IN/OUT (2004.11.21) |
|
タイへの出張と、台湾への社内旅行が連続した週でした。 最近のINBangkok (04.011.7-9)タイには、15年ぐらい前に集中的に出張を重ねていた時期があった。しかし、その仕事が終わってからは行く機会がなくなり、東南アジアに赴任した後も、ほとんど来ることはなかった。これが久しぶりのバンコク出張である。打ち合わせのため前日の夕方にバンコク入りしたので、少しだけ町歩きをする時間があった。 以前は、到着早々から、空港で悪徳タクシーに引っかからないよう気を引き締めてかかっていたのだが、なんだかすっかり効率的かつ安全になっていて拍子抜け。空港から都市部へのとんでもない渋滞も無い。素晴らしき発展ぶりだ。 ホテルにチェックイン後、さっそく地下鉄(MRT)と高架鉄道(BTS)を乗り継いで町を一周してみた。いやはや、こちらもすっかり効率的かつ安全になっている。MRTの電子化されたトークン型チケットが面白い。 公共交通機関は見事に進歩しているが、路上の方は、昔の雰囲気のままのようだ。まだまだ物乞いは多いし、歓楽街の怪しさ(GDPのうち風俗産業が占めるパーセンテージは、実際には二桁らしい)は相変わらずだ。しかし、トータルで見ると、安全・清潔 / 混沌・猥雑のバランスがちょうど良いぐらいで、多くの旅行者にアピールするだろうと感じる。そして、ホテルの従業員も駅員も、皆、笑顔。さすが、ほほえみの国タイランドである。無愛想な店員ばかりのシンガポールから来ると、実に心和む。 翌日、久しぶりに訪れたオフィスでも、15年前に研修をした一期生がまだ私のことを覚えてくれていて、とても愛想良く応対してくれる。やはり、心和む。 台北の小龍包屋とお茶屋 (04.011.13)社員旅行中の一晩、現地の駐在員が夕食に誘い出してくれた。台湾でも日本人出向者には辛い社内旅行があり、状況を察してくれたのである。ありがたいことだ。 「京鼎楼(正しくは旧字体)」。小龍包の有名店だ。噂に違わず、非常に美味しい。三種類の小龍包と野菜炒め、スープ、炒飯、ビールに紹興酒で一人当たり千円程度と、驚くほど安いのも素晴らしい。しっかりした味の小龍包と、あっさりした炒飯。ともに、あの「鼎泰豊」よりも美味しいと思う(鼎泰豊で修行した人が独立して開業した店ということだ)。紹興酒にレモンを入れる台湾風飲み方も久しぶりで美味しかった。ただし、最近「はなまるマーケット」で岡江久美子が絶賛したという烏龍茶風味の小龍包は、一度試せば十分かも… つづいて、「茗泉茶荘」。Sheraton Hotelの地下にあるお茶屋さんに行く。こちらは、渡辺満里奈が本で紹介したという、やはり有名店だ。ただし、ミーハーで行ったのではない。我々の関連会社の歴代駐在員が20年前からずっとお世話になっているお店なのである。ということで、誘ってくれた人も家族ぐるみで付き合いがあるらしい。おかげで、雰囲気の良い店内で色々と話を聞かせてもらいながら、たっぷりと試飲させてもらえた。人間国宝級の方の手によるという茶器でも有名な店だが、そちらはさすがに高い。凍頂烏龍茶を200gだけ購入。 色々と手配してくれた現地駐在員に感謝しつつ、やはり、台湾旅行の王道は、グルメとお茶だよなぁと実感した一夜だった。 最近のOUT社内旅行 in 台湾 (04.11.11-04.11.15)シンガポールに赴任して、これが6度目の社内旅行になる。初めの4回はオーストラリア旅行。しかし、シンガポール標準の団体パック旅行 = 長時間のバス移動と過密スケジュール、そして全食事、中華、という状況は、私にはあまりありがたくない物だった。昨年度は、(予算削減という追い風もあり)ほとんど拘束時間無しという極楽のようなPhuket旅行が実現したが、従業員達の「全部込み込み & 予定ぎっしり」旅行への希望は強かったようだ。今年は、台湾5日間。自由行動日無し。全食事込み。「グルメとお茶」とは無縁。ということになってしまった。 従来であれば、少々個人的に不満でも、目的が従業員への福利厚生なのだからと"IN"扱いにしてきた社内旅行だが、今年は駄目だ。申し訳ないが、"OUT"扱いといういことで… 11月11日
