IN/OUT (2026.8.23)

ブルーノート東京夏の矢野顕子強化月間後半、メイン・イベントのブルーノート東京公演に突入。


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「Primitive War」26.8.19

ヒューマントラストシネマ渋谷ベトナム戦争の最中、ジャングルに恐竜が現れるというオーストラリア映画を観てきた。邦題は「プリミティヴ・ウォー 恐竜戦争」。先週の「The End of Oak Street」に続き、恐竜映画である。

1968年、ベトナムのジャングルに特命ミッションで赴いた米軍小隊が、恐竜の大群に遭遇。米軍と恐竜との戦争が始まるという、中学生男子マインド炸裂のストーリー。「オークストリート」では、”ワームホール”という無理矢理な理屈で現れた恐竜から一般人が逃げ惑っていたが、こちらは、ソ連の秘密研究絡みで現れた恐竜に米軍が銃を撃ちまくるという荒っぽさ。どちらの映画も、「ジュラシック・シリーズ」における遺伝子操作のような、リアルさを醸し出そうという工夫が全く無いのが、むしろ爽快。一方で、恐竜は鳥の直系の祖先だという新しい知見を、その造形に積極的に取り入れているところも共通している。

ただし、ハリウッド大作風味があった「オークストリート」と違い、本作は、勢いのあるB級テイストが貫かれている。恐竜の数も、種類の豊富さも、凶暴さも、飛び交う銃弾の量も、全て出し惜しみ無し。ところどころチープさが露呈する特撮も、この映画の場合、欠点には感じられない。

ということで、B級映画好きには大お勧め作だ。唯一の欠点は、上映時間が133分。中だるみと感じられるシーンは無く、最後まで勢いは持続するのだが、ポップコーン片手に楽しむタイプの映画としては、やや長いか。


「In the Grey」26.8.22

TOHOシネマズ日比谷Guy Ritchie監督の新作を観てきた。主演はHenry CavillとJake Gyllenhaal。邦題は「グレイ・ミッション」

この映画の悪役は、資産運用会社から10億ドルの借入をしながら、返済に応じず、のうのうと手広くビジネスを展開する大富豪。取立交渉に来た代理人を、自らが支配する島(警察を手の内におさめ、私兵も雇っている)で平然と殺す汚い奴だ。そこに乗り込むのが、Eiza Gonzálezが演じる債権回収(それも、巨額の債権が絡むヤバい事案)専門の女性弁護士。と言っても、彼女も”正義の人”という訳では無い。目的のためには手段を選ばず、モラルとインモラルの狭間、黒と白の間で行動する。つまり、"in the grey"。彼女が背景を説明するモノローグと同時に、タイトルがドドーンと表示されるところがカッコ良いのに、何で中途半端な邦題を付けちゃうかなぁ…

彼女が、”grey”な手段で回収作戦を実行するため、そして、自らの安全を担保するために集めたプロフェッショナル集団のリーダー格が、主演の2人。

映画の前半は債権回収の頭脳線、後半は人質奪回アクション大作戦。最初から最後まで、どこを切っても、Guy Ritchie印のスタイリッシュな映像と不敵なセリフが貫かれているのが痛快。主演2人以外のプロ集団の面々もキャラが立っているし、悪役の俗物ぶりや、主人公達への依頼主であるRosamund Pikeの小賢しさ、さらに、その上位に存在することが示唆される本当の巨悪など、人物描写も巧い。ハリウッド映画にありがちな家族愛みたいなノイズが無いのも良き。

98分間でスパっと完結する切れ味も見事。娯楽映画って、こういうので良いのだと納得させられる、実に爽快な作品だ。


「藝大式 美術の "ミカタ" ―この夏、藝大生になる―」 @ 東京藝術大学大学美術館26.8.22

東京藝術大学大学美術館東京藝術大学現役の講師陣が贈る12コマの「講義」を、美術館の中で「展覧会」として展開するという企画展を見に、東京藝術大学に行ってきた。

講義は、
1限目:絵画基礎演習:模写して分かる油絵のミカタ
2限目:日本近代美術史概論:名作で学ぼう 日本の絵画
3限目:西洋美術史概説 III:西洋のかわいい?絵
4限目:日本美術史特講 II:日本美術の大事な話
5限目:日本画研究 I:絵巻の模写はこうする!
6限目:彫刻保存特殊講義:藝大式、仏像のお医者さん
7限目:特別鑑賞演習:動物の目で作品を見てみよう
8限目:クリエイティヴ・アーカイヴ演習:見て、触れて、言葉にして
9限目:地域文化研究:タイムスリップ!画家たちがいた東京
10限目:近現代作家論:フジタを知っていますか?
11限目:リサーチプロジェクト演習:海を越えた学びをたどる
12限目:版画制作実習:なぜ? ゴッホのプレス機が藝大に
で構成され、それぞれ、展示の冒頭に担当講師の説明ビデオが流れる。

東京藝術大学大学美術館上野恩賜公園近辺の美術館の中では地味な東京藝術大学大学美術館だが、この展覧会は、東京藝術大学だけでなく、読売新聞社が主催に名を連ねていて、かなり気合いが入っている。公園内にも、多数の掲示板が。

東京藝術大学大学美術館

東京藝術大学大学美術館12もの講義で構成されているが、それぞれの展示はコンパクト。主役は、美術品ではなく、教育や研究など、”藝大で取り組んでいること自体”という感じだ。

日本画の模写の実技の緻密さや、ラグーザ玉(1861年-1939年)という女性画家の画風の変遷とその背景など、興味深い展示も多かったが、何よりも、教授も学生も、みんな、東京藝大に誇りを持っているということが伝わってくる展覧会だ。

なお、講師陣による無料音声ガイドが充実しているのは嬉しいのだが、地下の展示室だと、ドコモもauも電波が入らず、Wi-Fiも無く、使えない。この詰めの甘さも、大学っぽいか…。



矢野顕子トリオのブルーノート東京公演は来週も続きますが、最近頻発しているとんでもない集中豪雨、そして地震の影響は、勘弁していただきたいと強く願う、今日この頃です。