関東の2公演に行くことができました。
スケジュール | |
メンバー | |
2024年4月21日 | 水戸芸術館 |
2024年4月24日 | 多賀城市民会館 |
2024年4月25日 | ビルボードライブ横浜 |
2024年4月28日 | ビルボードライブ大阪 |
公演日 | 開演 | 会場 |
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2024年4月21日(日) | 17:00 | 水戸芸術館 |
2024年4月24日(水) | 18:30 | 多賀城市民会館 |
2024年4月25日(木) | 17:30 / 20:30 | Billboard Live YOKOHAMA |
2024年4月28日(日) | 16:30 / 19:30 | Billboard Live OSAKA |
茨城県日立市出身で、いばらき大使、日立大使も務めておられます。そして、三人中唯一の「猫よりも犬派」。
やのとあがつまの電子部門担当。
茨城を「ギ」ではなく「イバラキ」と発音することを学び、今後は茨城弁も習得か?
やのとあがつま、2年ぶりのツアー。初日は、水戸芸術館。磯崎新氏が手がけた特徴的な塔の写真を見たことはあったが、実際に訪れるのは初めてだ。美術館・コンサートホール・劇場からなる複合文化施設。この日は、広場で「あおぞらクラフトいち Spring in 水戸」なるイベントが開催されていた。中庭広場には大量の出店が並んでいて、なかなかの混雑ぶり。地元に溶け込んだ芸術施設という雰囲気である。今回の公演会場は、その中のコンサートホールATM。約620席のクラシック音楽専用ホールだ。三本の大きな大理石の柱がインパクトを放つ空間を手のひらに見立てると、掌底部分に六角形の舞台、そこから3方向(親指・中指・小指の方向)に客席が広がるという独特の構造だ。
客入れの音楽は、YMOの「BGM」。舞台向かって左にSteinwayのグランドピアノとRolandのRD-2000キーボード。中央に上妻氏のマイク、右に深澤氏の機材群という配置。深澤氏の機材用台の側面には猫の絵。
1曲目「こきりこ節」から演奏スタート。ピアノ、三味線、電子音、そしてヴォーカル。絶妙の絡み具合。久しぶりのライヴだが、これこそ、このユニットの唯一無二の魅力だと一瞬で思い出す。2曲目「おてもやん」の演奏中、深澤氏を見ると、ノリノリで歌に合わせて口を動かしているのを視認。彼の存在も大きいのだよなぁ。さらに特筆すべきは、この会場の音響の良さだ。極めて自然な響きが心地良い。
「津軽じょんがら節」の、青森からニューオーリンズを経由したかのようなピアノ・アレンジも楽しく、「淡海節」の中毒性の高いアレンジに痺れ、そして、深澤氏がはけて、二人だけでインプロヴィゼイション的掛け合いから始まる「Rose Garden」のカッコ良さよ!
