大阪以外の3公演に行くことができました。
スケジュール | |
メンバー | |
2022年5月17日 | 住友生命いずみホール |
2022年5月19日 | かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール |
2022年5月21日 | 常陸大宮市文化センターロゼホール 大ホール |
2022年5月24日 | ビルボードライブ横浜 |
公演日 | 開演 | 会場 |
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2022年5月17日(火) | 19:00 | 住友生命いずみホール |
2022年5月19日(木) | 18:30 | かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール |
2022年5月21日(土) | 17:30 | 常陸大宮市文化センター ロゼホール 大ホール |
2022年5月24日(火) | 17:00 / 20:00 | ビルボードライブ横浜 |
ユニット結成初期は控え目だったのが、このメンバーでのステージを重ねる内、矢野さんにもしっかりツッコめるようになった気がします。茨城県日立市出身で、いばらき大使、日立大使も務めておられます。
ステージ上では極めて無口。なぜなら、普段は地中で機材と猫に囲まれて暮らし、地表には滅多に出てこない生態だから。だそうです。
ツアー直前に左足の薬指を骨折されたそうで、ギプスシューズを使用(Amazon Japanでこれが見つからなかったら、ツアーは中止になっていたかも)。本来、怪我していない方の足は普通の靴で構わないところ、結構、カッコ良かったので、両足ともギプスシューズにされているそうです。
昨年のツアーが、コロナ禍により、予定の4公演中2公演がキャンセルという不完全燃焼に終わったリベンジか、今年もツアーが開催。嬉しいサプライズだ。特に、ツアー初日の住友生命いずみホールは、一昨年・昨年とキャンセルが続いただけに、お客様も、やのとあがつまの皆さんも、格別だっただろうなと思う。
さて、かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール。青砥駅から歩いて5分ほど。キャパ 1,318席のシューボックス型のホールだ。なお、オーケストラ用のモーツァルトホールの他に、シンフォニーヒルズ内には、室内楽用のアイリスホール(キャパ 298席)もある。立派な施設だが、私が見る限り、周囲は平らな地形である。何故「ヒルズ」なのかは不明。
左にSteinwayのグランドピアノとRolandのキーボード。中央が三味線で、右に深澤氏の機材群(今年は猫成分控え目)が並ぶ。1曲目「おてもやん」から演奏スタート。歌の部分ももちろん良いが、間奏の三味線ソロ、それを支えるシンセビート。さらに、そこに絡む矢野さんの鍵盤。この強力無比の三位一体感こそ、このユニットの魅力だと1年ぶりに実感。上妻氏のバチを細かく動かすトレモロ奏法的なプレイも効果的だ。
今回、新たにレパートリーに加わった「紅花摘み唄」。そして、ユニットでの「津軽じょんがら節」。昨年同様、アメリカ南部 meets 津軽という雰囲気の演奏が楽しい。
矢野さんとのスリリングな掛け合いで上妻氏のプレイヤーとしての懐の深さを見せつける「Rose Garden」で、一旦、上妻氏は退場し、矢野さんのソロ。「音楽はおくりもの」を朗々と歌い上げる。そして、上妻氏のソロにバトンタッチ。こちらは、ソロ・バージョンでの「津軽じょんがら節」。圧倒的なテクニックを披露。演奏終了時には、客席からどよめきが起こる。
矢野さんが舞台上に戻り、QVCタイム(過去は、"Shop Channel"と自称される事が多かったが)。何せ、元々のツアーは2年前に予定されていて、それに合わせてグッズを作ったのだから、そろそろ在庫消化する必要があるのだろう。一通り、グッズ紹介が終わり、楽しい雰囲気の新曲を披露。
「淡海節」。やっぱり、中毒性の高い曲だと思う。そして、新レパートリー「稲すり節」。攻めたアレンジ、カッコ良し。
本編ラストは「斎太郎節」。アンコールは「鹿児島おはら節」と「ふなまち唄 PART III」。終盤は、鉄板構成だ。大いに盛り上がり、充実感の中、全編終了。
一年ぶりに観て、やっぱりこのユニットは、楽しく、気持ち良く、そしてエモいと実感。これだけ、新作も入れてきたのだから、新アルバム、そして、新ツアーにも期待してしまうのは、気が早いかな。
常陸大宮市を訪れるのは初めてだ。JR東日本水郡線の常陸大宮駅前には見事に何も無い(地方都市にありがちなパターンとして、商業施設などはロードサイドに集まっていると思われる)。市の花であるバラを植えたお家が多いなと眺めながら歩くこと5分のところに、常陸大宮市文化センターロゼホールはある。大ホールは、キャパ 1,010席。中はとても綺麗で、演奏が始まると、音響も良い本格的な音楽ホールであることが分かる。
客入れの音楽は Mac Demarco。舞台上は、例によって、向かって左にSteinwayのグランドピアノとRolandのStage Piano RD-2000。中央が三味線のセクションで、右に深澤氏が操る機器群。
セットリストは、かつしかと同じ。私が二回目の鑑賞だからか、実際にそうなのか、出だしから、かつしか以上に充実した演奏だと感じる。
新レパートリー「紅花摘み唄」は、「シャーンシャーン」の掛け声と尺八風のキーボード・サウンドが印象的だ。
「Rose Garden」は、ロゼホールという会場でやるには奇しくもぴったりの選曲となった。それにしても、敢えてこの曲で深澤氏のシンセ・サウンドを用いず、二人だけで演奏するところが、流石トップ・プレイヤー同士。ピアノと三味線の丁々発止の掛け合いが実にスリリングだ。
