IN/OUT (2024.10.27) |
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写真撮影可の美術展で、デジカメの赤いAF補助光を作品に照射して気づいていない(もしくは気にしていない)人に、モヤモヤする今日この頃です。 最近のIN"The Great Escaper" (24.10.26)Michael Caine(御年 91歳)の引退作品を観てきた。邦題は「2度目のはなればなれ」 イギリスの老人ホームで暮らす夫婦。ある日、夫は、D-day(1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦)の70周年記念式典に出席するため、施設の誰にも告げず、1人でフランスのノルマンディーへ向かう(団体ツアーの申し込みに出遅れてしまったのだ)。妻は、その事は察していたが、敢えて施設職員には言わなかったため、施設側は警察に相談。結果、行方不明扱いにされ、SNS上でも情報提供が呼びかけられたことをきっかけに、彼の行動は世間の注目を集めてしまう… というお話。 とはいえ、その道中が過剰にドラマチックになることは無い。それでも、ちょっとした出会いやエピソードが、どれも、しみじみと味わい深い。そして、そうした描写が積み重なる内、彼が70年ぶりに激戦地を再訪する理由が明らかになっていく。 飄々と、枯れた(それでも、ジョークと悪戯心は健在な)英国紳士を演じるMichael Caineは、どこまでが素で、どこからが演技なのか分からないほどのハマりぶりだ。 だが、それ以上に素晴らしいのは、Glenda Jacksonが演じる、残された妻の人物造形だ。夫が一人で出掛けたことに対し、怒るわけでも取り乱すわけでも無い。それは、70年間、迷うことなく夫を愛し続けてきた信頼に裏打ちされている。が、決して、単なる貞淑な妻というステレオ・タイプには収まらない。すっかり身体は衰え、余命幾ばくもない状態でも、口を開けば辛辣な皮肉が溢れ出す。これが、痛快。一方で、周囲の人には万遍なく暖かい眼差しを向ける。この魅力的なおばあちゃんを見ているだけで、こちらも幸せな気持ちになってくる。 上映時間96分。過大な感動を押しつけることのない小品だが、英国らしさに溢れた良心作だ。 「ハニワと土偶の近代」@ 東京国立近代美術館 (24.10.26)ハニワや土偶などの出土遺物が、美術、写真、映画、テレビ番組、さらには思想まで、幅広い領域でブームを巻き起こしてきた経緯を、明治時代から現代にかけて追い、その背景を探るという展覧会を観に、東京国立近代美術館に行ってきた。 今年は、ハニワが大ブーム。東京国立博物館では、現在、「挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展『はにわ』」が開催中で、大人気らしい。私も、両方観覧するつもり満々で、どちらを先に観るか迷ったのだが、ハニワそのものの展覧会の前に、ハニワが文化・芸術に与えた影響についての展覧会へ行くことに。 ハニワや土偶は、仏教伝来以前の日本古来の芸術品として、明治以降、万世一系の天皇制の正当性を補強するために持ち上げられ、逆に戦後は、神話では無いリアルな日本史という観点で取り上げられてきた経緯を、時系列に丹念に紹介していく。 そして、 イサム・ノグチや岡本太郎らの造形や絵画に大きな影響を与えてきた事を、豊富な展示物で解読。さらには、「大魔神」や「おーい!はに丸」などサブカルチャー方面で大衆的人気を博していくところも、「ハニワと土偶とサブカルチャー年表」というコーナーを用意するなどして示していく。とても巧みに構成された展覧会だと思う。個人的には、少々、強引にハニワに結びつけていると感じる展示もあったが、ハニワが日本人の美意識に深く染み込んでいることに、改めて思い至る。 何よりも特筆すべきは、オーディオ・ガイドだ。ナレーションは「はに丸」の声でおなじみ、田中真弓! もちろん、はに丸(あるいは、ルフィ)ではなく、素の声での語りだが、非常に聞き取りやすく、内容も充実。そして、一箇所、はに丸が特別出演するサービスもあり。この展覧会を鑑賞するには、必ず利用すべきガイドだと思う。 あと、ショップに、レキシのアルバム「レキシチ」(収録曲に「縄文ロンリーナイト」有り)が置いてあるところも侮れないな… まぁ、自分も、不用意にスマホのフラッシュライトを点灯させてしまった事が無いわけじゃないので、あまりカリカリしては良くないとは思います。が、少なくとも、今どきのデジカメの性能なら、AF補助光は無し、もしくはデフォルトでオフ、で良いんじゃないかしらん? |