訪日観光客数が順調に回復しているようで、街中で見かける外国人がすっかり増えています。私が住んでいるところでは、オーバー・ツーリズムの問題は無いし、排他的なことを言うのも気が引けるのですが、普段使いしているスーパーマーケットや安食堂に、明らかにテンションが違う外国人観光客の集団がいると、ちょっと面倒だなと思ったりもする今日この頃です。
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「機動戦士ガンダム」の新TVシリーズの一部を劇場用に再構築し、TV放映開始に先駆けて公開されている映画を観てきた。タイトルの読み方は「きどうせんしガンダム ジークアクス ビギニング」。ガンダム・シリーズを手掛けてきたサンライズと、庵野秀明率いるスタジオカラーが共同制作している(庵野秀明は脚本の一部を担当。監督は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の鶴巻和哉)。
私は、「ファーストガンダム」にはハマったが、「Z」は途中離脱、「ZZ」以降はほとんど観ていない。今更、新TVシリーズと聞いても興味は無かったのだが、やはり、スタジオカラーが絡んでいるとなると、気になるのだ。
映画の前半は、庵野秀明っぽさ全開。「シン・機動戦士ガンダム」と言えそうな展開だ。「ファースト」の第一話「ガンダム大地に立つ!!」を、そのままリメイクしたような始まりだが、途中から、これが、ジオン公国が地球連邦に勝利する架空戦記的な物語だと気づく。シャアが語るメタ要素たっぷりの台詞が、さすが庵野さん、分かってるなぁと、旧いファンは嬉しくなる仕掛け。
そして、後半。絵柄がすっかり変わり、いかにも最近のアニメ、という感じの物語にシフトする。これはこれで、スタジオカラーとサンライズ、それぞれの特長が上手く融合していて見応えがあるし、テンポも良い。ただ、正直、このパートだけだったら、私にはついていくのが辛かったかもしれない。前半があることで、旧くて頭の硬いオールド・ファンも、スムースに新しいアニメ世界に入っていける。策士・庵野秀明の術中にはまった気もするが、悪くない。
ということで、予想以上に面白く鑑賞することが出来た。新TVシリーズが始まったら、観ちゃうんだろうな。
LPレコードの時代、ロックのアルバム・ジャケットを芸術にまで押し上げたデザイン集団 Hipgnosis をテーマにしたドキュメンタリーを観てきた。邦題は「ヒプノシス レコードジャケットの美学」。
Pink Floydの"Atom Heart Mother", "Dark Side of the Moon", "Wish You Were Here", "Animals"、
Led Zeppelinの"Houses of the Holy", "In Through the Out Door"、
YESの"Going for the One", "Tormato"、
The Alan Parsons Projectの"Eye in the Sky"等々、
1970年代~80年代、私が好きなアルバムの多くは、彼らのデザインだ。
映画は、Hipgnosisの創立メンバーの一人、Aubrey Powellへのインタビューを中心に、もう一人の創立メンバー Storm、Pink FloydのDavid Gilmour、Roger Waters、Nick Mason、Led ZeppelinのRobert Plant、Jimmy Page、さらに、Paul McCartney、Peter Gabriel等々、超大物ミュージシャンがたっぷり語ってくれる。そして、YESのアートワークでお馴染みRoger Deanも登場。Pink Floydの"Animals"のジャケット撮影の様子など、非常に興味深い映像が盛り沢山。当時の洋楽好きには堪らない。
しかし、1980年代になると、ポップなMTVの隆盛の一方、豪勢なレコードジャケットは時代遅れになる。天才肌で傲慢なStormと実務的なAubrey Powell。最強のコンビも時代の流れには抗えない。そして、ラストはほろ苦い人間ドラマ。そこに流れるPink Floydのあの名曲!これは沁みる。
単なる業界裏話的なドキュメンタリーかと思っていたが、予想外の感動作だった。
不安定な世界情勢が続いている昨今だからこそ、古墳時代から近代・現代まで、幅広いテーマのHAPPYな日本美術を通して、年末年始に心温まるひとときを過ごしていただこう、という展覧会を観に、山種美術館に行ってきた。
館内には、「松竹梅」、「一富士二鷹三茄子」、「蓬莱山と富士山」、「鶴」、「七福神」等々、おめでたいテーマの日本画が並ぶ。
また、キー・ヴィジュアルに使われているのは、川端龍子の「百子図 」。戦後、インドのネール首相から贈られた子象が、子供達と触れ合う姿を描いたもの。1949年の作品なので、この展覧会の中では、かなり新しい作品だ。
原則、写真撮影禁止の展覧会だったが、唯一、撮影許可されているのが「埴輪 猪を抱える猟師」。日本画が並ぶなか、唐突感のある埴輪の展示だが、すっとぼけた表情と、小脇に抱えた仔イノシシが可愛く、確かにHappyな美術だ。
日本画専門で、どちらかと言えば地味な印象の山種美術館だが、無料Wi-Fiや無料音声ガイドも充実しているし、工夫を凝らしたテーマの特別展(昨年観た「犬派?猫派?」も好企画だった)も楽しく、館内カフェも気が利いている。良い美術館だ。
自分も、海外旅行中に、観光客用ではない地元のスーパーマーケットや定食屋に行って、「イキって」いたことは有る訳で…。あれも、地元の方々は冷ややかに見ていたのだろうな……。 |