IN/OUT (2004.7.4)

TVで杉山選手のウィンブルドン準々決勝を点けっぱなしにしながら、サイトの更新をしている最中に、突然の停電。窓の外を見ると、アパートの他の棟や向かいのHDBの明かりも消えています。

幸い、アパートの中庭、プールサイドのライトは消えていなかったので、真っ暗闇ということはなかったのですが、危機管理意識の希薄な我が家に懐中電灯は無い。手元にあった唯一の発光体=Pocket PCのスイッチを入れ、液晶のバックライトを頼りに、アロマ・ポット用に買いだめしてあったロウソクを探し出して一息つけました。

この状況でまず考えたのは、更新中のファイルが…、ということでしたが、それは仕方がない。停電が長引けば冷蔵庫の中のものが腐ってしまうという心配も、手の打ちようが無い。電力を奪われると、なんとも無力なものです。このアパートは、バスルーム毎に電熱で暖めた温水を天井裏のタンクに貯蔵する方式なので、そのうちお湯が出なくなってしまうと考え、取り急ぎ、シャワーを浴びておくことにしたのが唯一の積極的行動でした。


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"Spider-Man 2" (04.7.4)

"Spider-Man"の続編を観てきた。

単純なスーパーヒーロー勧善懲悪物ではなく、等身大のヒーローが悩む姿を描いた青春物語として前評判が高いのは、前作と同様だ。さらに、このシリーズは既に三作目の製作も発表されている。となると、二番煎じ、あるいは中だるみ、といった不安があったのだが、どうしてどうして、予想を上回る快作だった。

なによりも、Sam Raimi監督の演出が実に的確だ。「アメコミの実写映画化」であるという枠組みを大切にしつつ、観客が観たいと思っているものをきちんと映像化してくれている。ドラマ部分とアクション部分のつながりや、丁寧に作り込まれた観客へのサービスという点では、前作以上だろう。さらに、物語のテンポもぐっと良くなっている。「わかってらっしゃる!」と言いたくなるKirsten Dunst嬢の使い方も上手いなぁと思う。スパイダーマンとしての能力の設定自体に「これで良いんだっけ?」と突っ込みたくなるところは、ご愛敬か。

見終わって爽快感の残る、実に良い映画だった。ただし、Spider-Man = Peter Parkerを巡るドラマとしての印象が強く、悪役、Doc Ockの存在感がやや弱いような気もする。そのため、親子連れの目立った観客席の中には、途中で退屈してしまった幼児も多かったようだった(ちょっと、騒がしいぞ)。



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"Hello Broadway! A Concert Extravaganza" (04.7.3)

ブロードウェイの一線で活躍しているJudy Kuhn、Jerry Dixon、Dina Morishita、Welly Yang、Jason Robert Brownを招き、バックにSingapore Symphony Orchestraを配したステージで、"Miss Saigon"、"Chicago"、"Chess"等々、人気ミュージカルの有名曲を歌っていただくという趣向の公演を観に、Esplanade Concert Hallに行ってきた。

私自身はミュージカルの舞台を実際に見た経験は数えるほどで、敬遠しがちな分野である。しかし、こういう「おいしいとこ取り」のステージなら興味を持てるかも、ということで出かけてみたのだ。

さすがにブロードウェイの人達、とても歌が上手い。ミュージカル・スターらしく、豊かな声量と明瞭な発音が特長だ。ただ、それがあまりにも際だってしまうと、ひねくれ者の私には「わざとらしく」聞こえてしまい、引いてしまう。先日のSarah Brightmanも、ミュージカル出身だけに声量豊富かつ発音明瞭だったが、彼女の場合はそれに加えて、独自の美意識と桁違いの表現力からくるオーラで観客を圧倒していたと思う。残念ながら、今回の出演者達と演目では、私にはそういったものが感じられなかった。

あと、ミュージカルの曲自体が、ストーリーから切り離したこのような場で歌われると、聴いていて恥ずかしくなってしまうような雰囲気を持っていると思う。男女が手と手を取り合って朗々と愛情を歌い上げてみたり、妙に息の合った掛け合いを披露したり…。あるいは、一つの作品を通して鑑賞すれば(そして、物語に没頭できれば)、こういう気恥ずかしさが先立つことは無いのかもしれない。「おいしいとこ取りステージ」は、逆効果だったか。

他のお客さん達は、熱心に拍手とかけ声を送っていたし、出演者の技量自体はレベルの高いものだったと思う。ただ、私には場違いな公演だったようだ。



幸い、45分ほどで電力復旧。改めて、電気のありがたみを感じたけれど、あっ、杉山、負けてる…