ここで、一旦、上妻氏は退場し、矢野さんのソロ。「中央線」。そして、上妻氏のソロにバトンタッチ。超絶技巧を見せつけられた観客からは地鳴りのような拍手が響く(この会場の音響の良さは、拍手や手拍子を聴いても良く分かる)。
衣装替えをした矢野さんが舞台上に戻り、「紅花摘み唄」。間奏で、右手のピアノでベース音を刻みながら、左手のキーボードで尺八風のメロディーを奏でる矢野さんのプレイ、カッコ良し。そして、ここで新曲。民謡では無く、ピンキーとキラーズの「恋の季節」(我々世代には、民謡並みに刷り込まれている歌ではある)。こう来たか!終盤のピアノが実に良い感じ。演奏後には、津軽弁上級者による「ピンキーとキラーズ」の発音講座も。
「田原坂(熊本)」、「稲すり節(奄美)」と南下した後、オリジナルの「いけるかも」。ポップスのフォーマットに三味線を巧みに落とし込んだ佳曲だと改めて実感する。
本編ラストは「斎太郎節」。アンコールは「鹿児島おはら節」と「ふなまち唄 PART III」。終盤の鉄板構成は、手拍子付きで盛り上がり、「ふなまち唄 PART III」における「ラッセーラ!」のコール&レスポンスで会場の熱気が最高潮に達したところで、全編終了。
やはり、このユニットは、矢野さんの様々なプロジェクトの中でも、「エモさ」という点では図抜けていると思う。そこに、今回の会場の音響の素晴らしさが加わり、とても楽しく、熱いパフォーマンスだった。
ビルボードライブ横浜での公演は、1日2ステージだが、平日だと1stには間に合わず、2nd Showのみの参戦となってしまう。ちょっと悔しい。
ステージ上は、これまでと同様、向かって左にSteinwayのグランドピアノとRolandのStage Piano RD-2000。中央が三味線のセクションで、右に深澤氏が操る機器群。クラブ公演でも、客入れの音楽はYMOの「BGM」
ちょうど「1000 KNIVES/千のナイフ」が流れているところで客入れのBGMはフェードアウト。3人が登場し、演奏開始。出だしから好調だ。水戸では、矢野さんの口が回っていなかった「おてもやん」の英語詞の部分も、今回はバッチリ。
水戸でのセットリストに対し、「弥三郎節」がカットされたのは残念だが、この会場の、1ステージ70分という制約に合わせるために「嫁いびり」の唄を切るという判断は、仕方ないか。その分、青森発、ニューオルリンズ経由っぽいアレンジの「津軽じょんがら節」、とにかくアレンジと音色がカッコ良すぎの「淡海節」、そして、右手のピアノでベース音を刻みながら、左手のキーボードで尺八風のメロディーを奏でる矢野さんのプレイを堪能出来る「紅花摘み唄」の流れは、素晴らしい。
そして、お二人の探り合うようなインプロヴィゼイションの掛け合いから始まる「Rose Garden」。いつ聴いても凄いのだが、今回は、特に上妻さんの三味線がキレキレ。それに呼応して矢野さんのピアノも迫力を増し、2人で高め合う熱量が半端ないレベルに達している。これは凄い
今回は、お二人のソロもカット。仕方ないとは言え、上妻さんのソロでの超絶技巧を聴けなかったのは残念。前回のビルボードライブ横浜公演では演ってくれていたのだが…。もっとも、その代わりに何をカットすれば良かったのかと言われると、困ってしまうな。
新曲、ピンキーとキラーズの「恋の季節」。プレイ前に、矢野さんの「この曲を歌ったことがある人は?」との問いかけに、(この曲が民謡並みに刷り込まれている世代の私にとっては意外なことに)手を挙げた人は少数。そうか、1968年のヒット曲だもんな…。
懐かし歌謡を矢野さんらしく料理した後は、上妻さんのヴォーカリストとしての力量が響く「田原坂」、沖縄民謡とも一味違う奄美民謡を軽快なロックに落とし込んだ「稲すり節」、三味線の特長をポップスのフォーマットに見事に活かした「いけるかも」。楽しい流れだ。
そして、ここからが鉄板の盛り上がりパート。本編ラストの「斎太郎節」。アンコールの「鹿児島おはら節」と「ふなまち唄 PART III」。手拍子と、「ラッセーラ!」のコール&レスポンス。ただ、ホール公演に比べると、ちょっと短めだったかな。
ということで、曲数と演奏時間では、水戸よりも少なめではあったが、ツアーを重ね、こなれてきたパフォーマンスは、上妻さんのこれまで以上に攻めたプレイと、それが引き起こす矢野さんのピアノとの化学反応が、とてもエキサイティングだったと思う。そして、このユニット、やはりエモいのである。
MCで矢野さん自身も何度も言及していたが、まだ、このユニットのアルバムは1枚だけ。すでに、ライヴでは次々と新しいレパートリーが増えているのに…。早く2枚目を!と強く期待する。上原ひろみさんとやったように、公開録音のライヴ盤というのでも良いのではないかなぁ。