IN/OUT (2008.11.16) |
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近所の水辺に、ゆりかもめ飛来。冬も到来。 最近のOUT"Diary of the Dead" (08.11.15)ゾンビ映画の巨匠、George A. Romero監督の新作を観てきた。 1940年生まれのRomero監督だが、本作では、"Cloverfield"などで流行の、フェイク・ドキュメンタリーに挑戦。卒業制作の映画を撮影中だった若者達が、ゾンビ騒動に巻き込まれ、その過程を記録していくという趣向だ。 主観カメラでゾンビを撮るというアイディアは面白いし、残虐シーン、緊迫するシーン、そして、ちょっとした笑いのシーンと、演出も手堅い。しかし、Romero監督の興味は、ゾンビには無い。誰もがビデオカメラを持ち、画像をネットに流すことが出来る現代を描くことが狙いのようだ。 その視点は、批判的だ。誰もがメディアとなることが可能な状況を、主観に溢れた画像ばかりで喧しいだけだと切り捨て、カメラを持つ者が、現場にいながら傍観者に徹してしまうことを糾弾するかのような語り口は、(心情的には賛同するのだが)あまりにも説教くさい。 もちろん、ゾンビを通して社会批判・文明批判を行うのが、Romero映画の特長であり、多くの支持者を惹きつける魅力なのは分かるが、それは、ゾンビの恐怖をきっちり描いてこそだと思う。この作品では、バランスがあまりにも社会批判側に偏りすぎていると感じた。 ただ、最近の若手監督の作品に、俊敏に動くゾンビが増えてきている事への反発か、「ゾンビはのろのろ動く」ことを強調するところなど、ゾンビ映画の元祖としてのプライドが画面に満ちている点は、さすがだと感心。さらに、彼を慕ってか、ニュース画像の声だけの出演として、Stephen King、Quentin Tarantino、Guillermo del Toro、Wes Cravenといった、ホラー系の超大物達が名を連ねていることには、さすがだと感嘆。 "The Brøken" (08.11.16)著名なファッション写真家、Sean Ellisの長編では二作目となる監督作を観てきた。彼の一作目「Cashback(邦題は、フローズン・タイム)の、浮揚感溢れるカメラワークと独特の語り口が印象深く、この二作目も期待は高かった。 コメディ・タッチのハートウォーミングな作品だった前作とは一転、今回はホラー映画だが、映像の美しさは相変わらず素晴らしい。全体に落ち着いた色調の中に浮かぶ赤。こだわり抜いた構図。さらに、音響にも力が入っていて、観客の不安感を煽る。五感に訴えかけるセンスは、やはり只者じゃない。 静かに恐怖が増していくストーリーも、やがて明かされていく謎も、古典的ではあるが、相当怖い(最後まで見てから、地下鉄の中の老女のシーンを思い出すと、背筋が冷たくなる)。敢えて説明を省くことで奥行きを出す手法も雰囲気を盛り上げている。ラストの不気味さも、良い感じだ。 が、演出に何かが足りない。いかにも、ハリウッドの金太郎飴式ホラー映画に反感を持つ素人が演出した、という感じがしてしまうのだ。この、微妙な引っかかりさえ感じなければ、非スプラッターの心理系ホラーとしては、大傑作と言えるのだが… 道の反対側に建った高層アパートへの入居が始まりました。今まで、向かいには黒い壁しか見えなかったのが、明かりの付いた窓が見えるようになり、景観一変。というか、夜はブラインドを下ろす習慣を付けなければ… |