朝、6時半に空港に集合。日本で考えれば非常識な時間だが、私の家だと、6時15分に電話でタクシーを呼び出せば楽勝で間に合う。しかし、ツアー添乗員の到着が5分ほど遅れた。客が6時半集合なら、6時ぐらいには来ておくべきだろうと、ここでまず不機嫌になってしまう。 8時半発のフライトで、10時頃に軽食が出される。到着は13時頃。そのまま貸し切りバスに乗り込む。目的地まで4時間かかり、途中で昼食は取らないそうだ…。さらに、現地ガイドは、中国語しか喋れない…。そりゃ、台湾旅行なら中国語ガイドの方が簡単で安いだろうが、ローカルスタッフもその家族も英語で問題が無いのだから、ここは英語ガイドにすべきだろう。日本人参加者を無視したこのアレンジで、一気に不機嫌さが最大化。添乗員と会社の庶務担当者に厳しい調子で文句を言ってしまったため、以降、このツア一で私は「気難し屋キャラ」として扱われることになってしまった。それにしてもこの中国語ガイド、何を喋っているのか分からないが、とにかく話しが長い長い。iPodを持ってきて良かった。 途中、海沿いのコーヒーショップでの休憩をはさみ、18時頃、目的地、Shangri la(香格里拉) Leisure Farmに到着。観光農園だそうだが、すでに薄暗くなっているので、周囲がどういう状況なのか、よく分からない。宿泊する部屋自体は、ホテルだったら悲しくなるような感じだが、観光農園の宿泊施設と割り切れば充分に清潔である。荷物を解いたらすぐにタ食。中華。食堂は満員で、各円卓も非常に窮屈なことになっている。残念ながら美味しくは無い。現地ガイドですら、後に「あそこは農場だから、タ食も朝食もひどかった」と言ったほどである。 タイで引きかけた風邪が悪化しそうな予感がしたので、タ食後に行われたイベント(子供向けのクラフト教室など、面白くなさそうなものばかり)には参加せず、さっさと寝る。 11月12日
朝、7時45分集合。レジャー・ファーム内を1時間ほど散歩。と言っても、小供向きの遊具のある山道で、別に農地では無い。これでは、なんのための農園滞在だったのか意図不明である。日頃、自然とふれあうチャンスの少ないシンガポール人は、これだけでも嬉しいのか? 散歩後、バスで移動。昼前に、Jiufen(九イ分:無理矢理な表記。正しくは、にんべんに分で一文字)で1時間ほど自由行動。狭い坂道にぎっしりと食べ物屋や土産物屋が並んでいるエリアで、多数の観光客が訪れている。坂道の上からは、良い景色が見えるらしいのだが、あいにくの小雨。イカ団子の串焼きと牛肉麺を食べる。 さらにバスで移動し、Yehliu National Park(野柳風景特定區)へ。公園入口付近の中華料理屋で昼食を取ってから、公園内に入る。海岸沿いにマッシュルーム型や燭台型に浸食された奇岩が並ぶ景勝地である。期待していなかった割には、なかなか面白い景色だ。カメラをバスに置き忘れてしまったのが残念。 夕方、ようやく台北へ。まずは、霊芝とローヤルジェリーの店へ連れて行かれる。提携土産物屋訪問はパック旅行の宿命と諦めるしか無いが、最初に講義形式で中国語による商品説明が延々とあるのには参った。 そして、本日の最終目的地にして夕食場所でもある、温泉へ。出発前に「温泉に行くから水着を持ってくるように」と言われていたのだ。実際には、温泉と言っても、台北市の郊外にある健康ランドのような施設だとは聞いていたが、それでも、今回の旅程の中では楽しみにしていたイベントである。しかし、到着した施設「景徳鎮(Jing De Zhen)」は、予想していた大浴場形式ではなく、個室形式。中央の大食堂を取り囲むように浴室が並んでいるのだ。それぞれの浴室に家族単位で入る。ということは、単独参加の私は一人である。浴室の中には、バスタブとシャワー、簡易ベッドと椅子が置かれてある。蛇口をひねれば、硫黄臭い、ちゃんとした温泉の湯が出てくるが、そこに一人で浸かっても、温泉としての魅力は皆無。寂しすぎる。風呂から上がり、大食堂で中華。 ホテルには9時頃に到着した。安い団体ツアーで泊まるには十分なホテルだとは思うが、LANはおろか、電話がモジュラー形式ではないという、インターネット接続非対応ホテルで、がっかり。 11月13日
