IN/OUT (2008.11.23) |
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世間の三連休の真ん中は、とりあえず休みを確保。ただ、映画を観ても、コンサートを観ても、睡魔との戦いが… 最近のIN「上原ひろみ 〜Hiromi's Sonicbloom 『ビヨンド・スタンダード』日本ツアー」 (08.11.23)ピアニスト、上原ひろみ率いるSonicbloomの公演を観に、東京国際フォーラムに行ってきた。 彼女の演奏は、今年の東京JAZZでも観ているし、やはり昨年のこの時期に行われた「タイム・コントロール 日本ツアー」にも行っている。熱心なジャズ/フュージョン・ファンではない私だが、彼女のライヴの迫力があまりにも凄いので、機会があれば、ついチケットを取ってしまう。 今日の会場は、東京国際フォーラムのホールC。キャパ 1,502席。ジャズ・ピアニストの公演とすれば、適正という気もするが、過去二回は、キャパ 5,012席のホールAで観たので、ややスケールダウンである。ただし、12月末のツアー千秋楽はホールAで行うことになっているし、五千人を前にしても、全く迫力負けしないパフォーマンスを繰り広げることは、私も過去二回で体験済みだ。上原嬢もその辺の観客心理を意識してか、冒頭のMCでは「毎日が千秋楽のつもりで、全力演奏」というようなことを語っていた。 例によって、演奏は、もう凄いの一言。上体を揺らし、右足を蹴り上げ、時には立ち上がり、さらにはジャンプしながら、指先は超高速で鍵盤を叩き続ける。指だけでなく、拳や肘を繰り出す場面もあり、最終的には肘から出血したようだ。それでも、音が全くブレないのは、もはや神業。もちろん、ドラムス、ベース、ギターの三人との連携も文句なし。特に、前半ラストの「上を向いて歩こう」での、ピアノ・プレイは鳥肌モノ。 10分の休憩を挟んで、たっぷり三時間、素晴らしいステージだった。ただ、このホール、椅子の座り心地があまり良くないのが難点か。 "Born Into Brothels: Calcutta's Red Light Kids" (08.11.23)カルカッタの売春窟で暮らす子供たちを描いたドキュメンタリー映画を観てきた。 取材で売春窟を訪れた女性写真家が、そこで暮らす子供たちとふれあう。しかし、その子供たちは、そのままでは、女の子は売春婦となり、男の子は麻薬や犯罪に走るしかない。周囲の大人は、そうした状況には全く無力。行政も手を差し伸べようとはしない。経済発展の話題に溢れるインドだが、実際には、途方もない貧富の差が広がっているだけなのだ。さらに、カースト制では上位カーストに属する家族でも、母親が売春婦であれば、子供も売春を生業とせざるを得ないそうだ。この辺は、私には理解の難しいインドの複雑さだ。 そうした現実に対し、女性写真家は、子供たちにカメラを渡し、写真教室を開く。ファインダー越しに、未来を、希望を見るために。この、子供たちが撮った写真が良い。テクニック云々じゃない、生命力に溢れているのだ。そして、子供たちの生き生きとした表情も清々しい。社会の最底辺に暮らしていても、そこで駄目になってしまっている大人と違い、子供には無限の可能性を秘めた未来があることを感じさせる。もちろん、女性写真家が一人で出来ることには限界があるし、写真教室に参加した子供たちにも厳しい現実が待っている。ラストは、ほろ苦さと、少しの希望を感じさせるものになっている。 映画としては、子供たちの個性を的確に描き出す編集がされており、一流のドキュメンタリーに仕上がっている。実際、アカデミー賞を受賞しているのだが、製作年度は2004年。日本での公開までに、こんなに時間がかかったことが、残念だ。 残念と言えば、原題が「売春窟に生まれて。カルカッタの赤線地帯の子供達」とストレートなのに対し、邦題は「未来を写した子どもたち」。こんな、綺麗事めかしたタイトルを付けていては、駄目だと思う。直視すべき現実なのだから。 因みに、この映画。重いテーマを扱いながら、流れる音楽は、私好みのインド・ポップス。それに合わせて子供が踊る場面もあり、やはりインドを舞台にした限り、ドキュメンタリーといえども、歌と踊りの呪縛からは逃れられないのか、とも感じた今日この頃です。 |