IN/OUT (2024.11.10) |
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先週は、毎年恒例、東京海洋大学の大学祭を覗いてきました。飲酒による学生の死亡事故やコロナ禍などを経て、模擬店が提供する飲食物に以前ほどのインパクトが無くなってきたような気もしますが、鯨汁、蟹汁、海亀汁、焼きグソクムシなど、学祭とは思えないメニューは、まだまだ健在。若者よりも近隣の家族連れが目立つ、地域密着系ほのぼの学祭の雰囲気を満喫。 最近のIN「国府弘子スペシャルトリオ+1 ~秋の平均年齢若返り大作戦~」 @ ラゾーナ川崎プラザソル (24.11.9)川崎市で、2015年から毎年行われている、街を挙げての音楽イベント「かわさきジャズ」の一環で開催された国府弘子の公演を観に、ラゾーナ川崎プラザソルに行ってきた。 会場のラゾーナ川崎プラザソルは、ショッピングモールの5Fにある、12.4m×14.5mのスペース。そこに、可動式のひな壇を設置して、キャパ200席のホールとして使用する。つまり、いわゆるステージは無く、前列の客と演者は同じフロアだ。ホールというより、町の公民館という風情。ラゾーナ川崎は何度か訪れた事があるが、こんなスペースがあるとは知らなかった。 演奏は、結成26年を迎えた「国府弘子スペシャルトリオ」 この公演は2部構成で、第1部は国府弘子の作品。まずは、「スターランド」から演奏開始。演奏後、この日「川崎市アゼリア輝賞」を受賞した渡邉瑠菜に、国府弘子からお祝いの記念品授与。 続いて、国府弘子の1987年のデビューアルバムから「レディ・ムーンライト」、さらに、2ndアルバムから「リッスン・トゥ・マイ・ハートビート」、3rdアルバムから「スリングショット」。いずれも、渡邉瑠菜が生まれる前の作品だが、手練れのトリオに見事に絡むソプラノ・サックス。そして、2020年のアルバム収録曲「コズミック・ランデヴー」、「アディオス・ノニーノ」で第1部終了。20分間の休憩。 第2部。まずは、藤井風の「帰ろう」を、渡邉瑠菜のヴォーカルで。彼女は、サックスだけで無く、ヴォーカルもいけるのだ。普通に上手い。そして、自身が作詞・作曲した「帰り道」も歌唱。間奏では、岩瀬立飛がピアノに回り、国府弘子は鍵盤ハーモニカでエモーショナルにキメるという豪華なバック。皆、器用だ。 そして、渡邉瑠菜はアルト・サックスに持ち替え、自身が作曲した「Angry Moon」。やはり、彼女は、ヴォーカルよりもサックスの方が光ると思う。アップテンポなナンバーで、4人それぞれ、たっぷりテクニックを見せつける。 ここからは、観客の年齢層を考慮してか、懐かしのクロス・オーバー集。Dave Grusinの「Mountain Dance」、Joe Sampleの「Melodies of Love」、EW&Fの「September」、そして、本編ラストは、Average White Bandの「Pick Up The Pieces」。やはり、サックス奏者がゲスト・プレイヤーなら、この曲だ。ずらっと重鎮のサックス奏者が並ぶBNTオールスター・ジャズ・オーケストラの時と違い、1人、気持ちよさそうにアルト・サックスを吹き倒す渡邉瑠菜。技量も度胸も、素晴らしい21歳である。 アンコールで、渡辺貞夫の「サンバ・ド・マルコス」を演奏して全編終了。国府弘子の、和の叙情性とドラマチックさを兼ね備えたようなピアノと、息の合ったリズム隊、そして、才気煥発の若手サックス奏者。気持ちの良いライヴだった。 「挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展『はにわ』」 @ 東京国立博物館 平成館 (24.11.9)先日訪れた東京国立近代美術館での「ハニワと土偶の近代」に続いて、今回は、現在のハニワ・ブームの震源地とも言える「特別展 はにわ」を観に、東京国立博物館に行ってきた。「ハニワと土偶の近代」は、ハニワが明治以降の文化・芸術に与えた影響についての展覧会で、ハニワそのものはほとんど展示されていない。が、今回は、ハニワそのものの展覧会だ。 気持ち良く晴れた土曜日。入場まで10分ほど行列。まずは、「埴輪 踊る人々」が出迎えてくれる。最近の研究では、踊っているのでは無く、ウマの手綱を曳いているという説も有力らしいが、この緊張感の無い表情は、踊っていると解釈した方が似合う気がする。 埴輪以外の、古墳から見つかった副葬品の展示も多数。さらに、家形や船形など、凝った形状の埴輪、焼き物では無く石で出来た埴輪など、興味深い品々が並ぶ。 展覧会の目玉は、東京国立博物館が所蔵する国宝「埴輪 挂甲の武人」と同時期に、同じ工房で製作されたらしい4体、計5体の「挂甲の武人」が、群馬(相川考古館)、奈良(天理大学附属天理参考館)、千葉(国立歴史民俗博物館)、シアトル(シアトル美術館)から集められた展示室だ。