IN/OUT (2002.5.5)

この春、シンガポールを離れた日本人が5,000人。新たにやってきた日本人が2,000人程度。結果、一気に在星日本人の数が3,000人近く減ったとのこと。不況による工場閉鎖や、アジアの生産拠点を中国に移す企業が増えたのが原因で、まだしばらくは、この減少傾向が続きそうです。

ちょっとした地方都市並の、3万人の日本人が住んでいることで、充実していた日本人向けの各種サービスも、今後、縮小、撤退が相次ぐのかもしれません。書籍やCDはインターネット通販があるから不自由しないにしても、食料品関係などは、是非、現状維持をお願いしたい今日この頃です。


in最近のIN

Spider-Man (02.5.1)

お馴染みアメリカン・コミックの映画化。なぜか米国より早く封切られたようだが、初日に鑑賞。

ストーリーに関しては、漫画の映画化というのを割り引いても、あまりにもご都合主義が目立つ。アクション映画として大人の視点で楽しむには、ツライかも。しかし、悩めるティーンエイジャーの青春物語としては、見事な傑作だ。たまたま超人的な力を身につけてしまったものの、決して生まれついてのスーパーヒーローではない主人公の、不器用な誠実さは、青臭過ぎる一歩手前という感じもあるが、なんか、もう切ないんである。泣かせるシーン、続出。

実写でリアルに描出するには無理があると思われるSpider-Manのアクションも、スピード感溢れる絵作りで一気に見せる。まさに緩急自在といった感じの演出ぶり。Sam Raimi監督の天才ぶりにほれぼれする。

続編製作も決定しているようだが、能天気Super Manとも、根暗Bat Manとも、非現実の極みX-menとも違う、共感できる部分の多いSpider-Manには、次回作では、是非とも幸せになってもらいたいものである。


「虫の味」 (02.4.30)

Spider つながりという訳では無いが、以前、書評を見かけて猛烈に興味をそそられ、紀伊国屋Japanから通販で取り寄せた。予想通りの快著。

二人の医学博士(二人とも、日本衛生動物学会賞を受賞している、ちゃんとした研究者で、害虫駆除などの分野で活躍されているようだ)が、様々な虫を食べる、という本である。淡々と、調理法や食味を紹介していくのだが、その淡々さ加減が、実に良い味わいである。紹介された虫は、イナゴ、ハチの子、ザザムシ、ハエ、ゴキブリ、シラミ、蝉、ユスリカ、ムカデ、トンボ、ケラ、ミノムシ、カブトムシ、アブ、アオムシ、アメリカシロヒトリ、等々。

さすが、研究者と思わせるのは、わざわざ、佃煮など調理法が確立しているイナゴについても、刺身を試してみたりするところである。で、あっさりと「やはり、昔からのから揚げや佃煮にとどめるべきかもしれない」と書いたりする。因みにゴキブリの刺身は、姿はシャコに似ていて、味わいも、そこそこらしい。

私自身は、昆虫食は全く受け付けられないのだが、話だけ聞く分には、とても興味深い。ただし、本で読むのにとどめておくべきで、この著者達に直接話を聞くのは避けた方が良さそうである。この二人、昆虫料理を周囲の人に黙って食べさせ、こっそり反応を見るという悪癖があるようなので…



今日、買い物に行った大丸シンガポール店の店内では、どうやら「手塚治虫映像化作品主題歌集」の類のアルバムがBGMになっていたようです。懐かしの「悟空の大冒険」や「リボンの騎士」はまだしも、「バンパイア」あたりのマニアックな作品になると、まず再放送はあり得ないので、今の子供には分からないだろうし、音楽的にはデパートのBGMには全く不似合いだと思われます。果たしてこの選曲者は、単なる粗忽者なのか、あるいは、今の駐在員の中心を占める年代層なら、マニアックと言いながら実は一緒に口ずさめる人が多いだろうと深読みした確信犯なのか、迷うところです。