場なので、屋台じゃ無い飲食店でちゃんと食事を取ることができるし、屋内の椅子で休憩することもできる。都心からのアクセスも良い。先日のロックインジャパンと比べると、はるかに身体に優しいイベントではある。ただ、渋谷陽一のような総合プロデューサーの想いが注入されていない分、良くも悪くも商業主義の匂いが強いと思う。居心地としてはロックインジャパンの方が良かったりするのである。



あとブルーノート東京での矢野顕子トリオの公演にも出かけ、この夏のイベントは終了。暑いからとか、週末予定が入っているからと理由を付けてサボっていた自宅の掃除とか、ちゃんとしないと、そろそろ言い訳がきかなくなってきた今日この頃です。