IN/OUT (2024.4.7)

日比谷シャンテ暖冬だった割には3月に寒い日が続いたせいか、桜の開花は遅れ気味。ようやく、満開になったけど、週末の天気はあまりパッとせず。

週末、日比谷公園を少し歩きましたが、曇天だと、満開の桜もちょっと印象が薄く、写真映えもしない。ソメイヨシノの花って、私の記憶ではもっと赤みが強かったのですが、年々、白っぽくなっていると思うのは、気のせいかなぁ?

日比谷公園日比谷公園近く、シャンテの前では、ゴジラもお花見。


in最近のIN

「ミニチュア愛(らぶ)!」@紅ミュージアム24.4.6

紅ミュージアム雛道具研究家の川内由美子氏が長年にわたって蒐集したミニチュア雛道具などの「川内コレクション」から精選した逸品を紹介するという展覧会を観に、紅ミュージアムに行ってきた。2月に三井家岩崎家のお雛さまの展示を観て以来、ちょっと興味ありの分野なのだ。

会場の紅ミュージアムは、南青山の伊勢半本店に併設された資料館。何度か前を通ったことがあるが、入るのは初めてだ。ミュージアムというより、資料室というぐらいの規模感だが、1階は、1825年の伊勢半創業時から続く紅づくりの技と、日本の化粧の歴史についての常設展。そして、地下が特設展の会場になっている。

江戸の名店「七澤屋」の小振りな雛道具から昭和レトロな趣にあふれた日用品のミニチュアまで(敢えて、雛人形の展示は無し)、眼福の小世界が広がるという惹句に、期待が高まる。七澤屋は、江戸時代後期、上野の池之端にあった、別名「贅沢屋」とも呼ばれていた名店で、当時の金持ちにとってステータスシンボルともなっていたということだ。

紅ミュージアム展示品を目の当たりにして、度肝を抜かれた。予想を遥かに超える小ささ。展示ボックスに付いている目盛りを見れば分かるとおり、そのサイズは1~2cm。細かい物は、数ミリ単位の世界だ。

紅ミュージアムそのサイズなのに、書物のミニチュアは実際に紙が綴じられ、その頁には文字もちゃんと書かれている。

紅ミュージアム1mm程度の碁石の仕上げも、しっかり文字が刻印された将棋の駒も、マニアック過ぎて、恐ろしさすら感じる精緻さだ。

紅ミュージアム楽器の細かい仕上げにも手抜き無し。

紅ミュージアム食器の細部も拘りまくり。この小ささでは、おままごと遊びには使えないな。

紅ミュージアムギヤマンの細工も見事。

紅ミュージアム火鉢の金網も、ちゃんと金網になっている。

職人の技という領域を超え、ある種の狂気すら感じる高精度のミニチュアだが、江戸時代でも、ちゃんと商業的に流通させる工夫がされていたことを説明する解説文も分かりやすく、興味深い。

紅ミュージアム時代が下り、大正~昭和初期のミニチュアも展示されている。

紅ミュージアムこれらも、マニアックなミニチュア追求の奥深さに驚嘆する物ばかり。

紅ミュージアム展示の最後には、川内氏が幼少期に貰ったというミニチュア家電などが飾られている。これらこそ、私がイメージしていたミニチュアのサイズなのだが、それまでの展示を観た後だと、大きく感じてしまうな。

ということで、会場の規模は小さいが、展示品全て凝視せざるを得ない、密度の高い展覧会だった。


"The First Omen"24.4.6

1976年のオカルト映画”Omen”の前日譚となる映画を観てきた。邦題は、なぜか語順が変わって「オーメン ザ・ファースト」。

オリジナル作は、1973年の”The Exorcist”の大ヒットを受けて量産された玉石混淆オカルト映画群の中では、かなりの秀作だった。「666は獣の数字」とか、「避雷針で串刺し」とか、「ガラス板で首チョンパ」など、中学生男子に刺さりまくるキーワードがてんこ盛り。まぁ、今、見返してみると、やはり、William Friedkinの狂気が暴走する”The Exorcist”の足下にも及ばないという気はする。それでも、2024年になって新たにシリーズ作が製作・公開されるということは、本国でも根強い人気があるのだろう。果たして…

残念ながら、映画としては、感心できない出来だと思う。これが長編映画デビューとなるArkasha Stevenson監督の演出は、カメラワークもカット割りのリズムも、全く私の趣味には合わない。観客の怖がらせ方も、後ろからワッ! と脅かすような、下品のパターンばかり。正直、相当酷い。

ただ、映画の冒頭の、いかにも”Omen”らしい仕掛けと思わせて、ちょっと外したシーンに、オリジナル作へのリスペクトが垣間見えるのが微笑ましい。そして、この映画を憎めなくなるのは、そのラスト。本当に、第一作の”Omen”にそのまま繋がるように作り込んだ律儀さに、好感が持てる。もっとも、それと同時に、この作品の評判が良ければ、新たなシリーズを立ち上げられるような伏線もキッチリ仕込むしたたかさも見えるのだが。

主役のNell Tiger Freeは、文字通り、体当たりの熱演。ただ、その熱演のせいか、割に早い段階でオチが読めてしまう。あと、Bill Nighyは、誰もが名優と認めるベテランなのに、変な映画に変な役で出演しがちだな…


"Following"24.4.6

"Oppenheimer"の公開に合わせて、1999年のChristopher Nolanのデビュー作(脚本・撮影・監督・共同編集・共同製作を手掛けている)が「25周年 / HDレストア版」として公開されているのを観てきた。70分の白黒映画である。

映画のスタイルは、まさにフィルム・ノワール。主人公は、作家志望の青年。創作のヒントを得るため、街で適当に目に止まった人を尾行することが習慣になっていた。しかし、ある日、尾行相手に気づかれ詰問される。そこから、話は予測不能な方向に展開していく。

恐らく、そのまま映像化しても、そこそこ気の利いたスリラー映画になり得る粗筋だと思うのだが、そこは、Christopher Nolan。敢えて時系列を交錯させた複雑な構成になっていて、一体、何が起こっているのか、観客の意識は翻弄される。そして、最後に明らかになる、驚きの結末。製作当時は、新人監督による70分の白黒映画ということで、商業的には成功しなかったのだろうが、劇場公開に十分耐えられる佳作だと思う。今回、このような機会があって、良かった。

ツイストの効いたストーリー。モノクロ・フィルムの質感。神経を刺激するような音響設計。スタイリッシュな登場人物達。そして、時間軸を複雑に交錯させた語り口。もう、隅から隅まで、Christopher Nolanだ。むしろ、低予算のデビュー作だけに、その特質が、より鮮やかに表現されていると思う。三つ子の魂は百まで、いや、栴檀は双葉より芳しということわざがピッタリだ。



日比谷公園日比谷公園では、桜よりも、花壇の花々が鮮やかに目を引きます。

日比谷公園が、この時期、花壇じゃ無くても、あちこちに野草の花が咲いています。これらの方が、より、春っぽいと感じますね。

野音から聞こえてくる、THE STREET SLIDERSの演奏(夕方からのライヴに向けたリハーサル)も雰囲気が良く、なかなかの散歩日和でした。
日比谷公園 日比谷公園