時代と空間を超えて、Assemble! というのは、Avengers風に熱い。 このうち、東京国立博物館が所蔵する「 挂甲の武人」を2017年から2019年にかけて解体修理した際、白、赤、灰の3色で全体が塗り分けられていたことが分かり、今回、彩色復元を実施。製作当時の姿も展示されている。素朴な土色じゃない埴輪、なんだか斬新である。 「踊る人」と名付けられた埴輪には、さらにとぼけた表情の物も。これは、馬子ではなく、確実に踊っているな。 動物埴輪もたっぷり。馬だけでなく、猪、鶏、犬、魚、猿など、様々。どれも、素朴で可愛い。そして、魚を咥えた鵜や、翼を拡げた鳥といった、躍動感ある、精密な描写の物も多い。 とにかく、質・量ともに、素晴らしいし、ほとんどが撮影可能というのも楽しい。声優の石田彰と森川智之によるオーディオガイドも、良く出来ていた(が、やはりここは、田中真弓=はに丸の出演が欲しかった)。混雑も納得の、超お勧めの展覧会だ。 「Hello Kitty展 ―わたしが変わるとキティも変わる―」 @ 東京国立博物館 表慶館 (24.11.9)「挂甲の武人」の国宝指定と同じく、50周年を迎えたのが、「ハローキティ」。東京国立博物館自ら「史上最大量のグッズ展示」と豪語する展覧会を観に、平成館のハニワのついでに、表慶館にも足を伸ばしてみた。 ネオ・バロック様式の堂々たる建物のバルコニーから顔を出すキティちゃん。入り口の2頭のライオンを従え、ネコ科の王座に君臨するかのような迫力である。ここで、入場まで1時間の大行列に耐える。 ようやく入館。1909年に開館した重要文化財の建物に、ポップなハローキティのデコレーション。これが、よく似合っている。 最初期のぬいぐるみから、展示室へ。展示には、それぞれ、サンリオがキティちゃんに託したメッセージなどが記されていて、これが中々読み応えがある。 展示の多くを占めるハローキティ・グッズには、あまり思い入れは無いのだが、どれもこれも懐かしい。テレビや電話、ドライヤーなどの家電製品とのコラボなど、昔から、幅広い分野で活躍するキティ先輩である。 ファッション・ブランド INGEBORGとのコラボなど、ファッション分野でもご活躍。 他業種とのコラボレーションにおける節操の無さでは、ハローキティに負けていないエヴァンゲリオンとも、当然、コラボ。 他にも、とにかく大量のハローキティ・グッズに溢れ、撮影スポットも多数。大行列が出来るのも納得の展覧会である。基本、ハローキティに特化した展示だが、最後にだけ、他のサンリオキャラクターも登場。 ここから先がグッズ売り場なのだが、そこに入るまで、さらに1時間の行列(転売ヤー対策もあり、1人30品、10分以内に買い物という制約が有り、10分毎に客を入れ替えている)。並んではみたものの、どうしたものか…と思っていたのだが、「ここまで来て、グッズを買わずに帰る選択肢など無い!」と高らかに宣言して最後尾に並んだ女子を見て、私も覚悟を決める。 戦利品を手に、会場を出たときには、もう暗くなっていて、涼しいを通り越し、寒いと感じるほどだった。 ということで、東京国立博物館でたっぷり過ごした土曜日。前半は真っ茶色のハニワ。後半は、ピンクのキティちゃん。楽しかったが、かなり疲れた…… ”Red One” (24.11.10)サンタクロースが誘拐され、24時間以内に救出しなければクリスマスが中止になる!という、ホリデー・シーズンらしい映画を観てきた。タイトルのRed Oneは、サンタクロースの事。
サンタクロースが実在している、それも、一晩で世界中の子供達にリアルにプレゼントを配るため、日々、筋トレを欠かさないというマッチョなサンタ。そして、彼のような神話的存在を守る国際秘密組織があるのだ。
見事なまでのお子様映画である。宗教的多様性の観点から、公式の場で言われることが減った”メリー・クリスマス”という言葉、全開というのも、ある意味、突き抜けている(Trump次期大統領は、この言葉が好きなんだよなぁ…)。なので、ストーリーに文句をつけるのは無粋というものだろう。
ただし、サンタの護衛役を演じるのが Dwayne Johnson、彼と共にサンタ救出に奔走するのが Chris Evans、神話的存在を守る組織のリーダーが Lucy Liu、そして、マッチョなサンタがJ.K. Simmonなのだ。無駄に豪華な出演者達が、お子様映画で奮闘している姿を愛でるという作品だ(小さなお子様がいる宗教的に寛容な家族連れには、普通にお勧めできるかな)。
かの国の選挙、新しい風景が見られるのかと期待していたのですが…。民主主義はポピュリズムに飲み込まれる宿命なのですかね… |