IN/OUT (2001.2.11)
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労働許可証とアパートの契約、どちらも更新時期となり、これで着任してちょうど二年たったのだな、としみじみ。


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「コフィン・ダンサー」&「Yの悲劇」  (01.2.4)

「コフィン・ダンサー」は、映画化もされたベストセラー「ボーン・コレクター」の続編。前作同様、読んでる最中は面白い。作者の過剰なまでのサービスで、途中で中断するのが難しく、結局、一日で読了。ただ、再読に耐えうる物語という感じでもなく、まぁ、ハリウッド娯楽映画的ジェット・コースター・ストーリーというところである。

主人公は、四肢麻痺の科学捜査専門家。前作「ボーン・コレクター」では、この四肢麻痺という設定を巧みに活かしていたと思ったのだが、この作品では、単に主人公に「安楽椅子探偵」的な活躍をさせるための背景に過ぎず、必然性が感じられない。

必然性の感じられないハンディ・キャップを背負った探偵と言えば、エラリー・クイーンの「悲劇シリーズ」に登場する、ドルリイ・レーンである。久しぶりに「Yの悲劇」を読み返したのだが、これまた、レーン氏が聴力障害者である必然性が全く無い。彼はきわめて優れた読唇術によって、ごく普通に会話をすることができるという設定なので、聴力障害者であることは、少なくともこの作品では、まったく意味を持たないのだ。まぁ、悲劇シリーズ四部作を最後まで読めば、合点がいく設定になっているのだが。

クイーン氏が、1930年代、「最後の悲劇」になって初めて生きてくる伏線を張るためだけに、バーナビー・ロスという別の覆面筆名を使って「Xの悲劇」から始まる四部作を書き上げたというのは、いかにも古き良き本格探偵小説黄金期らしいエピソードである。改めて読んでみると、しかも同時期に「コフィン・ダンサー」なんか読んでしまうと、鑑識捜査の古くささや、ストーリー展開にスピード感が乏しいのが目立ってしまうのだが、やはり子供の頃に熱中した刷り込みのせいか、何度読み返しても、黄金期探偵小説の雰囲気には安心感がある。



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"The Wedding Planner"  (01.2.11)

歌手としてのアルバムの売り上げ、俳優としての主演映画、どちらも全米第一位と、絶好調のJennifer Lopez。その主演映画。

前にも書いたのだが、Jennifer Lopez嬢、演技を見ても、音楽クリップを見ても、いかにも上昇志向が強そうなのに、どうしても「安っぽさ」を感じてしまう。怪作「Anaconda」の印象が強すぎるのだろうか。さらに、この映画の共演は、今や「actor」ではなく「naked bongo player」という肩書きでお馴染みになってしまったMatthew McConaughey氏だ。個人的には、とほほ感の強いキャスティングだが、果たせるかな、内容の方も、なんでこれがBox Office一位なのか不思議な出来映えだった。スクラブルや古き良きミュージカル映画なんかを小道具に、小粋なラヴ・コメディというのが狙いなんだろうけど、この毒にも薬にもならなさ加減には、ちょっとついていけない。ご都合主義に目くじらをたてるのは野暮、と言えばそれまでだけど、こういう恋愛コメディって、冷静に見ると、主役の男女のわがままで周囲の人達が多大な迷惑を被っていることが多い。特に、この作品じゃ、それが目に余る。

私としては、単なる「安っぽさ」ではなく、良い意味での「B級っぽさ」を感じているだけに、Jennifer Lopez嬢には、大物指向を止めて、ELIZABETH HURLEY嬢のようなビッチ路線に開眼していただきたいものだと、大きなお世話的に考えてしまう今日この頃である。



労働許可証の更新については、昨年、医療機関での結核とHIVへの感染検査が義務づけられ、陽性なら即国外退去、ということになったのですが、当然というか、某米系大手企業の訴えを受けた米国大使館から人権侵害と文句を付けられ、再び制度変更。今回の私の労働許可証更新申請では、自分で、感染していない旨を保証するという署名をすればOKということに落ちつきました。

しかしながら、自分で保証すれば良いという方式が全ての労働許可証に適用された訳ではなく、主に肉体労働系出稼ぎ労働者が取得すると思われるタイプの労働許可証では、相変わらず検査義務が課せられています。いかにもシンガポールらしい、無理矢理好意的に解釈すれば、現実的かもしれないが、良くやるよなぁ、という処置ではあります。