参議院選挙の投票日でした。選挙戦期間中、SNS上に溢れかえる、フィルターバブルやエコーチェンバーに毒され、大手マスコミの報道は全て「オールドメディア」として参照もしていない人達の妄言(意外なことに、旧Twitterに負けず劣らず、Threadsも酷かった…)に辟易していたので、それが終わるのは、ありがたい。
最近のIN
米国の田舎を舞台に、シリアルキラーによる連続殺人を描いたスリラー映画を観てきた。
冒頭で、この映画が6章仕立てであることが明示される。しかし、最初に流れるのは第3章。いきなり、ショットガンを持った男に追いかけられる女性の映像から始まる。凶悪な殺人鬼から逃げ惑う女性を描く、ありきたりのスリラーかと思いきや、時系列を組み替えて語られる物語は、予想外の展開を見せる。
時系列をシャッフルというと、何だか小難しそうな感じがするが、この映画の場合、叙述トリック的な仕掛けを成立させるための工夫で、特に頭が混乱することは無い。その仕掛けも、割に早いタイミングで種明かしされるのだが、そこから先もツイストの連続で、最後の意外性のあるオチまで、97分間、グイグイと物語は進んでいく。
全体を把握した上で、すぐにでも、もう一度観たくなる映画なのだが、上映館はあまり多くなく、(しかも、シネコンのスクリーンの大部分が「鬼滅の刃」に占拠されて)上映回数も少ないのが、難しいところだ。
35mmフィルムで撮影された、赤と青を基調にした濃い映像。バックに流れる Z Bergによる、フォーク調なのに、どこか病的で中毒性のある音楽。そして、映画全体のトーンは、Quentin TarantinoとDavid Lynchを掛け合わせたような雰囲気。何とも奇妙な魅力に溢れた映画だ。監督・脚本のJT Mollnerの名前は、覚えておいて損はなさそうだ。
スペイン・バルセロナ出身のシンガー&トランぺッター、Andrea Motisのライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。昨年、初めて観たミュージシャンだが、印象が良かったので、今回の来日公演も参戦することに。デビュー当時から共演しているというギタリストJosep Traverとのデュオ公演である。
一昨日、日本に着いてすぐに渋谷のギター屋「WALKiN'」で購入し、昨日から使い始めたというギターを抱えたJosep Traverをバックに、トランペットとタンバリンも駆使しながら歌うAndrea Motis。スペイン(カタルーニャ州)の歌だけでなく、「Stardust」のようなジャズ・スタンダード、「The House of the Rising Sun」のようなアメリカン・フォークロアなども披露。歌詞も、母国語であるスペイン語とカタルーニャ語、もちろん英語、さらにドイツ語(昨年の公演で一緒にステージに立った、夫のChristoph Mallingerはオーストリア出身)と様々。どれも、お洒落ギターと癖のないヴォーカルの素敵な組み合わせに、トランペットとタンバリンが良いアクセントになっていて、なんとも心地よい。
中でも、Bill Withersの「Ain't No Sunshine」が良かった。全体的に、クールな演奏が多かった中、ヴォーカルはもちろん、曲間のギター・ソロとトランペット・ソロも熱い。
アンコールは、昨年も演奏して驚かされた、ザ・シティ・ポップ、松原みきの「真夜中のドア」。完璧に日本語で歌いきるAndrea Motis。日本人のツボを良く分かっている。
ということで、今回も、クールさの中に絶妙な熱さをブレンドしたような彼女のライヴを堪能。
2400年前に、民主制は僭主独裁制に移行すると喝破したプラトンの正しさに、暗澹たる気持ちになる、今日この頃です |