他の月よりも短い2月に祝日が2日もある、という令和体制にも馴染んできたかなと思う、今日この頃です。
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ヴァイオリニスト木嶋真優が、ジャズ・ピアニスト大林武司とコラボレーションした2024年のアルバム「Dear」に基づいたライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。お二人の他に、パーカッショニストのKanがゲスト参加。
開演。まずは、木嶋真優と大林武司、二人による「Waltz for Debby」。クラシックに寄せたアレンジで、木嶋真優のテクニックがしっかり堪能出来る。一方で、彼女のヴァイオリンを際立たせる職人技に徹しているようで、ここ一番のソロではしっかりアピールもする大林武司のピアノが素晴らしい。
5曲目から、Kanのパーカッションが加わる。Piazzollaの「Escualo(鮫)」、Maurice Ravel の「亡き王女のためのパヴァーヌ」など。どの演奏も、巧みで美しいのだが、個人的には、あまり刺さってこないかな……
が、ド定番曲「My Favorite Things」の演奏が凄かった。パーカッションを入れて、土着っぽさを出した攻めたアレンジ。大林武司とKanの迫力有るインプロヴィゼイションにカットインしてくる木嶋真優のヴァイオリンも弾けている。こういう化学反応を期待していたのだ。大興奮である。
その流れのまま、本編ラスト、小川晋平の「Etudade」。そして、アンコールは、Pat Metheyの「James」。ギタリストの手による名曲だが、ヴァイオリニストにもアピールするのか、寺井尚子のライヴでも聴いたことがある。木嶋真優ヴァージョンは、ジャズがベースの寺井尚子とは別アプローチ、クラシック出自らしい華麗な演奏。これで全編終了。
と言う訳で、やはり、上手い人は上手いなぁと感心しきりのライヴだった。
"SUPER ☆ STAR" Rajinikanthの最新作を観てきた。本国では2023年に公開され、その年のタミル語映画のNo.1ヒットとなった作品。日本でRajniの主演作が封切られるのは3年ぶりだ。久々の新作の日本上映ということで、新宿ピカデリーは満員の入りである。
Rajniが演じるのは、退職した元刑務官。孫を甘やかす平和な日々を過ごしていたのだが、正義感の強い警察官である息子が行方不明になる。その裏には、凶悪な密輸組織が存在していたのだ。かくして、Rajniは犯罪者達に壮絶な戦いを挑むというお話。
だが、その展開は、いささか辛い。エグすぎるヴァイオレンス描写。警察による拷問を肯定的に描く時代錯誤感。無理矢理なドンデン返しの続くストーリー。映像と編集のテンポは現代風にアップデートされているが、中身は、古いインド映画の悪いところが詰まっているという感じなのだ。Rajniの役柄も、ダークヒーローと呼ぶにはダーク過ぎて、感情移入しづらい
公開当時、73歳だったRajniに対し、監督のNelson Dilipkumarは39歳。169本目の出演作で、若い才能とタッグを組んで、まだまだアクションも行けるぜ、と無理している感じが否めない。彼には、「Baashha(1995年。邦題「バーシャ! 踊る夕陽のビッグボス」)」のような、ギャングを描きながらも、軽妙なスタイルの作品を期待しているのだが…。あまりにも大物になりすぎたせいか、最近の作品はシリアス度合いが増しているのが、個人的には残念。
と言う訳で、期待が大きかった分、苦言も多くなってしまうのだが、それでも、映画の冒頭、お馴染みの”SUPER STAR”のロゴがスクリーンに登場するだけで胸熱。本国では大ヒットし、続編の製作も決まったらしい。日本でも、今後もRajniの新作が観られることを期待するのだ。
「九龍城寨之圍城」、4回目の鑑賞。
日本での(一部ではあるが、熱狂的な)人気を受け、舞台挨拶が決定したのだ。チケット争奪戦は、転売ヤーの跋扈もあって熾烈を極め、上映館 バルト9のチケット予約システム KINEZOが硬直…。しかし、50分粘って取得成功。これは、相当嬉しい。
舞台挨拶は、2回。13時10分と16時25分の上映前に行われたのだが、私がチケットを取得できたのは16時25分の回。
登壇したメンバーは、左から
- 胡子彤(Tony Wu)=十二少(サップイー)役
- 鄭保瑞(Soi Cheang)監督
- 古天樂(Louis Koo)=龍捲風(ロン・ギュンフォン)役
- 林峯(Raymond Lam)=陳洛軍(チャン・ロッグワン)役
- 張文傑(German Cheung)四仔(セイジャイ)役
信一(ソンヤッ)役の劉俊謙(Terrance Lau)、大ボス役の洪金宝(Sammo Hung)、そして、硬直!の王九(ウォンガウ)役の伍允龍(Philip Ng)らの不在は残念だが、十分に豪華なメンバーだ。
それぞれに、自分の役柄や見所などを語ってもらうのだが、話題が、SNSに溢れるファンアートになった時、監督が「BL風が多いのに驚いた」と発言したことから、何故か、BL話で盛り上がってしまう5人(というか、通訳のおじさんが一番悪ノリしていたような気もする)。ついには、監督自ら、公式に発表されている続編2作品(次回作が前日譚、3作目が後日譚)の他に、”BL編”も制作しようかと言い出す始末。まぁ、5人がステージ上でワチャワチャしている様子を見るだけで、眼福である。
インタビューの後は、30秒間の撮影タイム。ポーズを決めたり、この日のために、スタッフにも内緒で5人がお揃いで作ったシャツを見せたりと、サービス満点。最後に、出演者と観客で、この映画の名台詞(?)「ぶっ殺すぞ、この野郎」を叫んで、舞台挨拶終了。
そして、4回目でも全く飽きない本編上映。楽しかった!
春めいていた先週から一転、ここに来て、急に寒さが増した一週間でした。が、それでも春は間近ですね。 |