一時、品不足となり、近所のスーパーへの入荷が途切れてしまっていたヤクルトの「Y1000」。供給が安定したのか、あるいはブームが一段落したのか、安定して入手できるようになりました。ブームになる前から愛飲していた者としては、ありがたい。
東京都庭園美術館の開館40周年を記念した展覧会を観に行ってきた。
朝香宮邸として竣工してから90年、東京都庭園美術館として開館してから40年。この機会に旧朝香宮邸を改めて読み解く展覧会。建築技法、室内意匠や素材、様々なエピソード等を、AからZを頭文字に持つキーワードをピックアップして解説するという趣向。
毎年、建物公開という企画は行われており、私も楽しみにしているのだが、今回は、美術館の展示室としての役目を脇に置いて、敢えてあるがままの旧朝香宮邸を知ってもらおうという意図があるそうだ。実は、美術館職員ですら普段は見る機会が無い、素の状態の旧朝香宮邸を見せるという。
確かに、いつもは絨毯に覆われている床が、一部、露わになっている。そこには、見事な職人技の寄せ木細工が施されている。
部屋ごとに、寄せ木のパターンが異なっているところも凝りまくりだ。
カーテンも開け放たれている。
そして館内、一見すると、絵画などの作品展示は一切無い。あくまでも、建物と内装が主役である。
滅多に公開されない3階のウィンター・ガーデンも、素の姿を見せてくれる。それにしても、この色彩感覚、カッコ良し!
ウィンターガーデンは温室だったので、水道の蛇口もついているが、これがまた、お洒落。
足下の排水口もお洒落。
カウンター下の金具ですら、お洒落。
新館には、おさらいの展示。建物の全体像の説明と共に、建物の各パーツの紹介も丁寧にされている。
例えば、各部屋の椅子。
壁紙。
そして、ドアノブなどの小物類。如何に丁寧にこの建物が維持されているのか良く分かる。
A~Zのキーワードは、香水塔に付けられた”Perfumed Fountain”など、そのまんまのものもあれば、妃殿下居間に付けられた”Zeal for Dressing Up”のような抽象的な(苦しい?)ものも。それでも、学芸員の皆さんの、この建物に対する愛情が溢れているのが、何とも好ましい。
しかし、実は、ゲスト・アーティストの作品も展示されている。
伊藤公象の陶土による作品「土の襞 - 白い光景 -」が北の間の床を飾る。
伊藤公象の作品は屋外にも。日本庭園の茶室裏にも、さり気なく配置されている。
さらにさり気ないのが、須田悦弘の木工作品。
例えば、Anteroomの香水塔の足下に、雑草が! 
姫宮居間の暖炉の前にはユリが!
須田悦弘の作品は全部で6つ。普通に観覧していたのでは、まず見つけられないだろう。入場時にもらう展示物ガイドをヒントに宝探し気分で探すと、とても面白い!!
素の建物の魅力だけで押し切る展覧会。見応え十分で好奇心刺激まくり。美術展としては変化球的な企画だが、お勧めの展覧会だ。
フランスのサスペンス映画を観てきた。邦題は「12日の殺人」。
女子大学生が、生きたまま焼き殺されたという事件を捜査する刑事達を描く。因みに、舞台となるのはフランスのグルノーブル地方。"Anatomie d'une chute(落下の解剖学)"と同じだ。
ただ、こちらの作品では、冒頭に、これが未解決事件であることが明示される(実際の事件を基にした作品だ)。そのため、映画の主題は謎解きでは無い。捜査する刑事達の内面に切り込んだ作品である。
その刑事達が、全員、男性。深夜まで調書を作成しても残業手当の申請はしないという、何だか、昭和の日本サラリーマンのような働き方だ。被害者の女性が惚れっぽい性格だったこともあり、次々と現れる容疑者も全員男性。しかし、捜査は行き詰まり、刑事達は精神的に追い込まれていく。そして、事件は迷宮入りしたかに思えた3年後、新たに着任した女性判事が再捜査を指示。さらに、捜査班にも新人の女性刑事が配属されている。
男社会の刑事達が無意識に持っているバイアスが浮き彫りになるが、そのことに対し、声高な異議申し立てはなされない。あくまでも、刑事達の捜査活動をリアリスティックに描くだけだ。しかし、その裏に仕組まれた問題提起は、"Anatomie d'une chute(落下の解剖学)"のように露骨で無い分、ジワジワと重みを持って迫ってくる。何とも奥深い作品だ。
因みに、意味深に思えるタイトルだが(原題は「12日の夜」の意味で、殺人という言葉すら使われていない)、単に事件が起きた日が10月12日の夜、というだけの即物的なもの。これもまた、この作品に合っていると思う。
ただ、やはり未解決事件ということで、スッキリ感が無いのは、なかなかしんどい作品でもある。