矢野さんのソロ、「音楽はおくりもの」。今回も熱唱。コロナ禍があったからこそ生まれた名曲だと思う。
上妻さんのソロ、「津軽じょんがら節」。今回も凄テク全開。途中、何度も拍手が起こり、演奏終了時にはどよめき。
矢野さんがステージに戻り、(今回は”QVC”ではなく)Shop Channelのコーナー。そして、ポップなオリジナル曲を2曲続けた後で、一転、ヘビーなシンセ・サウンドに乗せた「淡海節」という流れが堪らない。ここからは、怒濤の終盤戦。「稲すり節」のロックなノリは、「バージョンアップ版やのとあがつま」という感じのカッコ良さだ。本編ラストの「斎太郎節」での矢野さんのコーラスは、本当に絶品だと思う。
アンコール。矢野さんがイヤモニを装着している間、残りの二人は、公演前に会場の隣にあるしまむらで買い物をした話。上妻氏は衣装に入ってなかった靴下を急遽買いに行ったのだが、深澤氏は、事前に調べた上で、すみっコぐらしの寝間着を購入されたそうだ…。そして、2曲。特に、「ふなまち唄 PART III」の「ラッセーラー」が、いつも以上に熱い。これで充実のステージ、全編終了。
ツアー3公演目でコンビネーションは熟成されている。また、ツアー最終日がビルボードライブ横浜なので、1ステージの時間が若干短いはず。ということは、フル・サイズのライヴはこれがツアー最後だと思う。そして、上妻氏にとっては地元での公演ということで、良い感じのリラックス感も漂う。これだけの条件が揃っただけに、最初からアンコール・ラストまで、完璧と言って良いクォリティのパフォーマンスだったと思う。遠出して良かったと実感する公演だった。
ツアー最終公演は、ビルボードライブ横浜。2020年7月にオープンした、東京、大阪に続く、国内3店目のビルボードライブ。私はこれが初訪問である。
基本的にはビルボードライブ東京と似た造りだが、ステージがかなり大きい。特に横幅がしっかり確保されている。また、客席の上にシャンデリアが吊されているのだが、開演時にスルスルと上がって天井に格納されるというギミック。ステージ上は、これまでと同様、向かって左にSteinwayのグランドピアノとRolandのStage Piano RD-2000。中央が三味線のセクションで、右に深澤氏が操る機器群。
出だしから演奏は絶好調。ステージの横幅が広いため、ホール・コンサートと同じ照明効果が使われているのも嬉しい。冒頭の2曲が終わり、「神奈川県に民謡ってあるの?」、「八代亜紀さんの『舟歌』に挿入されている「ダンチョネ節」とか」。「『こきりこ節』はどこの民謡でしたっけ?」、「富山県」、「あぁ、ホタルイカ。富山県は人間とホタルイカの人口が同じぐらいなんだって」。などと、ツアー最終公演とは思えない、リラックスしたトーク。
これまでのホール公演ではこの次に続く「弥三郎節」と「紅花摘み唄」は演奏されず。このクラブは、基本、セットが70分間に決められているということなので、かなり曲数が減らされるのかと思っていたが、実際には、ホール公演のセット・リストから「弥三郎節」と「紅花摘み唄」の2曲がカットされただけだった。ただ、この2曲は、前半でしっかり民謡を聴かせる重要なパートだと思っているので、カットされるのは残念である。もっとも、じゃあ、他のどの曲をカットすれば良かったのか? と言われると困ってしまう。やはり、ホール公演は鉄壁のセット・リストだったなと思う。
やのとあがつま版「津軽じょんがら節」。今日は、一段とアメリカ南部 meets 津軽という雰囲気が強烈に響く。そして、お二人の即興の探り合いのような掛け合いから始まる「Rose Garden」。これまでも凄かったが、今日は一段と二人の掛け合いと、その相乗効果が素晴らしい。完璧なタイミングでハマる昂揚感を堪能。
矢野さんのソロ、「音楽はおくりもの」。これまでで、最も力強い熱唱だと感じた。それに続く上妻さんのソロ、「津軽じょんがら節」。またまた凄テク全開。演奏終了時のどよめきから、いつまでも鳴り止まない拍手。この2曲のソロは、見事にそれぞれの個性が全開で、ユニットとはまた違う聴き応えがある。
矢野さんがステージに戻り、”QVC”(グッズ販促)のコーナー。公演時間に制限があるクラブでも、ここはしっかり。と言うか、今まで以上にノリノリ。矢野さんも上妻さんも(そして、深澤さんも)、本当にこのツアーが楽しかったのだなと感じさせる時間だ。
そして、ポップなオリジナル曲を2曲続けた後で、一転、ヘビーなシンセ・サウンドに乗せた「淡海節」。ここから怒濤の終盤戦。「稲すり節」のロックなノリも、「斎太郎節」での二人のコンビネーションも、素晴らしいテンションだ。
アンコールは、さらに熱い・エモい。「鹿児島おはら節」では、深澤氏のソロがあるのだが、熱演の横で扇を振る上妻氏が、とても楽しそうだ。そして、ラストの「ふなまち唄 PART III」。前回、常陸大宮市での「ラッセーラー」が、いつも以上に熱いと感じたのだが、今回はそれ以上に高ぶる感情が込められていたようだ。これで、本日のステージ、そして、ツアー、全編終了。
民謡、ポップス、ロックにテクノ。ジャンルを縦横無尽に行き来する音楽を奏でる凄腕の3人。そのテクニックと、日本人の魂を奥底から揺さぶる響き(いや、国籍も民族も超越して、人々の魂を震わせるだろう)を、ライヴで堪能する。実に贅沢な体験だった(ビルボードライブ横浜の客席に空席があったのは、つくづく勿体無い)。執念のように、アルバム発売から2年越しでツアーを行ってくれた三人(&スタッフの皆さん)には大感謝である。新アルバム・新ツアーの発表を楽しみに待とう。