2020年3月4日発売
VICL-65280
Arranged & Produced by 矢野顕子 & 上妻宏光
日本最古と言われる民謡で、音楽の教科書に載ったりNHK「みんなのうた」で流れたりして知名度の高い曲を、ピアノと三味線、さらにパーカッションとシンセ・サウンドを加え、矢野さんと上妻さんのヴォーカルが絡むアレンジで。新ユニット「やのとあがつま」の名刺代わりの1曲として、デビュー・アルバムの冒頭にうってつけの作品だと思います。
これまた有名な民謡を、グルーヴの効いた凝った変拍子でアレンジ。さらに、二番の歌詞は英語で、かつ、アルバムタイトルをぶち込んでくるという荒技が見事に決まっています。ロボットアームが登場するミュージック・ビデオも作られました。
民謡が続いた後、いきなり「飛行機」という現代ワードの歌い出しの、上妻さんも作曲に加わった新曲。民謡を歌うときとは全く違う、上妻さんの優しい歌声が素敵な味わいです。
強めの津軽弁で矢野さんが歌い上げています。ちょっとトボけた曲調ですが、訛りがきつくて聞き取りづらい歌詞の内容は、実は嫁いびりという落差も面白い。NY公演ではこの歌詞を”Global Issue”として紹介したそうです。
メイン・ヴォーカルは、2018年の「弘前観桜会100周年記念事業 2018桜花グランプリ争奪 第33回津軽五大民謡全国大会」のジュニアの部で優勝した(当時10歳)、現在12歳の民謡歌手 白戸琴菜さん。彼女が歌うド直球の民謡に、シンセ・サウンドとエフェクターを通した矢野さんの歌声が控え目に絡みます。
曲調は、見事な「正調アッコちゃんポップス」。それを、ピアノを入れず、三味線を前面に出したアレンジで聴かせます。サビのコーラスも含め、癖になる1曲。
シンセサイザーのベース・サウンドとエフェクターを通した上妻さんの歌声が重層的に響く前衛的な雰囲気の前半(引き潮)と、ピアノとヴォーカルだけのシンプルで静謐なアレンジの後半(満ち潮)。二つのアレンジを合体させた大作です。
恐らく、日本で最も有名な民謡の一つでしょう。上妻さんの歌声が実に良い感じです。さらに、三味線とピアノが奏でるグルーヴ感溢れる間奏から、矢野さんの歌声も絡む終盤への展開が秀逸。ライヴで確実に盛り上がる鉄板曲です。
青森市ねぶた祭りから着想された曲。"Part III"となっていますが、"Part I"は山上進氏(三味線奏者だが、この曲では太鼓と笛を演奏)らと演奏し、"Part II"は Little Featを従えた演奏で、矢野さんのソロ・デビュー・アルバムに収録されています。アルバム最後を飾るにふさわしく、矢野さんも上妻さんも伸び伸びと演られている感じです。これもまた、鉄板で盛り上がる曲ですね。