IN/OUT (2024.9.8) |
|
矢野顕子強化月間、今週は江戸川区。 最近のIN”Alien: Romulus” (24.9.7)”Alien”シリーズの最新作を観てきた。Ridley Scott御大が製作。監督はFede Alvarez。シリーズの中では、”Alien(1979年「エイリアン」)”と”Aliens(1986年「エイリアン2」)”の間の時期に起きた出来事という設定。タイトルの”Romulus”は、舞台となる宇宙船の名前だ(元は、神話に出てくる、古代ローマの初代王)。 正直、最初の”Alien”が唯一最高であり、2作目”Aliens”は、映画としてはすこぶる面白いが、”Alien”とは別物、というのが私の認識だ。その後の大河ドラマ的に風呂敷を広げたシリーズ作は、それぞれ面白くはあるが、やはり初代には敵わないと思う。そのため、今回の新作も、不安しか無かったのだが、いざ観てみると、見事に正統派の続編になっていて、感心した。 基本的な筋立ては、オリジナルに近い。閉鎖された空間=宇宙船で、エイリアンに襲わる恐怖と、果たして逃げ切れるのかというサスペンスが物語を牽引する。1作目では、観客側にエイリアンに対する知識が無く、先が読めない恐怖が際立っていたが、今回は、エイリアンの生態についての基礎知識を観客が持っている前提で、様々なシーンに、これまでのシリーズへのオマージュを盛り込んでいるのが上手い。ラストは、猫とアンドロイドの違いはあれど、1作目とほぼ同じと言えるだろう。このシリーズを徹底的に研究したであろう製作陣の工夫が、見事に結実していると思う。一方で、シンプルに、ハラハラドキドキ物の映画として、中だるみ無しで疾走するのも好印象。 それにしても、このシリーズで描かれている世界で、政府や政治体制はどうなっているのだろうか? 私企業であるWeyland-Yutani Corporationが全てを牛耳っているのか? いずれにしても、フランチャイズ映画の再始動という点では、見事な作品だ(そもそも、再始動する意義というのが、映画会社の利潤追求以外にあるのかは疑問だが)。シリーズを見ていれば見ているだけ、楽しみを発見できると思うし、過去作を知らずに本作から入っても、十分面白いと思う。 「空間と作品」@ アーティゾン美術館 (24.9.8)石橋財団コレクションから選んだ144点の作品を、「空間」という切り口で紹介する展覧会を観に、アーティゾン美術館に行ってきた。 紹介文を読んでも、「空間」って何だ? と思ったのだが、実際の展示が、中々面白かった。 6F~4Fの3フロアを使った展示。まずは、6F。作品を置く場所に工夫を凝らしている。例えば、円山応挙の襖絵は、わざわざ畳敷きの広間を作り、鑑賞者はそこに上がって鑑賞することが可能。 複数の作品をインテリアと組み合わせ、美術品が家の中に置かれていたら、という状況の再現もいくつか。 5Fのフロアには、一見、普通に絵が並んでいるが、ここは、絵の「持ち主」に焦点を当てた展示になっている。絵に付けられた解説文には、高名な画商や芸術家・有名人の名前が付されている。例えば、このGeorgia O'Keeffeの作品は、Microsoft創業メンバーの1人Paul Allenの所有だったそうだ(大資産家だった彼は、芸術を支援する財団を立ち上げ、個人のコレクションの貸出しも積極的に行っていた)。 「持ち主」という切り口では、もっと捻った展示も。 4Fのフロアも、一見、普通に絵が並んでいるが、こちらは、「額縁・額装」に焦点を当てた展示。(ちゃんとした絵画の説明は、オーディオガイドに任せ)ただただ額縁について説明する解説文が楽しい。 例えば、青木繁の作品には「手持ちのお金はないけれど、立派な額を依頼する青木」。 野見山暁治の「明日の場所」に付けられた解説文によれば、額を付けていない理由を訊かれた野見山暁治、 目玉となるような超名品がなくても、展示の工夫でとても楽しい展覧会になっていて、好印象だった。 一瞬、最高気温が30度を切った日はあったけど、またもや暑さは粘り腰で続いています。さすがに、朝晩は猛暑という感じでは無くなってきたし、日が暮れるのも早くなってきたけど、秋の気配を感じるのはもう少し先かなぁと思う、今日この頃です。 |