IN/OUT (2008.11.9)

久しぶりに訪れた渋谷のクラブ・クアトロ。いつの間にか、下のフロアがBOOK-OFFになっていてびっくり。元々は、PARCOの、Part1〜3に続く、4番目の店(だから、ビル内のライヴハウスの名前が"Quattro")だったはずなのに…。無常を覚える一方で、まぁ、ライヴ前に時間を潰しやすくなって良かったかな、という気もしましたが。


in最近のIN

"The X Files: I Want to Believe"08.11.7

1993年〜2002年の人気TVドラマ、"The X Files"の新作劇場映画を観てきた。

TVドラマは、超常現象が絡んだ事件を主人公達が解決するという一話完結物だが、その中でも話題になったのは、主役の一人、Mulderのトラウマと結びついた大河ドラマ的展開とも言える、宇宙人&政府の陰謀、というネタだった。ただ、個人的にはそれらのエピソードは、大風呂敷を広げすぎたという感じで好きではなかった。1998年に最初の劇場版「The X Files」が製作されたときも、やはり宇宙人と政府の陰謀に関連したストーリーになっていて、あまり感心しなかった。

しかし、今回の映画は、サイキック&猟奇殺人がメインになっていて、変に風呂敷を広げていない分、私好みのストーリーになっていて、楽しめた。逆に言うと、劇場映画にしては、やや小粒のネタという気もするが、Scullyが医師として直面する苦悩など、TVドラマの枠内では消化しきれないような奥行きがある。

何より、オリジナルのTVドラマが好きだった人には、実に嬉しい展開が続くのが楽しい。MulderとScullyが、なんだか良い感じに歳を重ねているし、終盤の山場ではあの人も活躍してくれる。"I Want to Believe"という、TVドラマのファンならニヤリとするフレーズ(Mulderの部屋に貼ってあるポスターに書かれた言葉)が、深いテーマ性を持った重い言葉として胸に残る脚本は、終盤の急展開に無理があるのが難だが、なかなか巧みだと思う。エンド・クレジットの最後に、主人公二人の魂の救済とも言えそうな映像が出てくるところも、製作者達の愛を感じる。

問題は、なぜ、今、"The X Files"なのか? という事だ。新しいファンを獲得しようという迫力の感じられない渋い映画を、2008年に製作した意図は何だったのだろう? このシリーズにかけたChris Carterの愛情が復活したから、という理由を信じたいところだが、David Duchovnyか、Gillian Andersonがお金に困っていたからではないかと邪推してみたりもするのである。


Fiddlers Bid ライヴ08.11.9

スコットランドの北東、シェトランド諸島出身のケルティック・フィドル・バンド、Fiddlers Bidのライヴを観に、渋谷クラブクアトロに行ってきた。

Fiddlers Bidは、4人のフィドル奏者と、エレキ・ベースとアコースティック・ギターの2人、さらに、スコティッシュ・ハープとピアノ担当の女性1人を加えた、7人編成のバンド。詳しいことは何も知らなかったのだが、とりあえず、生きのよさそうなケルティック・バンドということでチケット購入。

まず、前座に、日本人の男女デュオ、ハンバートハンバート。こちらも、私は全く予備知識無しだったが、意外に良い。アコースティックなサウンドと、ほのぼのしているようで毒も含んだ歌詞。そして、前面に出ているわけではないが、どこかアイリッシュ・サウンドの影響もあるようだ(The Cranberriesがアンプラグドでやっているような印象を、一瞬だが感じた)。

続いて、本編、Fiddlers Bid登場。腕利きのフィドル奏者が4人揃って演奏するのだから、楽しくない訳が無い。しかし、このバンドの肝は、実はフィドラー以外の3人かもしれない。紅一点、Catriona McKayが奏でるスコティッシュ・ハープは初めて見た楽器だが、私が知っている一般的なハープよりもかなり小振り。半音調節用のレバーが弦の上に付いていて、演奏中も何度も手で操作している(一般的なハープはペダルで調節するはず)。音色はアコースティック・ギターのようでもあるが、予想以上にダイナミックな演奏ができるようだ。途中、ハンバートハンバートを呼び込んで共演する場面があったのだが、歌の伴奏で、さらに存在感を増していたように感じた。そして、アコースティック・ギターのFionán de Barraと、ベースのJonathan Ritchは、ずっとフィドル奏者の背後で目立たず演奏していたが、まさに縁の下の力持ち。打楽器がいないバンドで、しっかりとリズムをキープ。特にギターは、時には激しくリズムを刻み、時にはスコティッシュ・ハープと絶妙の絡みを見せ、大活躍だ。

もちろん、息のあった4人のフィドラーのユニゾンは実にスリリングで、アンコール二回の大盛り上がりのうちにライヴ終了。やはり、プランクトンが招聘するケルティック・バンドに間違いは無いなぁと感じたのだった。



何度か訪れていたクアトロですが、今回は初めて、全て椅子席。日曜夜のオールスタンディングは疲れるのが嫌だと思っていたので、非若者にはありがたいと、素直に感謝。ああいう楽しい音楽はスタンディングで聴くべきだと頭では思っていても、体がねぇ。