米国生活の豊かさとは大量消費の上に成り立っている、というのは、電気やガソリンの消費振りを見ているとつくづく実感するのですが、紙もまた、大量に消費されています。
公共の手洗いには、必ずペーパータオルが備え付けられています。外出のときにハンカチを持ち忘れても困りません。というか、ハンカチは手を拭くためというよりも、鼻をかんだり、汗をぬぐったりするもの、という認識なのかもしれません。コーヒーのチェーン店で出されるのは紙コップ。外で歩きながら飲む人が多いせいもあるのでしょう。ご丁寧に、コップを持つ手が熱くならないよう、ダンボール製の「腹巻」も装備されています。キッチンでは、ペーパータオルが必需品。布製のふきんも無くはないのですが、存在感は非常に薄い。クリーニング屋の針金製のハンガーには紙が巻かれ、太さを増して、しわや癖がつかないよう工夫されています。
たとえ再生紙にしても、紙を作るのには大量の水・電力を使うはず。それに、大抵の再生紙は古紙100%ではないはずです。とはいっても、使い捨てできる紙の便利さは、慣れてしまうと捨てがたいものがあります。困ったものです。
今週は、分厚い電話帳が、"GTE"と"US West"という二つの市内電話会社から立て続けに配られてきました。どちらも二月に一回ぐらいのペースで届けられます。NTTが市内電話網を寡占している日本と違い、サービス競争という意味があるのでしょうが、これも、本当に無駄だよなぁ、と思う今日この頃です。
- 健全な焼肉 (98.11.16)
焼肉屋(Korean B.B.Q.=barbecue)で、日本人スタッフだけの送別会を行った。今月末から、日本人達の次の任地への異動が始まるのだ。私は、一番最後まで見届けざるを得ない立場にあるので、見送る側である。今回訪れた焼肉屋があるBeavertonには韓国朝鮮系の人も日本人も多く住んでいる。ハングルと英語と日本語で表記されているメニューが客層を物語っている。焼肉に関しては、まぁ、アメリカ産の肉ということで、味の方はそれなりだったが、焼いた後に付けるタレが無いのが、日本人的には寂しい。韓国へは行ったことが無いので真相は分からないが、デュッセルドルフ(ドイツ)で焼肉屋に行ったときも、つけダレは無かったように記憶しているので、日本の焼き肉屋が日本人の好みに合わせて、ああいうスタイルになっているのかもしれない。海外で寿司を食べて「こんなのは日本に無いネタだ」と我々が思うのと同様のことを、異国で焼肉を食べる韓国人も感じるのだろうか。
それはさておき、この店の困ったところは、アルコールを置いていない、ということである。最近、オーナーが変わったらしいのだが、まだ、アルコール販売の免許が下りていないと言う。飲み物は、水か、熱いお茶か、コークかスプライトしか無いのだそうだ。食事後、夜のハイウェイを運転して帰らなければならないので、ありがたくもあるのだが、一杯ぐらは飲みたかった。焼肉にビールと言えば、「たらちね」と「母」ぐらい、切っても切れないものなのだから。500歩譲っても、冷たいウーロン茶ぐらいは欲しい。こういう状態で平気で営業して、さんざん注文を取った後から、「ビールが無い」と言うとは、ったくぅ。
- 分かち合えないもどかしさ (98.11.18)
以前訪れたモロッコ料理屋MARRAKECHに、再び行く機会があり、相変わらずの美味しい料理とエキゾチックなムードを楽しんできた。わたし的には、全くの"IN"だったのだが、同席した日本人出張者などが皆、手掴みで食べることや店の雰囲気に過剰反応して「良い話の種」どまりの感想しか持ってくれなかったのが残念である。もう1歩踏み込んできてくれよ、と叫びたいストレスがたまってしまった。まぁ、私自身も、味覚に関しては、保守的な方であり、絶対に受け付けられないタイプの食材もあるので、他人のことばかりは言えないのだが。
- The Siege (98.11.21)
別に観たくも何とも無い映画だったのだが、上映前に"Star Wars: Episode I - The Phantom Menace"の予告編が流れるとの噂を聞いて出かけてきた。が、お目当ての予告編は無し。まぁ、"Psycho"のリメイク版や"Star Trek"の新作の予告編を観る事ができたので良しとしようかで、期待していなかった本編の方だが、予想は当たっていた。
爆弾テロ事件を追うFBI捜査官の活躍を骨太に描いているところは良いのだが、「米国はいまだに冷戦状態にある。現在の敵は共産国家ではなく、米国内に暮らす移民、とくに中東からの移民であるイスラム教徒だ」と、暴走する軍部の恐ろしさを絡めたため、かなり後味の悪い印象になってしまっている。製作者としては、軍部の恐ろしさを描くのが目的で、FBIを人道主義側に立たせ最後に勝利させることで、バランスを取っているのだろう。しかし、肝心なところで説明不足の感が否めず、"右寄り"の映画という印象が残ってしまう。軍の責任者が白人のBruce Willis、それに対するのがマイノリティを代表する黒人と女性(Denzel WashingtonとAnnette Bening)という構図も、何とも単純で興ざめである。
それにしてもBruce Willis。精力的に数多くの映画に出演しているにもかかわらず、良い作品に恵まれない人だと思う。"Armageddon"なんて、感想書く気も起こらないほどの、ひどい映画だったし。
"IN"と言える出来事の無かった1週間でした。ま、こういう時もありますね。
そうこうしているうちに、あと2ヶ月ほどで米国を後にすることになります。他の日本人スタッフが帰り終わってからの引越しになるので、色々と面倒なことになりそうです。
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