8時半、ロビー集合。バスで最初の目的地、Chiang Kai-shek Memorial Hall(中正紀念堂)へ向かう。蒋介石を称える、台北を代表する建造物だ。台湾訪問者として、一応の敬意を表して訪れるのにやぶさかではないが、ここで1時間半を過ごすのは長すぎだ。相当、時間を持て余す。 続いて、Taipei 101のショッピングセンターへ行く。高さ508m、101階建てのビルの5階までがショッピング街になっている。高級ブランドのショップが並ぶ綺麗な所だが、上のオフィス・フロアはまだ内部の工事中。101階建てと聞いて期待する展望台も無しだ。これでは、やはり面白みに欠ける。11時から13時まで、2時間の自由行動だったので、周囲にある他のショッピング・センター、New York New Yorkと新光三越も冷やかす。2時間と言わず、昼食も含め3時間、4時間の自由時間にしていただきたかった。 再び集合し、昼食場所までバスで移動。全員で中華。ただ、さすが台北市内の中華料理屋。いかにも格安団体観光客向けの店構えとメニューだが、出てきた料理はこれまでの中では一番ましだった。 夕方は、国立故宮博物院へ。大改装中で、全体の1/3ぐらいしか開いていないが、団体旅行で回るには、むしろこれぐらいの規模の方が好都合だろう。現地ガイドの中国語の説明を聞いていても仕方ないので、他の団体の日本語ガイドや英語ガイドの説明に耳を傾けながら見て回る。 この後、皆は士林のナイト・マーケットに行ったのだが、私は先述の別行動。 11月14日
やはり朝8時半、集合。最初の目的地は六福村(Leo Foo Village)。動物園と、アラビア、米国西部、南太平洋をそれぞれテーマにした遊園地とからなる施設だ。ここで、午前中の3時間を過ごすのである。お子様連れの参加者には良いだろうが、一人参加の私には辛い。最初の一時間は、揃って動物園見学。後の二時間は遊園地で自由行動ということだったが、ささっと歩き回った後は、結局、動物園の猿の前で時間を潰す。日差しが強く暑い… 園内にある団体客用中華料理屋で昼食後、トマト農園(金勇 DIY Leisure Farm)に行く。農業のほとんど無いシンガポール人には珍しいのだろうが、台湾まで来てトマト農園を見るというのもなぁ。しかも、この農園、多数の観光客が押しかけていて大混雑なのだ。温室の中は暑い… 夕方には深坑の深坑老街=Tofu Streetへ。狭い道の両脇にずらっと、臭豆腐の串焼きや麻辣煮込みを食べさせる店などが並んでいる。臭豆腐は、発酵させて風味を出した豆腐なので、文字通り、臭い。ただ、一旦揚げてから、煮込んでいるようで、実際に食べるとあまり臭いは感じないらしい。私は、大豆×発酵という時点で納豆を連想してしまい、手を出さないままだったが。 6時頃、台北市内に戻り、提携土産物屋訪問その2。今回は真珠屋へ連行される。アクセサリーとしての真珠よりも、美容用の真珠粉末の方がメインの店のようだ。ここでもまた、最初に講義形式で延々と中国語による商品説明がある。 真珠屋を解放された我々は、バスで西門の繁華街(Ximenting)へ。ツアー最後の夕食だが、例によって例の如くの、団体客用中華料理である。キャベツ炒めも食べ飽きた、という感じだ。 食後、このエリアで二時間の自由行動。ということは、再集合時間は10時15分。小さい子供連れ参加者が多くても平気でこういう時間設定になってしまうのが、さすが、宵っ張りが多いシンガポール人ツアーだ。若者向きの賑やかな繁華街だが、あまり面白くもなさそうなので、ガイドに言って単独行動させていただく。ホテルの二駅ぐらい手前で地下鉄を降り、ぶらぶら歩いてみる。結局、皆よりも随分早くホテルに戻った。 11月15日
11時、ホテルをチェックアウトし、空港へ。団体チェックインの前に、航空会社職員から、「オーバーブッキングになっている。250シンガポールドル + 五つ星ホテル一泊 + 空港までの送迎 + ビジネス・クラスへのアップグレード、という条件で明日のフライトにしてもらえる人はいないか」との申し出があり、社員騒然。私自身は、立場的にも、スケジュール的にも無理なのだが、確かにおいしい条件である。 何人かは、その犠牲的精神を発揮し、明日は公休を取りますから、ということで名乗りを上げたのだが、最終的には全員搭乗可能になった。19時頃、無事、シンガポール到着。 台湾には、5年ぐらい前に集中的に出張を重ねていた時期があった。バンコクに比べれば、まだ土地勘も残っているだけに、この限られた自由時間しか無い旅程は残念だ。家族連れで参加している人達にはすべてお任せの方が楽なのは理解できるが、せめて半日ぐらいは自由にさせてもらいたかった。というか、皆は「お茶とグルメ」抜きの台湾で満足だったのか? この前のインドも含め、久しぶりに訪れたアジアの都市がどこも、それぞれに発展している様子は印象的でした。同時に、域内で最も近代化が進んだ先進都市という、シンガポールの優位性が相対的に下がっていることも感じました。シンガポールの将来性に、ちょっと危機感を覚える今日この頃です。 |