IN/OUT1998/6/13


先日も書きましたが、こちらでは、家庭内の照明に蛍光灯を使うのはキッチンだけで、あとは全て「電球」です。電球の間接照明で部屋が暗くないか、と尋ねると、当地の人の答えは「全てが美しく見えるから、これでいいのだ」とのこと。電力消費量は多いし、発熱は凄いのに、その割には暗い、という、非効率的な照明だと思うのですが、電気代が安いせいか、省エネという観点から「明かり」を見直そう、なんてことは誰も考えないようです。

さらに、部屋に大きな明かりを一個、じゃなくて、部分照明を沢山使う、というのも特徴です。フロア・スタンド一台置いた上に、コーナー毎にテーブル・スタンドを立てて、さらに飾り棚なんかにも照明を付けてみたり。まあ、電球一個の明るさが限られているし、この方が、さらに部屋の雰囲気が良くなるということなのでしょう。

しかし、デスク用のスタンドを買いにいった時に見つけた「PC作業用照明セット」は、やり過ぎだと思いました。キーボードの左右に一つずつと、原稿立て用に一つ、計3つの豆電球スタンドの組み合わせ..... 。それくらい、一度に照らさんかい!


in最近のIN

MARRAKECHマラケッシュ  (98.6.8)
ダウンタウンにある、有名なモロッコ料理屋へ行ってくる。店内は、絨毯敷きで、クッションと円形の座卓が置いてあり、そこに腰をおろして食べるという、日本人には絨毯パブを思い出させる雰囲気。当地の人は苦しそうである。食べ方もモロッコ式で、手掴み。フォークやスプーンは出てこない。

味はなかなか良い。モロッコ料理は初めてなのだが、中近東とヨーロッパの料理がうまくミックスされたような感じである。最後に出てきたやたらと甘いミント・ティーと、ボリュームの多さをを除けば、非常に気に入った。

手掴みで食べるのは、ケニアのウガリ(かの地の主食)で体験済みだが、メイン・ディッシュのクスクスは、ウガリみたいな粘り気が無いので食べ難い。それでも、同席した人からは「身近に、手掴みで食べるのがこんなに上手い人がいたとは....」と、驚かれてしまう。


卒業、おめでとう / クリントンは豆粒  (98.6.13)
仕事の後に大学院に通っていた部下(と言っても、自分より年上の白人男性)が、MBAの学位を取り、その「ポートランド州立大学、学位授与式(COMMENCEMENT CEREMONY)」を見物してくる。クリントン大統領が出席するから、面白いだろうと、彼が入場券(卒業生一人につき、6枚までもらえるらしい)をくれたのだ。

会場のローズ・ガーデンは、NBAの試合やロック・コンサートが行われる、2万人以上収容できるアリーナである。席は、ステージのほぼ正面、と、角度は申し分無いのだが、最上階のため距離はかなり遠く、クリントン大統領は豆粒のようにしか見えない。結局は、場内の大型スクリーンの映像ばかり見てしまう。

国歌斉唱で、大声で一緒に歌い、その後は、やんやの喝采。大統領が登場すると、立ちあがって拍手喝采。大統領が話し始めると、またもや起立。大統領の「国威発揚的」発言に、一斉に歓声。....アメリカ人のナショナリズムを目の当たりにすると、ちょっととまどってしまう。

黒のガウンを着、房のついた角帽をかぶった卒業生たちは、式の間もご陽気だし、観客席にいる家族達も、大声で名前を呼んだり、手を振ったりしている。式の後も、ガウンを着たままダウンタウンを家族と歩いている卒業生を何人も見かけた。彼らが「大学を卒業し、学位を得た」ということに対して、強いプライドを持っていることが、そうした態度や、式での卒業生代表のスピーチからも伺える。自分の能力・達成したことに対しても、国家に対しても、圧倒的な自信を持っている姿は、羨ましいような、ちょっと怖いような感じであるが、とりあえず、面白い経験だった。


シュールな夜明け  (98.6.13)
クリントン見物のため、土曜日だというのに早起きしたのだが、空を見てびっくり。一面に色とりどりの熱気球が浮かんでいる。その数、約20。と思っている間にも、次々と気球の数は増えていき、40ぐらいがふわりふわり。音も無く、空を埋め尽くしていく。

ローズ・フェスティバルの一環として「バルーン・フェスティバル」が近くの公園で行われる、と聞いていたことを思い出すが、まさか、これほど盛大に行われるとは予想していなかった。離陸したてで、気球密度が特に高かったというのもあるだろう。

アパートに引っ越してきて一週間。ようやく、久しぶりの「日常感」にひたっているなぁ、と思い始めた矢先、寝ぼけ眼に飛び込んできた、あまりにも「非日常的な光景」には、軽いトリップ感すら覚えてしまう。



out最近のOut

やっぱり、D.I.Y.の柄じゃない  (98.6.13)
住み始めたアパートは広いし、奇麗なので、部屋そのものに対する不満はほとんど無い。キッチンの使い勝手が、いまひとつ、ではあるが、日本で暮していたアパートの台所を思い出せば、どっこいどっこい、というところだろう。しかし、唯一、気に入らないのは、シャワー。日本だと、大抵のシャワーは、ホースになっていて、フレキシブルにお湯を身体に当てることができるのだが、こちらでは、固定式のシャワーが一般的なようで、これでは、頭を洗うのは良いのだが、足下、ひざの裏なんかには、思うようにお湯が当たらず、歯がゆい思いをしてしまう。

が、そこは、D.I.Y.のお国柄。ホースとシャワーの先端がセットになっているものを売っている。すでにこちらの生活が長い先輩駐在員に、大型スーパーに連れていってもらい、ピンキリの品揃えの中から、中間ぐらいの物を選んで購入。ついでに、工具を借りてきて、さっそく取りつけてみる。

購入したセットには、色々なオプション部品が入っていて、元々付いているシャワーと二股にするか完全に置きかえるか、パイプにシャワー掛けを取りつけるか壁にフックを打ちこんじゃうか、等、色々な取り付け方ができるようになっており、試行錯誤を繰り返す。

が、不器用者が試行錯誤するときの常として、やればやるほど、不細工になっていく。しかも、ホースの部分が、妙な癖のついた硬い素材で、変な風に曲がってぶら下がってしまう(後から聞けば、高いセットだと、ちゃんと柔軟なホースが付いているということである....)。せっかくの高級感あふれるアパートが、一週間目にして、どんどん貧乏臭くなってしまうのは、困ったものである。



こちらの人が暗い部屋で平気なのは、元々が狩猟民族だから夜目が利くのだ、という説を聞いたことがあります。昔は、そんなのは眉唾ものだ。人種が違うからといって、そういう身体の構造まで違うか? と思っていたのですが、こちらに来て考えを改めました。サラダに生のままのカリフラワーやブロッコリーを入れて、ガシガシ齧っている姿を目の当たりにしちゃうと、「身体が違う」と納得してしまいます。
前のIn/Out

In/Out一覧

Top page of Top page of JK-ismへ戻る


メールはこちらへ