IN/OUT (2009.4.12)

スギ花粉がそろそろ一段落してきたようですが、代わりに今がピークになっているのがヒノキ花粉。どうやら、自分はヒノキ花粉の方に、より大きなダメージを受けることに気づく、今日この頃です。


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"Michel Camilo Trio -THE BEST OF MICHEL CAMILO"09.4.11

Michel Camilo Trioのライヴを観に、ブルーノート東京へ行ってきた。

Michel Camiloは、ドミニカ出身のピアニスト。昨年、東京Jazzで初めて観たその超絶プレイに圧倒され、今回、より狭い会場でのライヴに足を運んだのだ。メンバーは、ベースのCharles Floresと、ドラムスのCliff Almond。

場内は超満員。舞台に向かって右手側にあるカウンター席に陣取ったので、ピアノが遠いが、おなじみ、Cliffがよく見える場所だ。矢野顕子のさとがえるトリオのドラマーでもあるCliffのプレイは、矢野のライヴで、かれこれ数十回は観ているのだ。

演奏が始まった。Cliffは、さとがえるトリオに比べ、ぐっとコンパクトなドラム・セットで、爆音も少しだけ抑え気味。曲によっては、ブラシを多用するなど、さとがえるトリオとは違った雰囲気のプレイで、ピアニストに合わせた的確な音を出せる器用さを実感。それでいて、正確で力強く、そして馬鹿テクという、自分の個性もしっかり押し出していて、彼の実力を改めて思い知った。ドラム・ソロを聴かせる場面も多くあり、場内が沸くと、なんだか「うちの子、よく頑張ってる」と嬉しくなってしまう。まぁ、ファンの独り善がりではあるが。

もちろん、Michel Camiloの演奏も凄い。あまりに凄すぎて、もう、自分の語彙では表現しきれないのが悔しい。想像を絶する超高速で鍵盤を叩きながらブレも音の濁りも無いというのも凄いし、静かなフレーズでの安定感も桁外れ。並外れた音楽的センスと、筋力系アスリートのように鍛錬された肉体が、見事に融合しているようだ。

そんな中、ベースのCharles Floresは、派手な見せ場は無いのだが、その確実なサポートで、ピアノとドラムの超絶技巧のぶつかり合いを支え、まとめているという感じ。本当に、素晴らしいトリオだ。

その技巧と迫力に圧倒されっぱなしで本編終了。アンコールは、観客からのかけ声も楽しい "Tequila"。ここでの、三人の遊び心たっぷりの掛け合いがまた、テンションの高さと余裕とが両立した凄い応酬になっていて、もうお腹いっぱい。音楽の凄さをこれだけ見せつけられ、腰が抜ける思いをしたライヴは、久しぶりだ。大満足。



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「赤壁 決戦天下」09.4.12

John Woo監督の「レッドクリフ Part II」を観てきた。「Part I」を観たのだから、これはもう義務である。

ちょっと、期待が大きすぎたか。なんだか大河ドラマの総集編を観ているような感じで、映画としての骨太さが無いように思う。元が、キャラクターの立った登場人物が山のように出てくる長大な物語だけに、映画化する部分をもっと絞り込んだ方が良かったと思う。「赤壁の戦い」を、二部に分けた中途半端な長さの映画の枠に収めるのは、元々無理があったのかもしれない。

もちろん、そこはJohn Woo印。今回は、白い鳩も、単なる演出効果以上の活躍を見せるし、男達の燃える描写もあちこちにある。ただ、スローモーションの多用以上の映像的驚きが無いのが、つまらない。監督本人は、あるいは念願が叶った中国での映画化かもしれないが、ハリウッド・システムで商業映画として揉んで、二時間程度のコンパクトな活劇にした方が良かったのではと、三国志に思い入れのあまり無い私は考えてしまう。



スギとヒノキの微妙な花粉飛散時期のずれにより、結局、丸々三ヶ月以上、花粉症が続く訳で、体調だけでなく精神活動も停滞気味のまま。

考えてみれば、花粉が無い時期も、暑すぎたり、寒すぎたり、寝不足だったり、二日酔いだったり。一年の内で、心身ともに本当に絶好調な日って、実はほとんど無いのでは、という気がしてきました。