IN/OUT (2004.11.7)

先週のインド→香港出張では、旅の供に、有名かつ人気作家なんだけどこれまで手にしたことが無かった浅田次郎と司馬遼太郎、及び、クイーンやクリスティに比べると、もう一つ手に取る機会が少なかったカーの文庫本を持って行きました。

結果、浅田次郎も司馬遼太郎も、私には合わないと痛感。それぞれ上手い小説だとは思うのだけど、浅田次郎の泣かせのテクニックと、司馬遼太郎のいかにも碩学らしい挿話が続出する語り口に、閉口。残念。

一方、カーは、未読だった代表作「皇帝のかぎ煙草入れ」。思っていたより読みやすく、再発見という感じではあったのですが、このトリックが「パタリロ!」に使われてたことを思い出して、ちょっとガッカリ。アイディア一発のトリックだけに、パロディーの方を先に読んじゃっていると、つまんないよなぁ。


in最近のIN

"The Grudge" (03.10.31)

呪怨」のハリウッド・リメイクを観てきた。

同時期に公開されている、やはり邦画のハリウッド・リメイク「Shall We Dance?」(オリジナルもリメイクも、どちらも未見)が、舞台を米国に移し、ハリウッド・スタッフが撮影する「翻案」なのに対し、"The Grudge"の方はオリジナルの清水崇監督の続投。舞台も日本のままである。これは、"The Ring"が、舞台をアメリカにしてリメイクした結果、あまり怖くなくなってしまったことを、Sam Raimiら製作陣が考慮した結果だろう。実際、伽椰子にしても俊雄にしても、狭くて薄暗い日本家屋の中でこそ怖い、四畳半サイズのモンスターだ(ただ、この映画に出てくる日本家屋の押し入れや屋根裏は広すぎるだろう)。

それにしても、日本を舞台にしたままで、主要キャストを米国人にしてしまうというのは荒技だ。「日本で暮らす外国人の不安」を物語のスパイスにして独自色を出すということもできたと思うが、そういった要素はごくわずかだ。むしろ、不自然なほど外国人を日本にとけ込ませてしまっている。いやはや、強引だ。

理不尽な恐怖をひたすら連鎖させていくという枠組みはオリジナルと同じだが、ストーリーが整理されて分かりやすくなっていると思う。因果関係をきっちり説明するのが米国的ということか。その分、ちょっと怖さは落ちたようにも感じるが、十分、怖い。粗の多い作品だと思うが、こういう手法で日本ホラーをリメイクするという挑戦自体が、面白かった。



で、今週もこれから空港へ。出張などのイベントがやたらに立て込む今日この頃です。ほとんどシンガポールにいないなぁ。

先週は、意外にも快適なホテル & ネットワーク環境で、結局、更新できましたが、来週は週末をまたいだ旅行となるので、次回更新は再来週以降になります。