IN/OUT (2023.4.16) |
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同僚と飲みに行く機会が復活してきました。この時期、新人歓迎なども行われているようで、お店もすっかり混雑するようになりました。 最近のIN"Missing" (23.4.15)全編、PCモニター上だけで展開する異色のサスペンス映画 "Searching"(邦題は「search/サーチ」)の脚本・監督だったAneesh Chagantyが製作に回り、編集を務めていたNicholas D. JohnsonとWill Merrickが監督を務めた新作を観てきた。モニター画面だけで展開するという手法は同様だが、物語自体は前作とは繋がっていない。しかし、何故か邦題は「search #サーチ2」。安直だし、製作者への敬意が感じられない邦題だと思う。 幼い頃、父親を亡くした18歳の女の子が主人公。旅行先で失踪した母親を、デジテル・デバイスを駆使して捜索する様子を、主人公のMacBookの画面を主に、iPhone、TV、警備カメラなどの映像をテンポ良く繋いで見せていく。彼女の各種ツールの使いこなしの手際があまりにも良いのは、映画的な演出だと感じるが、どれも現実に使われているデバイスでありツールでありサービスである。今どきのデジタル・ネイティブの若者には、全く違和感が無いのかもしれない。ロサンゼルスに住む主人公がコロンビアの仕事代行サービスの中年男性にネットを使って捜索の手伝いを頼むところなど、突飛なようで、リアリティもあり、何よりもデジタルを超えた人情味が醸し出されるのが心地よい。 予想外の方向に展開していくストーリーは、まさに息もつかせぬスピード感。あちこちに仕組まれた伏線が回収され、意外な真実が明らかになる終盤は痛快。コンパクトにまとまった、極めて良質なサスペンス映画だ。 ”Air” (23.4.15)Ben Affleckが監督し、主役にMatt Damonを迎えた作品を観てきた。 タイトルは、1984年に発売されたNikeのバスケット・シューズ ”Air Jordan"のこと。当時、バスケット・シューズ・メーカーの中ではConverseとAdidasに大きく差を付けられていたNikeが、このシューズで大躍進し大成功する舞台裏を描く。米国駐在時代、Nike本社があるOregon州Beavertonの近くに住んでいたので、個人的にも思い入れのある題材である(物語の殆どは、そのBeavertonのNike本社が舞台だ)。 Matt Damonが演じるNike社員は、NBAの有望な新人選手に自社のシューズを履いてもらう契約を結ぶミッションを与えられている。彼が目を付けたのは、Michael Jordan。しかし、Jordanの本命はAdidasで、Nikeと交渉する気は全く無いらしい。さて、どうする。というお話。 マーケティング的にも興味深く、熱血ビジネス・サクセス・ストーリーにもなりそうな題材だが、才人Ben Affleckとその盟友Matt Damon、さらには、同僚役のJason Bateman、Chris Tucker、Matthew Maherらの芸達者達(監督のBen Affleck自身も、NikeのCEO、Phil Knight役を嬉々として演じている)は、気の利いた、時に辛辣なジョークに溢れた、小気味よい映画に仕上げてくれている。 1984年の、今から思えば軽薄な風俗の再現も完璧。特に音楽が、我々世代の大好物ばかり。冒頭のDire Straitsから、George Clinton、Big Country、Cyndi Lauper、Tangerine Dream、Alan Parsons Project、Bruce Springsteen等々。実に楽しく、爽快なビジネス映画だ。 「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap」@アーティゾン美術館 (23.4.15)第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示、ダムタイプによる「2022」を再構成した「2022; remap」が展示されているのを観に、アーティゾン美術館に行ってきた。 ダムタイプは、1984年に活動を開始した、様々な分野のアーティストによって構成されるグループ。プロジェクト毎に参加メンバーは変化するが、このヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展に出品されたプロジェクトのメンバーは、高谷史郎、坂本龍一、古舘健、濱哲史、白木良、南琢也、原摩利彦、泊博雅、空里香、高谷桜子。声で参加したのが、David Sylvian、竹内真里亜、カヒミ・カリィ、ニキ、等々。 薄暗い室内に並べられたターンテーブル、そこからかすかに聞こえる音。あるいは、レーザー光で壁に投影されたテキスト。解説によれば、『本作の狙いは、「ポスト・トゥルース」時代におけるコミュニケーションの方法や世界を知覚する方法について思考を促すというもの』。 正直なところ、私にこのインスタレーションの感想や評価を言語化するのは難しい。いかにも頭でっかちな現代美術っぽい雰囲気だが、あまり嫌みな感じはしない。絶妙な音量と光量で、何とも不可思議で居心地の良い空間ではあった。 「アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ」@アーティゾン美術館 (23.4.15)アーティゾン美術館で同時開催されている展覧会も、合わせて観てきた。 「肖像画のひとコマ ―絵や彫刻の人になってみよう」、「風景画への旅 ―描かれた景色に浸ってみよう」、「印象派の世界を体感する― 近代都市パリの日常風景」の3つのセクションを通して、この美術館の所蔵品の中から選ばれた作品をじっくり鑑賞し、その世界を感じ、さらにより深く学ぶ。という趣向の展覧会である。 Pablo Picasso、Henri Matisse、Claude Monet、Berthe Moriso(彼女の「バルコニーの女と子ども」が、最も印象深い作品だった)、岸田劉生、青木繁、森村泰昌など、有名作家の名作が並ぶが、展覧会の主旨に沿って、解説がいつもより丁寧で、鑑賞の手引きや理解のヒントになっているのが、ありがたい。 その分、解説文をしっかり読んで、オーディオガイドもちゃんと聴いていると、鑑賞に相当な時間を要するのが難点とも言えるが、この美術館の底力を感じる展覧会だった。 入店時の検温は無くなったものの、手指の消毒は継続している店が多く、また、我々も、直箸で料理を取り分けることに抵抗感があり、取り分け用の箸を使うことが増えたりと、世の中の衛生観念は確実に変わりました。これは、結構、定着するかもしれないと思う、今日この頃です。 |